後の祭り

クライングフリーマン

後の祭り

 後の祭り

 ======== この物語はあくまでもノンフィクションです =========

 突っ張っていた、と言えばそれまで。

 所謂「冷やし中華」と「冷麺」が流行り出して、同じ物だと思い込んでいた。

 東京都目黒区下目黒に住んでいた頃の話。

 権之助坂の中腹?にある店に入った。「冷麺」を注文した。

 店の主人は言った。

「恐らく想像しているものと違うと思うけど、食べる?」と尋ねた。

 主人が頑固な人だと決めつけてもいた。

 辛い麺が出てきた。「韓国風冷麺」は「冷やし中華」とは別物と思い知らされた。

 必死で掻き込んだが、半分も食べないうちに箸が止まった。

「もういいよ。」主人は、優しく言い、「規定料金」で精算した。

 私は、主人に謝罪と礼を言った。

 暫く、権之助坂には行けなくなった。

 十数年後。カードチェックのバイトしている会社の新年会の二次会。

 嫌な予感がした。

 社員とバイトは、平気で辛いものを注文した。

 同じ物を食べた。それまでに、カレー屋で「大食い割引」をしたせいか、いけるかも?と思った。

 甘かった。

 私には、韓国料理は無理だ。

 下戸の人間が、アルコールをどんどん飲めないのと同じ、だ、と、どこで差別主義者呼ばわりされるか分からないから、「向かなかった」と弁明している。

 帰り。通院している鍼灸院に電話をして、無理を言って、治療。「内臓の痛みを緩和」する針を打って貰った。それは、私の解釈で、単純に体を弛緩させるツボに針を打って貰ったのだ。

 彼らは、「辛党」なのだ、と自分を納得させた。

 その後、何度か「激辛ブーム」があった。

 例え、激辛カレーでも敬遠している。

 私には向かない。

「キムチ」でも「日本流キムチ」しか食べない。

 肝臓を痛めると分かってて挑戦出来る時代は「半世紀前」に終っている。

 表示通りとは限らないが、買物の際には注意している。

 半額の激辛ラーメン食べて、入院したくはない。


「後悔先に立たず」「後の祭り」は、厳しい教訓だ。苦さだ。

 体質を考えることは必定だ。

 後何年生きられるか分からないが、辛い料理を食べて死にたくはない。


「後の祭り」。そう、虚しさしか残らない。

 今日、地元の隣組組長が「秋祭り」の寄付を集めに来た。

 一律5千円。

 春に町内会費6千円払っているのに、若者の「飲み食い」に費やされるだけの寄付金。

 隣組組長は、持ち回りだから、引っ越す以外逃げられない。

 祭りの寄付金は、同じ苦さだ。

 ただ、「盆踊り」の寄付金は、一応義務ではなく任意なので、断っている。


 生きて行くの修行。あの世に言っても修行。

 気が重い話だ。


 ―完―

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

後の祭り クライングフリーマン @dansan01

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る