異世界転生のすれ違い
トムさんとナナ
異世界転生のすれ違い
## 第一章 転生と再会
気がつくと、俺は見知らぬ森の中にいた。
「えーっと……」
頭を掻きながら辺りを見回す。
鬱蒼とした木々、聞いたことのない鳥の鳴き声、そして何より――俺の体が妙に軽い。
手を見ると、確実に十代後半くらいの若さに戻っている。
「まさか……異世界転生?」
二十八歳のしがないシステムエンジニア、田中雄太だった俺が、突然の交通事故で命を落としたのは確かだった。
それが今、なぜかファンタジー世界らしき場所で、しかも若返った姿で目を覚ましている。
「うわあああああ!」
突然の女性の悲鳴に、俺は慌てて声のした方向へ走った。
木々の間を抜けると、小さな湖のほとりで一人の少女が巨大な熊のような魔物に追われていた。
銀髪を風になびかせ、青い瞳を恐怖で見開いたその少女は――
「え……」
見覚えがあった。
いや、見覚えがあるなんてレベルじゃない。
忘れるはずがない顔だった。
星野美咲。
俺の元カノで、三年前に俺を振った張本人。
「ちょっと待て、なんで美咲がここに!?」
しかし考えている暇はない。
美咲――いや、この世界では別人なのかもしれないが――がピンチなのは確かだ。
俺は咄嗟に近くに落ちていた木の枝を掴んで駆け出した。
「おい、こっちだ!」
熊のような魔物に向かって枝を投げつける。
魔物は俺の方を振り向き、唸り声を上げた。
「う、うわああああ!」
魔物が俺に向かって突進してくる。
死ぬ、絶対死ぬ。
二回目の死か、勘弁してくれ。
その時だった。
「――フレイムボルト!」
美咲そっくりの少女が詠唱を唱えると、魔物に向かって炎の矢が放たれた。
魔物は悲鳴を上げて倒れ、やがて光の粒子となって消えていく。
「すごい……魔法だ」
「あ、ありがとうございました! 助けていただいて……」
少女が俺に頭を下げる。
間近で見ると、やはり美咲にそっくりだった。
いや、まったく同じと言ってもいい。
「え、えーっと……君の名前は?」
「リリアナ・フォン・アルトハイム!です。あの、あなたは?」
「俺は……」
田中雄太と言いそうになって慌てて口を噤む。
この世界では違う名前なのかもしれない。
「ユウキです。冒険者の……ユウキ・ハルト」
咄嗟に適当な名前を答えた。
「ユウキさん……素敵なお名前ですね」
リリアナが微笑む。
その笑顔は美咲のものとまったく同じだった。
でも、どこか違う。
美咲の笑顔には最後の頃、どこか疲れたような影があったけれど、リリアナの笑顔は純粋で輝いている。
「それで、リリアナさんはなんでこんなところに?」
「私、魔法学院の生徒なんです。薬草採取の実習で森に入ったのですが、道に迷ってしまって……」
「魔法学院?」
「ええ。王都にある、聖ルミナス魔法学院です。私、そこで魔法を学んでいるんです」
王都、魔法学院――完全にファンタジー世界だ。
そして俺の前にいるのは美咲にそっくりだけれど、まったく別人のリリアナ。
「あ、あの……もしよろしければ、王都まで一緒に来ていただけませんか? お礼もさせていただきますし……」
「え、いいの?」
「はい! お一人では危険ですし、私も道案内くらいはできますから」
リリアナの提案を断る理由はなかった。
というか、この世界のことを何も知らない俺には、案内してくれる人がいた方がありがたい。
「じゃあ、お言葉に甘えて」
「やった!」
リリアナが嬉しそうに手を叩く。
その仕草も美咲そっくりで、俺の胸がきゅんとした。
でも、これはリリアナという別人だ。
美咲じゃない。
そう自分に言い聞かせながら、俺たちは王都への道のりを歩き始めた。
## 第二章 学院生活と奇妙な行動
「うわあ……すごいな、これ」
王都に到着した俺は、その壮大な景色に息を呑んだ。
中世ヨーロッパ風の街並み、空を飛ぶ竜、魔法の明かりで彩られた街灯――まさにファンタジーの世界そのものだった。
「ユウキさん、魔法学院をご見学されませんか? 冒険者の方でも、一日体験入学みたいなことはできるんです」
「え、いいの?」
「はい! 院長先生も、実戦経験のある冒険者の話を聞かせてほしいって言ってましたから」
リリアナの提案で、俺は聖ルミナス魔法学院に足を踏み入れることになった。
聖ルミナス魔法学院は、壮麗な石造りの建物だった。
廊下を歩く学生たちの制服には、それぞれ異なる意匠の紋章が輝いている。
一歩足を踏み入れるごとに、俺の知る現実世界とは違う、魔法の法則に支配された場所だと実感させられた。
