第1章:あの不思議な魔女は一体誰?!
キャラクター紹介
名前:アカリ
年齢:17歳
性格:寡黙で口数が少なく、神秘的で意思が強い。
外見:身長約4フィート11インチ、青空のような髪、深紅の瞳、淡い白い肌。
服装:ふんわりとした袖と繊細なレースのハイネックが特徴の白いブラウスに、大きな黒いリボンが胸元に飾られている。黒のプリーツスカートは膝丈で、裾には小さな刺繍が施されている。黒いマントを羽織り、広いつばの魔女帽子をかぶっており、そこにはきらめくヴィタリスの石が吊るされている。
能力:強大な魔力を持ちながら、それを常に隠している。
「名もなき魔女。アーナラ大陸をさまよう孤独な旅人。」
名前:セリーヌ
年齢:15歳
外見:身長約5フィート3インチ、赤い髪を二つ編みにしており、瞳は淡い青色。
性格:明るく元気で活動的、周囲の世界に強い好奇心を持つ。
服装:厚手で長めのピンクのセーターに、ややふくらんだ袖と繊細な模様が施されている。襟と袖口には濃い色の布地で縁取りがあり、優しいコントラストを生んでいる。スカートは膝丈の黒いプリーツで、何層にも重なり、ふんわりとした動きを演出。足元は多くのバックルと紐がついた黒のハイカットブーツで、彼女の個性を引き立てている。
関係性:宿屋の娘で、リリィの親友。
名前:リリィ
年齢:15歳
外見:身長約5フィート2インチ、肩までの金髪、黒い瞳、丸いメガネをかけている。
性格:少し内気だが、とても観察力に優れる。
服装:首元までボタンを留めた白いハイネックのシャツに、赤いリボンが胸元を飾る。袖は腕にぴったりと沿っており、きちんとした印象を与える。黒のシンプルな膝丈プリーツスカートに、足は黒いタイツで覆われている。靴はローヒールの黒いレザーシューズ。繊細な丸フレームの眼鏡が、彼女の外見にさりげないアクセントを加えている。
関係性:セリーヌの親友。
第二時代の4372年の冬
冬の太陽は丘陵の向こうへと沈みかけ、灰色の雲の下に燃え盛る炎のような赤い空を残していた。風はそよそよと吹き、冬特有の冷たさを含んでいるが、凍りつくような寒さではない。その黄昏の中、二人の小さな影が道の上を走っており、足音と笑い声が静かな黄昏の情景に響いていた。
「セリーヌ! 待ってよ!」
セリーヌは振り返り、輝く笑顔を浮かべた。赤い髪を二つ編みにした髪が、走るたびに揺れる。「リリィだ! 君、走るの遅すぎるよ。早くしてよ。もし最後に着いたら、負けだよ」
リリィは両手を膝に当て、荒い息をしながら言った。「負けるって何よ、私はそういう遊びしないんだから!」そう言って、彼女はまた走り出した。
遠くに、町ロルデスが現れた。家々の油灯が次々に灯り、夜の帳に温かい光の点を浮かび上がらせていた。そのとき、蒼く深い光の尾を引く一筋の光が、流れ星のように静かに空を滑り、町へと向かって落ちていった。
リリィは空を見上げ、大きく目を開いて指さした。「セリーヌ、空に飛んでいる青いもの、あれなに? 私たちの町のほうに向かってるよ!」セリーヌも視線を追い、目を細めて言った。「わからないけど…まさか…流れ星じゃない?!」
「違う…! よく見ると…人間、それも魔女だ!」リリィは確信を込めて言った。
セリーヌは不思議そうな顔でリリィを見る。「魔女って、でも魔女がどうしてその不思議な青い光を出してるの?!」二人は数秒間言葉を失った後、セリーヌが突然言った。「もう、いいや、とにかく早く帰ろう!」
二人は急いで町へ戻った。夜が完全に訪れる前に。最近、町ロルデスでは説明のつかない不思議な現象がしばしば起こっているのだった。
黄昏時のロルデスの町は奇妙なくらい静かだった。騒がしさもなく、人通りも少ない。かすかな風が煙突を通り抜け、木の燃える匂いがかすかに漂い、油灯の光がガラスの窓越しにちらちらと揺れているだけだった。石畳の凸凹した道の真ん中には、黒い長衣を足首まで引きずるように着た影が一つ、静かに歩いていた。その一歩ごとに、裾の布が揺れ動いていた。
「くそっ。あの花畑であんなに長く足を止めるんじゃなかった…!」アカリは吐息とともに白い息を吐き、顔には後悔の表情を浮かべた。シルバ・ススロロスの森を越えているとき、美しい花畑を見つけて立ち止まったまま、時間を忘れてしまったのだ。気づいたときには、太陽はもう沈みかけていた。
「はあ…暗くなる前にここまで来る予定だったのに…」
今、彼女は宿を探しながら町をさまよっていたが、ほとんどの宿はもう閉まっていた。アカリは交差点の真ん中で頭をかき、呆然とした。「まさか、外で眠ることになるのか?」
