石ころのうた
吉晴
石ころのうた
満足か否かの問いに目を伏せる
私は石ころですから、なにも
寄り添って咲くたんぽぽさえ うらやんで
てるてる坊主を逆さまに吊る
「歯車になるな」の訓示がのしかかる
愚者はそれをも いのちと背負いて
迷子の手 離れ 魔法は解けてゆく
小石蹴られて 雑踏の黙
歓喜する職場の片隅
千枚コピーのぬくもり 白き指先
追い詰める罵声に 幻覚
腹を割く菊一文字 血飛沫の舞い
逆光に呼ぶ声から逃げ息殺す
また捨てるなら どうかこのまま——
「砦」だと呼ばれし夜は海へ落つ
呑まれて沈み ゆらり、ぐるり
孤独とは足枷 確かに愛してた
砕けた欠片の映す祈りは
我が背に巣喰いしヤドリギ刈り燃やす
煙は一筋、空へと 合掌
石ころのうた 吉晴 @tatoebanashi
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます