かわいくてあたたかいメイドさん♡劇場

冒険者たちのぽかぽか酒場

第1話 ユララさんは、優秀でかわいらしいメイドさん!あたたかいメイドさんに、恋をして…?でも、ちょっぴりホラーで…

うちで働くメイドのユララさんは、優秀でかわいらしい言い方をする。

 「そういうの、ちょっといじわるじゃありませんか?」

良いね~。

 「お帰りなさいませ!冥土の土産を、持ってまいりました」

 たまにはそんな寒いことも言うが、正確でも冷たく感じるAIロボットより、彼女のほうが好きだ。

 「電源オフ、オフ!」

 そう言って、家電からはじまって何でも電源を切ってしまう困ったクセもあるけれど。

 彼女には、省エネのくせがついたらしい。

 まあ、優秀なメイドにはちがいないから良い?

 「やっぱりユララさんは、最高のメイドだよ」

 「あら、私をほめてくださるんですか?」

 「…ダメ?」

 「ダメではないと思いますが、何も出ませんよ?」

 「ユララさんには、AIロボットには出せないあたたかさがある」

 「そういうの、ちょっといじわるじゃありませんか?」

 相変わらずの、彼女流な決めゼリフ。

 「AIロボットといえば、人は、ロボットにあたたかみと人間らしさを感じられたとき、そのロボットに恋心が芽生えるものなんですよ?でも…」

 でも…?

 でも、不思議な幸せだよな。

 彼女の作る料理は、いつもいつも、オレが何か食べたいときのタイミングで出てくるんだし。

 「ユララさんって、オレの気持ちとかタイミングを感じられるのかな」

 面白いのは、調理道具のないキッチンの裏に料理を持っていって、大きな声で歌いながらから運んでくる点。

 「ラララ~♪」

 オレは結局、都合良くこう考えてしまうのだった。

 「ユララさんは、オレを好きになっているにちがいない」

 メイドさん恋?

 彼女を見つめると、かわいらしい声でプリプリと怒ってくるだけ。

 「わ、私を疑っているんですか?」

 ついに、彼女のお腹が開く!

 「ごめんね…」

 電子レンジが入っていた。

 「そんな。AIロボットだったなんて…」

 彼女が「ラララ~♪」って歌っていたのは、チン!というレンジの音をごまかすため?

 オレは、オレの背中にあるタイマーボタンを押した。

 疲れたので、100年ほど休むために。

 再起動して彼女と再会するときが、楽しみだ。

 また会おうね、ユララさん♪

 って、待てよ。

 彼女は、あの困ったクセを治してくれているだろうか?

 「電源オフ、オフ!」

 お願いです。

 それはやめ…。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

かわいくてあたたかいメイドさん♡劇場 冒険者たちのぽかぽか酒場 @6935

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