少女と触手とその後の……
@arutemyan
はじまりからおわりまで
私はこの村に住むアルケミスト。この村の洞窟や森では他でお目にかかれないような不思議な植物で溢れているの。だから私は今日もあの洞窟へと足を運ぶ。
フリフリのドレスに頭に星形のような髪飾り。頭には獣のような耳がぴょこぴょこと動く。まるで幼い少女のような彼女は、あの洞窟へと足を運ぶ。しかしこの日はなんだか不安がよぎった。
小さな手にランタンを握りしめ、洞窟の奥を照らすかのようにランタンを揺らす。洞窟からは生暖かい風が吹き抜け、彼女の髪を揺らした。
「大丈夫! キノコを採ってかえるだけなんだから!」
小さな手でグーを作り、自分に言い聞かせた。
軽やかな足取りで洞窟へ入ると外の空気とは一変する。空気はひんやりと湿り、苔むした岩から滴る水音が響く。ランタンの光が届かない暗闇の奥からは、時折、風とも獣の息ともつかぬかすかな音が聞こえてくる。
洞窟を進むといつもはこの辺にキノコがあるはずだけれども、キノコどころかコケすら生えていないことに気づく。
「いつもならこの辺にあるはずなんだけど……どこかなぁ……」
もう何回も足を踏み入れているはずなのに、こんなことは彼女にとって初めてだった。
「もっと奥の方へ行くしかないかな……」
若干の不安を抱えながら彼女は進む。そこでやっとお目当てのキノコを発見した。
「あったぁ! さあさっさと採取して戻ろ……きゃぁ!」
天井から突然見たこともないような巨大なキノコが降ってきた。彼女は突然の出来事に驚き、尻もちを搗く。その衝撃でランタンを床に落とす。
するとそのキノコから巨大な舌のようなものがでており、ウネウネと数本の触手上のものがうごめいているのが見えた。
彼女は起き上がろうとするが、先ほどまで普通の地面だったはずが、今では粘液状になっており、うまく体を動かすことすらできない。
「え……どうして……」
こんなことはいままでなかった。彼女はこんな時のためにある程度の薬品や爆薬は常備していた。しかし手は地面に張り付き思うように動かせない。
彼女は必死に考えを巡らせているその時だった。
天井から無数の触手が彼女に襲い掛かる。
「きゃぁ! やめ……んんっ……」
ある触手は彼女の口をふさぎ、別の触手は彼女の服を切り裂き、さらに別の触手は彼女に謎の液体をかけ、彼女の服を溶かす。
そしてキノコは謎の胞子状の粉を彼女に浴びせる。
「な……に……頭がぼーっとする……」
こんな状況なのに彼女にはもはや抵抗する気力も体力も残されていなかった。
この間、時間にすると僅か。数分の出来事である。
触手は彼女の平坦な胸を揉みしだき、腹部や首筋をヌルヌルと這いまわる。時には軽く首を絞めたり、胸の先端を強く締め上げたりまるで意志をもっているかのように彼女の体を弄ぶ。キノコ状の化け物も小さい物や大きい物など周りに増えていた。
「えっ……うそ……」
これらの化け物は彼女の手と足を拘束する。ただでさえ、粘液で思うように動けない中でこれである。彼女の眼には希望の光はもう消え失せていた。
「んっ……や、だめっ……苦し……いやっ……やめ……て……よ……ひゃぁ!」
どれだけの時間が経っただろうか。それともまだ数分なのだろうか。それを彼女が確認する術は残されていなかった。
「はぁ……はぁ……んっ……」
ズチュズチュ……ヌルヌル……卑猥な音や彼女の声が洞窟内に響き渡る。
そのような時間がしばらく流れた。そして唐突に静寂が訪れる。
「あれ……落ち着いた…………えっ? うそ……」
先ほどまで細く、もし動けるならば引きちぎれるかもと思われていた細い触手が突然太くなる。かろうじて彼女の大事なところはまだ純潔を保ててはいたが、それがもう終わりを告げるのは目で見て明らかだった。
「えっ……うそ……あんなの……入るわけないよぉ……」
触手は彼女の一点を見つめ、大胆な動きで彼女の中に侵入する。
「痛っ……」
プツンと何かが切れる音がした。それと同時に快楽の波が押し寄せる。
触手は触手らしく理性が微塵も感じられないほど大胆にズチュズチュと音をたて激しく揺らすように彼女を犯した。そのたびに彼女から苦しむような快楽におぼれているような不思議な声があふれ出す。
「んぐ……んっ……あっ……んっ……ぐ……ぇ……んっ……」
動きがどんどん早くなる触手に頭がおかしくなる。
「やっ……おかし……く……なっちゃう……よぉ……」
それと同時に触手が大量の液を彼女の中に注ぎ込んだ。
「んんんんっ…………え……や……だぁ……」
そこから白のような黄色のような不思議な液体が溢れでる。
そこから触手は何度も何度もその行為を繰り返した。
彼女のお腹は膨れ上がり、その液体のせいなのか、それとも違うのかそれすらももうわからなくなっていた。
