短歌塾、セリフで詠む、どう言う事かと思わず考え込んでしまうお題でもあります。
語弊を含んでしまいますが、口語体の現代短歌というものは極端に言ってしまえば全部セリフです(極端に言えばです、笑)。
一番わかりやすい例を出せば、選者のお一人である初谷むい様の、
【カーテンすりぬけて風がやってきてくれてわたし神社みたいだった】
これってセリフって言えるなぁって思います。誰かに語り掛けているとも言えますが、これは「独り言」であり、その瞬間が美しいなぁと思います。
上記はわかりやすいですが、口語体短歌で詠めばどんな難しい事を詠もうが、「独り言です」としてお題は成立してしまう訳です。
とはいえ、お題の本来の目的を見失ってはいけません(笑)。明確な意志を持って第三者に語る「セリフ」、例えば「羊たちの沈黙」の名セリフ。
「そいつの肝臓をソラマメと極上のキャンティと一緒に食ってやった」
※(キャンティはキャンディでなくワインです)
これって解釈の仕方で、すごく短歌です(笑)。そういう風に面白いセリフで詠めばいいのだと思います。
さて、本作から、
「言ってみて『わが生涯に一片の悔いなし』と なんかその気に なってくるから」
僕はラオウが好きなので強烈に響き、なんかその気になりました(笑)。
自ら誰かに語るセリフに「名言」である他のセリフを重ねる、さらに北斗の拳のラオウという面白さ。その他にも「S'il vous plaît~」という首も面白くて、その感受性の豊かさに驚かされる事間違いなしです。
お勧め致します。
難しく考えず、思い切って詠んで見る、そういう行動的で冒険性に満ちた楽しい短歌に溢れております。その中には示唆に飛んだり、アイロニカルであったり、はっとさせられたり、と思わずワクワクさせられます。僕は短歌って、こういう風に楽しいのがいいなぁと思いました。
皆様、宜しくお願い致します( ;∀;)