「リリアナ、おかえり! 心配したのよ」
学院に着くと、リリアナの友人らしい少女が駆け寄ってきた。
「ごめんね、エミリア。道に迷っちゃって……この方がユウキさん。私を助けてくださったの」
「はじめまして、エミリア・ローズです」
エミリアと名乗った少女は人懐っこい笑顔で俺に挨拶した。
「で、で、リリアナ? その人、もしかして……」
エミリアがリリアナの耳元で何かささやく。リリアナの顔が真っ赤になった。
「ち、違うよ! ただ助けてもらっただけだから!」
「でもリリアナ、すっごく嬉しそうだよ?」
「も、もう! エミリア!」
二人のやり取りを見ていて、俺の心は複雑だった。
リリアナの反応が、昔の美咲とまったく同じなのだ。
美咲も恥ずかしがり屋で、友達にからかわれるとすぐに顔を赤くしていた。
そんなことを考えていると、リリアナが俺の方を向いた。
「あ、あの、ユウキさん! お時間があるときに、私と一緒にお茶でも……」
「あー、うん、いいよ」
俺は慌てて答えた。
でも内心では動揺していた。
この状況、まるで美咲との付き合い始めの頃みたいだ。
「やった! じゃあ、放課後に学院の中庭で!」
リリアナが嬉しそうに駆けていく。
俺はその後ろ姿を見ながら、ため息をついた。
「参ったな……」
その後、俺は学院で一日を過ごすことになった。
魔法の授業を見学したり、図書館で異世界の知識を仕入れたり。
そして夕方、約束通り中庭でリリアナと会った。
「お疲れさまでした!」
リリアナが手作りのお菓子を持ってきた。
それを食べながら他愛もない会話をする。
「ユウキさんって、不思議な人ですね」
「え? どこが?」
「なんだか……前にお会いしたことがあるような気がするんです」
リリアナの言葉に、俺の心臓が跳ねた。
「そ、そうかな」
「でも、初めてお会いしたはずなのに、なぜか懐かしい気持ちになるんです」
俺も同じだった。
リリアナといると、美咲との思い出が蘇ってくる。
でも同時に、リリアナは美咲とは違う魅力も持っていた。
より純粋で、より優しくて……。
「あ、そうそう! ユウキさん、明日は私の魔法の実技試験があるんです。よろしければ見学しませんか?」
「魔法の試験?」
「はい! 最近習った新しい魔法を披露するんです。頑張りますので、見ていてください!」
リリアナの目がきらきらと輝いている。
俺は思わず頷いていた。
「わかった。見に行くよ」
「やった!」
でも俺の心の中では、妙な感情が渦巻いていた。
美咲への想いなのか、リリアナへの新しい感情なのか、自分でもよくわからなくなっていた。
翌日の実技試験当日。
俺は見学席からリリアナを見守っていた。
「それでは、リリアナ・フォン・アルトハイム、魔法を披露してください」
教授の言葉に、リリアナが前に出る。
俺は固唾を呑んで見守った。
「――ライトニングスピア!」
リリアナの詠唱と共に、雷の槍が標的に向かって放たれた。
見事に的中し、標的が粉々になる。
「素晴らしい! 完璧です」
教授が拍手する中、リリアナが俺の方を向いてにっこりと笑った。
その瞬間、俺の心の中で何かが弾けた。
これはもう、美咲とかリリアナとか関係ない。
俺は目の前のこの少女に惹かれているんだ。
でも――その時だった。
「ユウキ……?」
見学席の隅から、聞き覚えのある声が聞こえた。
振り返ると、そこには――
「ま、美咲!?」
本物の美咲がいた。
この異世界に、俺と同じように転生してきた美咲が。
「やっぱりユウキなのね……私も気づいてたの。あなたの後ろ姿、忘れるわけないもの」
美咲の表情は複雑だった。
懐かしさと、戸惑いと、そして何か言いたげな感情が混じり合っている。
「なんで美咲がここに……」
「私も転生したのよ。魔法学院の上級生として。でも……」
美咲が俺と、実技試験を終えて嬉しそうに手を振るリリアナを交互に見る。
「あの子のこと、好きになったの?」
美咲の直球な質問に、俺は言葉に詰まった。
「それは……」
「いいのよ、答えなくても。あなたの顔見ればわかるもの」
美咲が小さく笑う。でもその笑顔はどこか寂しそうだった。
「美咲……」
「でもね、ユウキ。あの子のこと、よく見た方がいいよ」
「え?」
「あの子……私たちのこと、知ってるかもしれない」
美咲の言葉の意味がわからないまま、俺はリリアナの元へ向かった。
「ユウキさん! 見てました? うまくいったでしょう?」
「ああ、すごかったよ」
リリアナが嬉しそうに笑う。
でも俺の心は美咲の言葉でざわついていた。
リリアナが俺たちのことを知っている?