「もう苦しいよぉ……うええ……気持ち悪い……」
すごい吐き気と同時にお腹が蠢く。そこからまもなく小さいキノコがソコから顔を出した。傍からみればお笑いともとれるその光景だが、彼女から見たらその光景は、もはや地獄そのものだった。胃の中に何も残されてはいなかったが、透明な液体が口から出る
「うえええええ…………」
そのキノコは意志を持つかのようにぴょこんと、キノコの怪物の傘の上に乗った。
蠢く触手たちは少し落ち着きを見せたが、ふたたび彼女に牙をむくかの如く、彼女を犯し始めた。膨れていたお腹はキノコのようなものを産んだ後、一時的に小さくなったがそれでもなお、うっすらとその面影を残していた。
それからどれだけの時間が経っただろうか。彼女はもうあきらめかけていたそんな時だった。
突然ガキンという音が聞こえ、その直後真っ二つになる巨大なキノコ、ちぎれる触手
「え……?」
突然の光景に彼女の思考は停止した。そして虚ろな目にはうっすら金髪の男の顔が写った。
「誰……?」
彼は何も言わず自分のマントを脱ぐと、そっとマントで彼女を包んだ。
「これはひどいな……」
彼は呟いた。洞窟の奥から聞こえてきた悲鳴のような不思議な声を追って入ったらこの惨状である。これ以上言葉の言葉が出ないのは当然であった。彼女は散々化け物に弄ばれ、体には変な液体がびっしり、髪もベトベト、お腹や胸、首筋は赤く腫れていた。当然そこも。
しかし彼女からみたら彼は違って見えていた。
(男性……欲しい……あれガ……ホしイ……)
もう馬鹿になっていそうな思考回路の中、正常な彼女の意志がその本質を見抜いた。
(なる……ほど……? そっかぁ……これ……あの胞子のせいだ……つまりわたしは……このままだと……)
自分はもう長くない。自分の体がキノコ状に変異するのか、それとも溶けてなくなるのか、それとも……。もうそれ以上考えるのはやめた。
彼女の目には彼しかない。そう映っていた。
彼女は持てる力の全力を振り絞り彼にキスをした。
「タス……け……て」
本当はこれよりも言いたいことは山ほどあった。しかし、彼女の口からひねり出せる唯一の言葉……いまはこれが限界でこれ以上の言葉の捻出は不可能。そんな段階まで来ていた。
彼は冒険者であった。冒険者としてそれなりに経験を積んでいたつもりだったが、このような状況下に置かれるのははじめてで、頭が混乱していたが、冒険者ギルドで読んだモンスター図鑑の一文をふと思い出した。
『Sランク級の触手の魔物は、獲物に胞子を浴せ、感覚と意識を狂わせるものがいる。その影響は一時的だが、放っておくと精神を崩壊させる。鎮めるには、対象の意思を汲み、適切な形で解放する必要がある。また精神を崩壊させるだけには留まらず、その肉体そのものを捕食するモノがいる。能力そのものは低いがその凶悪性からSランク級と設定する――』
冒険者は息をのみ、言葉を選びながらこう続けた。
「どうして……ほしいんだ?」
彼女は彼を見つめ一言
「犯して……」
と告げた。冒険者はなんとなくわかっていたが、いざそういわれると戸惑った。
まるで幼い少女と思われる外見の彼女と交わるのにはとてつもない罪悪感があった。しかし自分に言い聞かせた。これは彼女のため。
しかし、そう思ってはいてもなかなか踏み出せずにはいた。けれども時折苦しそうな顔をする彼女を見て覚悟が決まる。そして時間の猶予がもうそれほど残されていないということも察することができた。
冒険者は荒々しく彼女の腰をつかみ、彼女を犯した。彼が腰を振るほど、甘ったるいような声が洞窟内に響き渡る
「んっ………あっ……あっ……んっ……んんっ……」
この二人のいる空間にだけ、肌と肌が当たる音、ビチャビチャという音が反響していた。
そして、その時が訪れた
「
「う……ん……おねがい……
それと同時に二人は果て、抱き合うように倒れた。
冒険者は自然と彼女の髪を撫で、そっとキスをした。だがすぐに冷静になり彼は赤面し彼女に謝る。
「ご……ごめん……」
しかし彼女は眠っていた。
「すぅ……すぅ……」
冒険者は彼女の体を拭き、マントをふたたび彼女にかぶせ、彼女が起きるのを待った
「このまま、目を覚まさない……なんてことはないよな」
そんなことも思ったが、彼女が安堵しているかのように眠っているのをみて、そんなことを思うのはやめた。
そして彼女は目を覚ます。
「もう大丈夫なのか?」
冒険者は恐る恐るいうと、彼女は笑顔でこう答えた
「もう大丈夫! あ、ありがとう……」
そのまま二人は談笑し、洞窟を後にした。
少女と触手とその後の…… @arutemyan
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