サンダルの砂

中村祐希

サンダルの砂

わたしだけ毛だらけでいる 手をつなぐ練習相手としてのパラソル


縋りつくように絡めた一方はレースになって他方は毛玉


おー、と手を振られておー、と息を吐く 接点Pの位置を求めよ


感嘆符ばかりのLINE 壁は青い らしいことなどひとつもなくて


まっとうに知り合えないから二人分ホロスコープ屋に日付を売った


顔の無い音声通話が夜を滑る どうしてイヤホンジャックを消したの?


憶えてくれね ベルガモットと3行に満たないポストを交互に嗅いだ


サンダルに入る砂たち パターン化されたエモでも捨てられるだけ


独り身には贅沢なものあげてけ 季節のフルーツ/花/墓/あなた


笑いつつ 一人<- null ひとりぬる夜が明けるまでダウンのリズムをとる高架下

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サンダルの砂 中村祐希 @yuuki_utayomi

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