それってどういう意味だ?
## 第三章 すれ違う想い
美咲の忠告が気になって、俺はリリアナの行動を注意深く観察するようになった。
すると確かに、おかしなことがいくつもあった。
「ユウキさん、コーヒーはいかがですか?」
学院の食堂でリリアナがコーヒーを勧めてくる。
「あ、ありがとう」
そのコーヒーは、俺の好みにぴったりだった。
砂糖は入れずに、ミルクだけたっぷり。
まさに俺が前世でいつも飲んでいた通りの味だ。
「美味しいでしょう? 私、コーヒーの淹れ方には自信があるんです」
「ああ、すごく俺好みで……」
リリアナの笑顔に、俺は違和感を覚えた。
偶然にしては出来すぎている。
別の日には――
「ユウキさん、この本面白いですよ」
リリアナが差し出したのは、この世界の冒険小説だった。
読んでみると、確かに面白い。
主人公が魔物と戦いながら仲間と友情を深めていく話で、俺がゲームやラノベで好きなジャンルにドンピシャだ。
「どうしてこの本が俺の好みだってわかったの?」
「え? あ、あの……冒険者さんならきっと好きだろうなって思って……」
リリアナの答えは少し歯切れが悪かった。
そして決定的だったのは――
「ユウキさんの故郷って、どんなところなんですか?」
散歩中にリリアナが何気なく聞いてきた。
「俺の故郷?」
「はい。きっと素敵なところなんでしょうね」
俺は適当にこの世界の地名を言おうとした。でも――
「そうですね……桜の花がきれいな、静かな街でした」
なぜかそう答えていた。前世の俺の実家の話を。
「桜……きれいでしょうね。私も見てみたいです」
リリアナの表情が一瞬、悲しげになった。
でもこの世界に桜なんてあるのだろうか?
その夜、俺は美咲に会いに行った。
「やっぱり来たのね」
美咲は上級生寮の談話室で俺を待っていた。
「美咲、リリアナのこと、もう少し詳しく教えてくれる?」
「……そうね。話した方がいいかもしれない」
美咲が重い口を開いた。
「私、転生してからずっとあの子のことを調べてたの。そうしたら……あの子も転生者だったのよ」
「え!?」
「しかも……ユウキ、覚えてる? 私があなたを振った理由」
美咲の言葉に、俺の胸が痛んだ。
忘れるはずがない。
「就職の話……だったよな」
「そう。私、東京の会社に就職が決まって、あなたは地元に残りたがってた。遠距離恋愛は無理だって、私が一方的に別れを切り出したのよ」
「……うん」
「でもね、本当の理由は違ったの」
美咲が俯く。
「私、他に好きな人ができちゃったのよ。同じ大学の先輩で……でも、そんなこと言えなくて、就職を理由にあなたを振った」
「そんなこと……」
「その先輩の名前……星野太一。私の後に転生したのが――」
「まさか……」
「リリアナよ。星野太一が、リリアナ・フォン・アルトハイムとして転生したの」
俺の頭の中が真っ白になった。
「つまり……俺は、俺を振った美咲の新しい恋人に惹かれてるってこと?」
「そういうこと。しかも、リリアナは私たちのことを覚えてる。確信してるわ」
俺は頭を抱えた。
なんという複雑な状況だ。
「でも……なんでリリアナは俺に近づいてきたんだ? 前世では美咲を俺から奪ったんだろ?」
「それは……わからない。でも」
美咲が俺を真剣な眼差しで見つめる。
「あの子の今の気持ちは本物だと思う。あなたに対する恋心は、前世とは関係ない純粋なものよ」
「どうしてそう思うの?」
「女の勘。それに……あの子の表情、私にはよくわかるのよ。同じ人を好きになった者同士として」
美咲の言葉は複雑だった。
嫉妬と、諦めと、そして優しさが混じり合っている。
「美咲……」
「私のことはいいのよ。もう昔の話だもの。それより……」
美咲が立ち上がって俺の肩に手を置く。
「あなたの気持ちはどうなの? リリアナのこと、本当に好きなの?」
俺は答えられなかった。
リリアナへの想いは確かにある。
でも、それが美咲への想いの延長なのか、それとも純粋にリリアナ個人への恋心なのか、自分でもわからなくなっていた。
「俺……わからないよ」
「なら、確かめてみたら? あの子と向き合って、本当の気持ちを」
美咲の提案は的確だった。でも同時に、とても怖くもあった。
もしリリアナが本当に星野太一の転生で、俺たちのことを知っていたとしたら――そして俺を好きになったとしたら――それはとても複雑で奇妙な愛の三角関係になってしまう。
でも逃げてはいけない。
前世の自分は美咲を失って後悔した。
今度は自分の気持ちと正直に向き合いたい。
「わかった。リリアナと話してみる」
「そうね。きっと、それが一番いいと思う」
美咲が微笑む。
その笑顔は、昔の恋人としてではなく、友人としての温かさに満ちていた。
「ありがとう、美咲」
「どういたしまして。でも……ユウキ」
「ん?」
「もし今度うまくいかなくても、今度は私が慰めてあげるからね」
美咲がいたずらっぽく笑う。
俺も思わず笑ってしまった。
「それはそれで複雑だな」
「そうでしょうね」
俺たちは昔の恋人同士としてではなく、異世界で再会した友人として笑い合った。
そしてその時初めて、俺は美咲との関係に区切りをつけることができた気がした。
今度は、リリアナと向き合う番だ。
## 第四章 魔法と真実
翌日、俺はリリアナを王都の公園に呼び出した。
「ユウキさん、どうしたんですか? 急にお呼び出しなんて……」
「ちょっと、話したいことがあるんだ」
俺たちは公園のベンチに腰掛けた。
夕日が二人を照らし、ロマンチックな雰囲気になる。
でも俺の心は複雑だった。
「リリアナ……君は、転生者だよね」
俺の直球な質問に、リリアナの顔が凍りついた。
「え……あ、あの……」
「隠さなくてもいい。俺も転生者だから」
「ユウキさんも……」
リリアナが小さくつぶやく。
「君の前世の名前……星野太一だよね」
その名前を出した瞬間、リリアナの目に涙が浮かんだ。
「どうして……どうして知ってるんですか」
「美咲――高校時代の俺の彼女が、同じように転生してきてるんだ。彼女から聞いた」
「美咲さん……」
リリアナが俯く。
「そっか……やっぱり、いらしたんですね」
「リリアナ……太一……どうして俺に近づいたんだ?」
俺の問いに、リリアナは長い間沈黙していた。
そして、ゆっくりと口を開いた。
「私……太一の時から、田中雄太っていう人のことを知ってたんです」
「え?」
「美咲さんから、よく話を聞いてました。元カレの話を。優しくて、真面目で、でも少し頼りなくて……」
リリアナが小さく笑う。
「最初はただの『元カレ』としか思ってませんでした。でも、美咲さんと付き合っているうちに、だんだん気になってきたんです」
「気になる?」
「美咲さん、あなたのことを話すとき、すごく優しい顔をするんです。別れたのに、今でも大切に思ってるんだなって」
リリアナの告白に、俺は言葉を失った。
「それで……嫉妬したんです。美咲さんが過去の恋人をそんなに大切に思ってることに」
「嫉妬……」
「はい。だから、田中雄太がどんな人なのか、すごく知りたくなったんです。美咲さんから色々聞いて……好きなもの、嫌いなもの、癖、考え方……全部」
それで俺の好みを知っていたのか。
「でも、実際にお会いしてみて……驚きました」
「何に?」
「私、あなたのこと……好きになっちゃったんです」
リリアナの告白に、俺の心臓が跳ねた。
「太一として美咲さんの元カレに嫉妬してたのに、リリアナとして、その本人を好きになってしまって……なんて皮肉なんでしょうね」
リリアナが自嘲的に笑う。
「でも……これって、おかしいことですか? 前世の関係にとらわれて、今の気持ちを諦めなきゃいけないんですか?」
リリアナの問いかけに、俺は答えられなかった。
「俺も……君のことが気になってる」
「本当ですか?」
「でも、それが君個人への気持ちなのか、美咲への想いの延長なのか、自分でもわからないんだ」
正直な気持ちを伝えると、リリアナは悲しそうに笑った。
「そうですよね……私も、あなたを好きになったのが、美咲さんへの対抗心からなのか、純粋な恋心なのか、わからなくなることがあります」
二人で抱える複雑な想い。
どこから来た感情で、どこへ向かっているのかわからない。
「でも……」
リリアナが俺を真剣に見つめる。
「一つだけ確かなことがあります」
「何?」
「今、この瞬間の私の気持ちは本物です。ユウキさん――田中雄太さんのことが、心から好きです」
リリアナの真剣な告白に、俺の心が震えた。
「たとえ前世でどんな関係だったとしても、今の私はリリアナで、今のあなたはユウキさんです。過去は過去。今の私たちで、新しい関係を築いていけませんか?」
リリアナの提案は魅力的だった。でも同時に、美咲のことが頭をよぎる。
「美咲のことは……」
「美咲さんには、ちゃんと話します。前世でのこと、今の気持ちのこと、全部」
