客も魔道具も、油断は大敵!

 同じ名を持つ祖母から継いだ看板――――アンナの魔法よろず屋。

 一言で表せば、専門性が極めて高い業界である。
 古代文字や法規制などの知識と、経験がモノを言う。
 また、魔道具の玉石混交ぶりは広く知られるところで、若いアンナを信用する客はいない。

 よってアンナは考えた。
 老婆に見せる魔道具を作り、見た目をごまかして商売する。
 学んできた技術と知識をもってすれば、必ずやりくりしていける。
 次第に町の人の目も変わって、繁盛する名店に――――

 などと思いきや。

 この魔道具は、トンデモないものがほとんど。
 わずかでも判断を誤れば、店もろとも壊滅は免れない。

 くわえて店に来る客もクセのある者ばかり。
 いわくつきの物品を、いかがわしげな人間が持ち込むものだから……どこに罠が潜んでいても不思議ではない。
 アンナは店にいながら、毎日のように死線をくぐることに。
 これより危険な店もそうはないだろう。

 とはいえ、残酷描写に重きが置かれている作品ではない。
 魔道具を取り巻く状況や秘密を解明していくミステリーが基本軸で、ヒューマンドラマが織り交ざる。
 連作短編の形式をとっているため、問題発生と解決のサイクルが早いのも魅力の一つだろう。

 ただ、注意を申し上げておく。
 いつ非常事態が発生するかはわからない。
 慌てないよう、知識は忘れずにいた方がいい。

 油断大敵。一寸先は闇。
 ヒリつく緊張感を味わいたい人はぜひ。

その他のおすすめレビュー

咲野ひさとさんの他のおすすめレビュー422