彼女が近くの石段に腰を下ろそうとしたとき、右手に小さな二階建ての宿の窓から漏れる淡い光が見えた。木製の看板がぼんやりと灯の下で揺れており、「宿」の文字が刻まれているのを見たとき、アカリの目が少し輝いた。彼女は急いでその扉に向かい、頭から払うような躊躇を捨て、真鍮の取っ手のついた木製のドアを押した。小さなベルがかすかな音でリンと鳴った。
中に入ると、温かい空間が彼女を迎えた。黄色い灯り、松の木の匂い、数脚の木製の椅子とテーブル、暖炉近くにある受付カウンター。中年の女性が赤みがかった髪をまとめて何かを書いていて、顔を上げた。「あら、ご宿泊の方かしら?」
「はい、こんな時間にお邪魔してすみません…まだお部屋はありますか?」
「まだ空いていますよ。ちょうどいいところに来たわ。他のところはもう多分閉まっているところばかりだから」
「長期の宿泊はできますか? 一週間ほど…!」
「もちろんよ。一泊金貨1枚、七泊なら七枚ね」
アカリは言葉を止めた。彼女は心で思った。「金貨1枚!? 他の所は半枚だったのに…まあ、でも外で凍えるよりはまし」。アカリは渋々「はい、お願いします」と答えた。
「では身分証明書を見せてちょうだい」
「えっと! はい」。アカリは腰の側面にある袋を探り、一枚のしわくちゃな紙を取り出した。女将はそれを確認して頷き、「ここに署名してちょうだい。この内容はよく読んで」と言ってもう一枚を書類を差し出した。アカリは受け取り、一読してから署名した。
「返す必要ありますか?」
「いいえ、持っていてちょうだい」と言い、女将は中へ向かって呼びかけた。「セリーヌ! 客が泊まりに来たから出てきて」
扉の奥から、一人の少女が現れた。やや小柄で、明るくて聡明な顔立ちをしている。
「はい、お母さん!」セリーヌが出てきて、アカリを見た。黒の長衣と埃まみれのブーツ、広いつばの帽子で半分顔が隠れているのを見て、彼女は軽くお辞儀して丁寧に挨拶した。アカリもそれに応えて軽くお辞儀をした。
「お客様を4番のお部屋に案内して。鍵は棚の中。あと覚えておいてね、お客様は私より年上だから敬語でね」
「はい!」セリーヌは答え、アカリに「こちらへどうぞ!」と言って案内を始めた。
「え、あ、はい…!」
道中、二人は声を交わさず、木の床に響く靴の音だけがあった。セリーヌは銅の鍵を手にしてゆっくりと二階の廊下を歩いた。荒い石の壁と濃い木材の組み合わせが、この場所に古風で静かな雰囲気を与えている。天井に下がるランプは、かすかな風に揺れていた。
「長旅でお疲れでしょう」とセリーヌの声が静かに響いたが、その一言が続く沈黙を破った。アカリは軽く頷いた。
「うん、それほどでもないよ」
「この宿は大きくはないですが、部屋はかなり静かで清潔です。気に入っていただけたらうれしいです」二人は木製のドアの前に立った。「ここが4番のお部屋です」セリーヌは鍵を差し込んで開け、一歩引いて道を譲った。
「どうぞ!」
アカリは中に入り、少し目を見開いた。部屋は大きくはないが整然としており、居心地が良かった。厚い布団がかかった木のベッド、一つの木製の机、古い手帳が数冊置かれた小さな本棚があった。吊り灯の柔らかい光が部屋全体を温かく照らし、冬の穏やかな息吹が漂っていた。
「お部屋はいかがですか?」
「とてもいいです、期待以上です!」
「何か必要なときはいつでも声をかけてくださいね。それでは、私は下へ戻ります」
「うん…!」
ドアが静かに閉まり、アカリはベッドのそばに歩いて行き、重い溜息をついた。彼女は鞄を下ろし、厚いコートを脱いだ。肩に残る疲労の感覚——旅人特有の疲れ——にも慣れていた。ほどなくドアの外から軽くノックされ、「ご迷惑でなければ、お客様のためにタオルをお持ちしました」と声が聞こえた。
アカリはすぐに立ち上がって「今出ます」と応え、頭だけ出した。室内の光が漏れると、セリーヌは初めてアカリの顔をはっきり見た。赤く深い瞳、雪のように白い肌、そして湿気で少し赤くなった頬。セリーヌはその美しさに見とれてしまい、アカリの声を聞き逃した。
「セリーヌ…?」
セリーヌは我に返って「は、はい、タオルをお持ちしました」と差し出した。
「ありがとう」
「どういたしまして。何か他に必要なものがあれば、いつでも呼んでくださいね」
「うん、わかった。そうそう…お湯もお願いします」
「はい!」
ドアが再び静かに閉まり、セリーヌは廊下に立ち続けていた。しばらくして母の声が下から聞こえ、セリーヌははっとして走り去っていった。