リリアナの覚悟に、俺は圧倒された。
「リリアナ……」
「お返事は急がなくてもいいです。でも……逃げないでください。私と向き合ってください」
リリアナがそう言って立ち上がった。
「明日の夜、学院の屋上で待ってます。もう一度、今度はお互いの全てを知った上で、お話しましょう」
リリアナが去っていく。
俺はベンチに座ったまま、夕日を見つめていた。
前世の関係を超えて、新しい恋を始めることはできるのだろうか。
そして俺は、本当にリリアナを愛しているのだろうか。
答えを見つけるために、俺は明日の夜を待つことにした。
## 第五章 月夜の告白
約束の夜、俺は魔法学院の屋上に向かった。
屋上からは王都の夜景が一望できた。
魔法の明かりで彩られた街並みが、まるで宝石箱をひっくり返したように美しく輝いている。
「来てくださったんですね」
振り返ると、リリアナが月光に照らされて立っていた。
いつもの学院の制服ではなく、淡い青色のドレスを着ている。
「そのドレス……」
「あ、これですか? 魔法学院の舞踏会用なんです。今日は特別な日だと思って……」
リリアナが恥ずかしそうに笑う。
月光の下で見るリリアナは、本当に美しかった。
「リリアナ……昨日の話なんだけど」
「はい」
俺たちは屋上の手すりにもたれかかった。
「俺、一晩考えてみたんだ。君への気持ちが何なのか」
「……はい」
俺は夜空を見上げた。
この世界の星座は地球とは違っていたけれど、同じように美しく輝いている。
「最初は確かに、美咲への想いの延長だったかもしれない。君を見ていると、美咲との思い出がよみがえってきて……」
リリアナが悲しそうな表情を浮かべる。
「でも、君と過ごす時間が増えるにつれて、気づいたんだ」
「何に、ですか?」
「君は美咲じゃない。まったく違う人なんだって」
俺はリリアナの方を向いた。
「美咲は強い人だった。自分の意見をはっきり言って、周りを引っ張っていく。でも君は違う。優しくて、相手のことを第一に考える。魔法の才能があるのに謙虚で……」
「あの……」
「それに、美咲は俺の話をあまり聞いてくれなかった。最後の方は特に。でも君は、俺のつまらない冒険話も真剣に聞いてくれる」
リリアナの目が潤んでいるのが見えた。
「だから気づいたんだ。俺が好きになったのは『美咲に似た人』じゃない。『リリアナ』っていう一人の女性なんだって」
「ユウキさん……」
「前世の関係なんて関係ない。今の俺は、今の君が好きだ」
俺の告白に、リリアナの涙がこぼれた。
「本当ですか?」
「ああ。だから……君も前世のことは忘れよう。太一として俺に近づいたとしても、今の君の気持ちが本物なら、それでいいじゃないか」
俺がそう言うと、リリアナは首を振った。
「でも……私には、もう一つ話さなければならないことがあります」
「え?」
リリアナが深呼吸をする。
「実は……美咲さんと太一の関係も、もう少し複雑なんです」
「どういうこと?」
「太一は……美咲さんのことを本当は愛していませんでした」
俺は驚いた。
「え? でも美咲と付き合ってたんだろ?」
「はい。でも……太一が美咲さんと付き合った理由は、美咲さんが『田中雄太の元カノ』だったからです」
「は?」
リリアナの告白に、俺の頭が混乱した。
「太一は最初から、田中雄太に興味があったんです。同じ大学にいるのに一度も話したことがない、でも美咲さんからよく話を聞く『謎の元カレ』に」
「まさか……」
「太一は……男性が好きだったんです。でも、それを認めたくなくて、美咲さんと付き合った」
俺の世界がひっくり返った。
「つまり……太一は美咲を利用して、俺に近づこうとしてたってこと?」
「そうです。でも、美咲さんと別れる前に太一は事故で死んでしまって……結局、田中雄太に会うことはできませんでした」
リリアナが俯く。
「そして転生した世界で、まさか本人に出会うなんて……最初は運命だと思いました」
「運命……」
「でも、実際にお会いしてみて……私の気持ちは変わったんです」
リリアナが俺を見つめる。
「太一として田中雄太に憧れていたのは事実です。でも、リリアナとしてユウキさんを好きになったのも事実なんです」
「リリアナ……」
「前世の太一の気持ちと、今のリリアナの気持ちは違います。太一は憧れでしたが、リリアナは恋なんです」
リリアナの告白は衝撃的だった。
太一は俺に憧れていた?
そして美咲を利用していた?
