夏めく夢

葉野亜依

夏めく夢

軒下に吊り下げられた風鈴が風と知らせる君の来訪


君の声かき消す蝉のその声が耳に届いたとある真夏日


楽し気に微笑む顔が見えぬから退いておくれよ麦わら帽子


縁側に座る一つの影法師その傍らに西瓜二切れ


太陽を仰ぎ見つめる向日葵によく似た君と僕の関係


扇風機回し続けて寝る僕を連れ出す君はまるで夕立


ふわふわの入道雲を口にする君から香る甘い香りが


うたかたのラムネの中に浮かぶのはビー玉一つ夏の思い出


庭先に大きく咲いた朝顔を見て思い出す白地の浴衣


月火水木金土日繰り返すそれでも来ないあの夏の日は

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夏めく夢 葉野亜依 @ai_hano

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