夜明けの鳥

@requiem_

プロローグ

例えば、夢見る時がある。

大きな白い羽を持った鳥が一羽、僕に向かって飛んでくる。

その見たこともない鳥が僕に近づき、朝日のような眩しく優しい微笑みをふわーと浮かべ話しかける。「大丈夫だよ。君はもう大丈夫。私が助けるから」その瞬間、涙が頬を伝った。僕はその大きな瞳に問いかける。「ここはどこ?あなたは誰?」するとその鳥は僕を優しく包み込んだ。涙が溢れて視界が滲む。まるで湧水みたいに身体中に広がっていく。「離れたくない、ずっとこのままでいたい。」ただその感情だけが今の僕を生み出している。するとその白い鳥は僕の胸に手を当て、火照命を灯した。そして来た時と同じように大きくて白い羽を羽ばたかせながら遥か彼方へ飛び立っていった。僕はその鳥にもう一度逢いたい。目が覚めてもずっと一緒にいたい。そんな奇蹟が起きればいいのにとずっと願っている。そんな奇蹟が起きないことは、分かっている。

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