「でも……それじゃあ美咲は?」
「美咲さんは何も知りません。太一が自分を愛していると信じていました」
俺は頭を抱えた。なんという複雑な関係だ。
「美咲に真実を話すべきなのか……」
「それは……ユウキさんが決めてください。でも私は、美咲さんには申し訳ないことをしたと思っています」
リリアナの涙が頬を流れる。
「私……太一の時の記憶があるから、美咲さんを傷つけたことを覚えてるんです。それがずっと心の重荷で……」
「リリアナ……」
俺はリリアナを抱きしめた。
「君は太一じゃない。リリアナは優しい人だ。太一がしたことの責任を背負う必要はないよ」
「でも……」
「過去は変えられない。でも未来は変えられる。今度は、みんなが幸せになれる道を探そうよ」
俺の言葉に、リリアナが顔を上げた。
「ユウキさん……私のこと、まだ好きでいてくれますか?」
「当たり前だろ」
俺はリリアナの頬に触れた。
「前世がどうであれ、今の君は俺の大切な人だ」
「私も……ユウキさんのことが大好きです」
月光の下、俺たちは静かに口づけを交わした。
前世の複雑な関係を乗り越えて、ようやく結ばれた二人の心。
でも同時に、美咲への罪悪感も心の片隅にあった。
この関係を美咲に話すべきなのか。
そして、美咲は太一の本当の気持ちを知るべきなのか。
俺たちの愛の始まりは、同時に新たな悩みの始まりでもあった。
## 第六章 それぞれの道
リリアナとの関係が始まって一週間。
俺たちは恋人同士として、学院で時間を過ごしていた。
「ユウキさん、あーん」
「お、おい、人が見てるって」
学院の食堂でリリアナが俺に手作りのサンドイッチを食べさせようとする。
周りの学生たちがくすくす笑っているのが見えて、俺は恥ずかしくなった。
「でも、恋人同士なんですから、これくらいいいでしょう?」
「まあ……そうだけど」
リリアナの積極的なアプローチに、俺は戸惑いつつも嬉しかった。
前世の美咲はあまりこういうことをしてくれなかったから。
「あ、美咲先輩」
エミリアの声で振り返ると、美咲が食堂に入ってきた。
俺たちを見つけると、複雑そうな表情を浮かべる。
「美咲……」
「お疲れさま。仲良さそうね」
美咲の言葉には刺がなかったけれど、どこか寂しそうだった。
「美咲先輩、よろしければ一緒にお食事を」
リリアナが席を勧める。
美咲は少し迷った後、腰を下ろした。
「それで……お二人は付き合ってるのね」
「はい」
リリアナがきっぱりと答える。
「そう。良かったじゃない」
美咲が微笑むが、その笑顔には影があった。
「美咲……大丈夫?」
俺が心配そうに尋ねると、美咲は首を振った。
「大丈夫よ。もう昔のことだもの」
でも美咲の表情を見ていると、本当に大丈夫とは思えなかった。
その夜、俺は美咲の部屋を訪ねた。
「来ると思ってた」
美咲は俺を部屋に招き入れた。
上級生の個室は一般の寮より広く、勉強机や本棚が整然と並んでいる。
「美咲、本当に大丈夫なの?」
「何が?」
「俺とリリアナのこと」
美咲がソファに座りながら苦笑する。
「正直に言うと……少し寂しいかな」
「美咲……」
「でも、嫉妬してるわけじゃないのよ。ただ……」
美咲が窓の外を見つめる。
「あの子と話してたら、太一のことを思い出すの」
「太一のこと?」
「あの人、最後の方はよく言ってたのよ。『美咲には もったいない』って」
美咲の告白に、俺は驚いた。
「もったいない?」
「『美咲はもっといい人と付き合うべきだ。俺なんかじゃ釣り合わない』って。でも私にはその意味がわからなくて……」
美咲が振り返る。
「今思えば、太一は自分の本当の気持ちに苦しんでたのかもしれないわね」
「美咲は……太一の本当の気持ちを知りたい?」
俺の問いに、美咲は長い間沈黙した。
「……知りたいような、知りたくないような」
「どういうこと?」
「もし太一が私を愛してなかったとしても、私にとって太一との時間は大切な思い出なのよ。それを壊したくないって気持ちもある」
美咲の言葉に、俺は考え込んだ。
真実を知ることが、必ずしも幸せに繋がるとは限らない。
「でも……」
美咲が俺を見つめる。
「もし太一が私を利用してあなたに近づこうとしてたなら、それはそれで面白い話ね」
「え?」
「だって、結局太一はリリアナとしてあなたと結ばれたんでしょう? 回り道だったけど、太一の願いは叶ったってことじゃない」
美咲の前向きな解釈に、俺は驚いた。
「美咲……」
「私はね、太一に感謝してるのよ」
「感謝?」
「太一と付き合ったおかげで、あなたへの気持ちを整理できたもの」
美咲が微笑む。
「あなたと別れた時、私は後悔してた。でも太一と付き合って気づいたの。私があなたと付き合ってた時は、まだ子供だったって」
「子供?」
「恋愛ごっこをしてただけ。本当の意味で相手を理解しようとしてなかった」