しばらくして、またノックがあった。「すみません、お湯をお持ちしました」。アカリがドアを開けると、セリーヌが大きな二つのバケツを抱えて立っていた。冬の寒さの中、湯気がほの白く漂っていた。
「大変だったね」
「いえ、大丈夫です」とセリーヌはバケツを玄関前に置いて軽く頭を下げた。「それでは失礼します」
「うん…」アカリは微笑んで頷き、ドアを閉じた。それから浴室に向かった。
扉の内側で静かに深呼吸をしてから、鍵をかけ、ゆっくりと髪を束ねた。彼女は衣服を脱ぎ、折りたたんで木製の椅子の上に置いた。浴室の蒸気が小さな鏡を曇らせ、金灯の光がぼんやりと揺らめいて、淡く人影を映していた。
アカリは浴槽に入った。熱い湯が体を包み、彼女は思わず身を震わせ、その後にゆっくりと全身を委ねた。壁にもたれ、目を閉じた。思考も警戒もせず、この夜はただ普通の一日だったかのように過ごせた。
「これで…いい」小さく呟きながら、彼女は温もりを髪の奥まで感じていた。
入浴後、アカリはいつものシンプルな寝間着に着替え、髪はまだ湿って肩にかかっていた。彼女は浴室を出て、静かでロウソクの灯る部屋に戻った。木の窓辺の机に座ると、バッグから古びた日記を取り出した。机上にはインク瓶と筆も準備されていた。油灯の淡い光の下、アカリは静かに日記にその日の出来事を書き込んだ。木壁に映る光と闇が揺れ、小さな窓から洩れる月光は銀色の筋を床に描いていた。微風がページをそっと揺らし、耳元でささやくような音を立てた。
しばらくして彼女は日記を閉じて立ち上がり、壁のフックにかかる帽子を取りに行った。月明かりに照らされた帽子には、ほんの少し埃が残っており、Vitalisの石が静かに揺れていた。
彼女は石を外して手のひらに置いた。もう一方の手でそっと宙をなぞるように動かすと、水面を撫でるような仕草から、ふいに細い杖が宙に現れた。それは音を立てず、ただ残存する魔力の震動だけが感じられた。
深い青の光が部屋を満たし、壁や床に反射し、その光は彼女の瞳にも映り込んだ。まるで記憶の薄明かり――その灯が心の奥に静かに点されたようだった。アカリは杖を脇に置き、そっとベッドにもたれかかった。淡い光に包まれて、彼女の瞳は閉じられた。魔法は使わなかった。ただ、世界が静まり返り、名前のない日々の中に、一瞬の休息が訪れたのだった。
ロルデスの石畳の道では、濃霧に包まれた夜が広がっていた。中年の男がふらふらと歩いていた。酒に酔った息から強い匂いが立ち、冷たい石畳に足跡を刻んでいた。彼はつぶやいた。
「くそったれ…くそ野郎ども…俺が誰だと思ってやがる…?」
声はかすれ、疎らな通りには彼の独り言だけが響いていた。突然、黒い影が霧の先を横切った。まるで幻覚のように一瞬だった。男は立ち止まり、振り返ったが、そこには白い虚空だけがあった。
「は…?今、なんだ…?」
鼻を鳴らして笑いながら、「酒のせいか…目がかすんでるだけさ…はは…」と言った。だが振り向こうとした瞬間、目の前に黒い影が現れた。濃霧で顔は見えず、ただ黒く覆われたシルエットだけだった。男は眉間にしわを寄せ、「おい!誰だ!この道の真ん中で何してやがる!」と叫んだが、返事はなかった。その影はゆっくり霧の中に溶け、消えていった。
「ふざけやがって…」
声には震えが混じっていた。突然、背筋を冷たいものが走り抜けた。振り返ると、そこにはまた別の黒い影が立っていた。声も息遣いもなく、顔も輪郭さえ見えなかった。そして、まるで闇から湧いたかのようにさらに影が増え、彼を取り囲んだ。沈黙は圧倒的だった。
男の頭の中で、不気味な囁きがこだました。
「Timete… timete…!」
男は恐怖で後ずさり、足は地に縫い付けられたように震え焦った。真冬にもかかわらず冷や汗が滴り、呼吸は荒く、心臓は見えぬ何かに締め上げられているようだった。影たちは沈黙のまま距離を詰めていった。囁きは徐々に大きく、はっきりとした声へと変化した。
「Timete… timete… TIMETE!」
男は恐怖で叫び声を上げ、振り向くと足元がすくみ、石段に躓いて転倒し、泡立つ息の中で必死にもがきながら立ち上がった。そして霧の中へと逃げ去った。影たちは追わず、ただ静かに闇に溶け込んで消えた。残されたのは、霧に閉ざされたロルデスの夜の静けさだけだった。月明かりさえ、厚い霧を貫くことはできなかった。
名もなき旅人の影 @Buivanlinh
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