美咲が立ち上がって俺の隣に座る。
「でも今は違う。あなたがどんな人で、何を大切にしてるか、よくわかる。そして……」
「そして?」
「今のあなたと今の私は、恋人同士じゃなくても、いい関係でいられるって思うの」
美咲の言葉に、俺の心が軽くなった。
「ありがとう、美咲」
「こちらこそ。あなたがリリアナと幸せになってくれて、私も嬉しいのよ」
美咲が俺の手を握る。
「でも一つだけお願いがあるの」
「何?」
「リリアナを大切にして。あの子は純粋で優しい子よ。きっと、太一以上に素晴らしい人になる」
「わかってる」
「それと……」
美咲がいたずらっぽく笑う。
「たまには私のことも思い出して。私たちの思い出も、悪いものばかりじゃなかったでしょう?」
「当たり前だろ。美咲は俺の大切な人だよ。昔も今も」
「そう言ってもらえると嬉しいわ」
俺たちは昔の恋人同士としてではなく、互いを理解し合う友人として微笑み合った。
そしてその時、俺は決心した。
リリアナには太一の本当の気持ちを話さないことに。
それは美咲を傷つけるだけでなく、リリアナ自身も苦しめることになる。
過去は過去。大切なのは今の気持ちだ。
俺とリリアナ、そして美咲。それぞれが新しい道を歩んでいけばいい。
## 第七章 新たな冒険
それから数ヶ月が経った。
俺は正式に魔法学院の特別講師として採用され、実戦経験を活かした授業を受け持つことになった。
リリアナは優秀な成績で学年を修了し、今は上級クラスで高度な魔法を学んでいる。
美咲は学院を卒業して王宮魔導士として働いており、時々学院に顔を出しては俺たちと談笑する仲だった。
「ユウキ先生、今日の授業も面白かったです!」
放課後、リリアナが嬉しそうに駆け寄ってくる。
「ありがとう。でも授業中は『先生』って呼ぶのに、今は『さん』なのか?」
「だって……」
リリアナが頬を赤らめる。
「恋人を『先生』って呼ぶのは変でしょう?」
「まあ、そうかもな」
俺たちが校門を出ると、美咲が待っていた。
「お疲れさま、お二人さん」
「美咲先輩!」
リリアナが嬉しそうに手を振る。
最初はぎこちなかった二人の関係も、今では本当の友達のようになっていた。
「今日は三人で食事でもしない? 王宮の食堂、なかなか美味しいのよ」
「いいですね!」
三人で王都の街を歩きながら、俺は不思議な気持ちになった。
前世では複雑だった関係が、異世界では自然な形に落ち着いている。
「そういえば」
食事中に美咲が口を開いた。
「来月、王国主催の魔法大会があるの。リリアナも出場するんでしょう?」
「はい! ユウキさんに応援してもらえるなら、きっと頑張れます」
「俺だけじゃなくて、美咲も応援してくれるよな?」
「もちろんよ。リリアナの魔法、私も楽しみにしてるもの」
美咲とリリアナが笑い合う。本当に仲良くなったものだ。
「でも……」
リリアナが急に真剣な顔になる。
「大会が終わったら、お二人にお話ししたいことがあります」
「話したいこと?」
「はい。とても大切な話です」
リリアナの表情に、俺は少し不安を覚えた。
まさか太一のことを話すつもりなのだろうか。
「まあ、大会が終わってからね」
美咲が場を和ませるように笑う。
「今はリリアナの応援に集中しましょう」
そして魔法大会当日。
王都の大闘技場には大勢の観客が詰めかけていた。
俺と美咲は貴賓席でリリアナを見守る。
「緊張してるかしら」
「大丈夫だよ。リリアナは強い子だから」
俺の言葉通り、リリアナは予選を順調に勝ち抜いていく。
炎、氷、雷――様々な属性の魔法を駆使して戦う姿は本当に美しかった。
「すごいじゃない。あの子、本当に才能があるのね」
美咲も感心している。
そして決勝戦。相手は王国でも有名な上級魔導士だった。
「リリアナ、頑張れ!」
俺が声援を送ると、リリアナが振り返って微笑んだ。
決勝戦は激戦だった。相手の魔導士も手強く、リリアナは何度も窮地に追い込まれる。
「頑張って、リリアナ!」
美咲も立ち上がって応援している。
そして最後の瞬間――
「――エターナル・フレア!」
リリアナが新たな魔法を詠唱した。今まで見たことのない、美しくも強力な炎の魔法だった。
会場が静寂に包まれ――そして大きな拍手が響いた。
「優勝者、リリアナ・フォン・アルトハイム!」
アナウンサーの声と共に、俺と美咲は席から立ち上がって拍手した。
「やったね!」
「素晴らしかったわ!」
表彰台で王冠を受けるリリアナは、本当に輝いて見えた。
## 最終章 すれ違いの真実
大会から一週間後。リリアナは俺たちを学院の屋上に呼び出した。
「お疲れさまでした。優勝おめでとう」
美咲が花束を渡すと、リリアナは嬉しそうに受け取った。
「ありがとうございます。お二人に応援していただいたおかげです」
「それで、大切な話って?」
俺の問いに、リリアナは深呼吸をした。
「実は……私、この世界の記憶を取り戻したんです」
「え?」
俺と美咲が同時に声を上げた。
「この世界の記憶?」
「はい。私……元々この世界の住人だったんです」
リリアナの告白に、俺たちは言葉を失った。
「どういうこと?」
「私は生まれた時からリリアナ・フォン・アルトハイムでした。でも七歳の時に大きな事故に遭って、記憶を失ったんです」
リリアナが夕日を見つめる。
「そして意識を取り戻した時、なぜか星野太一という人の記憶が混じっていました」
「まさか……」
「おそらく、太一さんの魂と私の魂が、事故の瞬間に混ざり合ったんだと思います」
俺は驚愕した。つまりリリアナは転生者ではなく、この世界の住人だったということか。
「でも……太一の記憶があったのは事実です。だから美咲さんと田中雄太さんのことも知っていました」
「そんな……」
美咲が震え声で言う。
「じゃあ、太一は……」
「太一さんの魂は、きっと本来行くべき場所に向かったんだと思います。私の中に残ったのは、記憶の断片だけ」
リリアナが振り返る。
「でも……その記憶のおかげで、運命の人に出会うことができました」
「運命の人?」
「ユウキさん――田中雄太さんです」
リリアナが俺を見つめる。
「太一さんの記憶で田中雄太という人を知って、興味を持ちました。でも実際にお会いして恋に落ちたのは、リリアナとしての純粋な気持ちです」
「リリアナ……」
「つまり、私たちのすれ違いは必然だったんです。太一さんの記憶がなければ、私はユウキさんに気づくことさえなかったかもしれません」
リリアナの話を聞いて、俺は全てが繋がった気がした。
太一は美咲を愛していなかった。
でも美咲を通して俺に興味を持った。
美咲は太一を愛していたけれど、太一の本当の気持ちは知らなかった。
そしてリリアナは太一の記憶を持ちながらも、純粋に俺を愛した。
全てがすれ違いで、でも全てが必然だった。
「じゃあ……太一の気持ちは」
美咲が不安そうに尋ねる。
「太一さんは……美咲さんのことは好きだったと思います」
リリアナがそう答えると、美咲は安堵の表情を浮かべた。
「ただ、それは恋愛感情とは違う種類の好意だったかもしれません。でも、美咲さんと過ごした時間を大切に思っていたのは間違いありません」
「そう……ありがとう」
美咲が涙を拭う。
「それで十分よ。太一との思い出は、私にとって大切なものだから」
俺たちは夕日の中で静かに立ち尽くした。
「ねえ」
美咲が急に明るい声を出す。
「これで全部わかったわね。もうすれ違いはおしまい」
「そうですね」
リリアナが微笑む。
「今度は、みんなで同じ方向を向いて歩いていきましょう」
俺も二人に笑いかけた。
「そうだな。もうすれ違いは十分だ」
三人で肩を並べて夕日を見つめる。
前世の複雑な関係も、この世界での混乱も、全てが必然的な出来事だったのかもしれない。
そして今、俺たちは新しいスタートラインに立っている。
過去のすれ違いを乗り越えて、未来に向かって歩んでいく――そんな気持ちで、俺たちは夕日の中に立ち続けた。
【おわり】
---
**あとがき**
この物語は「すれ違い」をテーマに書かせていただきました。恋愛においても人生においても、私たちはしばしば大切な人とすれ違ってしまいます。でも、そのすれ違いがあったからこそ学べることや、成長できることもあるのではないでしょうか。
主人公のユウキ(田中雄太)、ヒロインのリリアナ、そして美咲の三人は、前世での複雑な関係から始まって、異世界で新たな関係を築いていきます。最初はお互いを誤解し、過去の感情に振り回されながらも、最終的には互いの本当の気持ちと向き合うことができました。
特に印象的だったのは、リリアナ(星野太一)の設定です。前世では美咲への複雑な感情から田中雄太に興味を持ちながらも、転生後は純粋にユウキを愛するようになる――この心境の変化を描くことで、「人は変われる」「過去に縛られる必要はない」というメッセージを込めました。
また、美咲の成長も描きたかった要素の一つです。前世では若さゆえの未熟さで雄太を傷つけてしまった彼女が、異世界では大人の女性として二人の関係を温かく見守る存在になる。これもまた、時間が人を成長させるということの表れです。
恋愛コメディーとして楽しんでいただきながらも、「過去のすれ違いを乗り越えて前向きに生きていく」というメッセージが読者の皆様に届けば幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
皆様の人生にも、美しいすれ違いと、それを超えた素晴らしい出会いがありますように。
異世界転生のすれ違い トムさんとナナ @TomAndNana
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