第22話 世界的薬学者の悪意
一
ロイは、午後六時半過ぎに病院を出て、福山駅から
金曜夜の広島は、アーケード街全体が人波で
店の前で、
「忙しかったんだろう? 広島まで来てもらって、大丈夫だったのか」
「ええねん。たまにはポンコツ教授にも出番を与えたほうが、しゃっきりしてくれるやろ」
二人は、
熱い鉄板を挟み、冷えた生ビールで乾杯する。ロイは、店内を見廻した。鉄板が
「お前の根っこは、やっぱり広島にあるんやな。お気に入りは、広島焼の店か」
伊豫の細い目が、
「『お好み焼きの店を予約しろ』って指定したのは、お前だろ?」
ロイは、はたと行き違いに気付いた。伊豫へは、「お好みの店を予約しといて」とメールしただけだ。
「確かに、大阪人が言う『お好み』は、『お好み焼き』の略称の場合があるわな。『今日の昼は、お好みを
「じゃあ、俺はただ、自分好みの店を選べば良かったのか……日本語って、難しいな」
「ま、ええやん。
「なぜだ? 『お好み焼き』と書かれたこの店の
「この店で出て来るんは、お好み焼きでは無い。広島焼や」
「広島焼は、つまり
「
「声を小さくしろ! お前、生きて広島を出られんぞ。……異物って、
「じゃあ、訊くで? お前は、神戸の『ソバめし』を、焼きソバか
「分類する必要が無いだろう? 『ソバめし』は『ソバめし』だ」
「その通りや。焼きソバに
「つまり……お好み焼きに麺が入ったら、お好み焼きの
「せや。それが
「また、根っこの話かよ」
伊豫の
「
瞬間凍結されたように、口を半開きのまま、伊豫が固まった。
十数秒後、ようやく言葉を発した。細い目で、ロイを
「確かに、お前はアクセルにそっくりだ。……なぜ、突然、会いに行ったんだ?」
ファースト・ネームで「アクセル」と、伊豫は呼び捨てた。
――親しい仲やんけ。
「前回、お前と
「なるほど、なるほどなぁ、そういうわけか……」
目の前のロイの存在を忘れたように、伊豫が
「何を納得してるねん? お前、俺の親父をよぅ知ってるみたいやん」
質問には答えず、伊豫の視線がロイの目を鋭く
「アクセルと、何を話したんだ?」
「その研修医は、俺の直属の後輩やねん。『若返り薬』の中身を一切知らんかったし、襲われた後はほぼ植物状態や。せやから、二度と命を狙わんよう親父に頼もうと
「今後の研究の方向には、触れなかったか?」
「
研究者なら、誰にでもできる想像だ。情報漏洩には当たらないだろう。
ふーん、と伊豫が考え込んだ。タオル
伊豫は、
「アスタリスクは……勝利の女神に逃げられたな」
「どういう意味やねん?」
「その路線だと間に合わん。恐らく、若返り時に活性化した遺伝子をスクリーニングして、お得意のワクチン製造へ持ち込むつもりだろう。最短でも一年は掛かる」
アクセルの構想を、伊豫は読み切っている。
「何に間に合わへんねん? 研究にタイム・リミットなんて無いやろ」
「臨床試験の失敗を一年も
――会社のWi‐Fiが、頻繁にハッキングされる。会社や国家への忠誠心よりも、目先の個人的な利益を優先する者が増えた――
あのとき、アクセルが嘆いていた。野心で尊大に
「アスタリスクは新薬の
あーぁ、とTVゲームに負けたように、伊豫が無邪気に笑って天を仰いだ。
「もうアスタリスクからは、カネを
伊豫と、全く話が噛み合わない。
「お前、今日は変やで。『医者は目の前の一人を救うだけだが、壮大な研究は人類を救う』んやろが」
「カネが無ければ、研究はできない。研究ができなければ、誰も救えない。自分一人すら、
「お前ほど抜きん出た研究者なら、アスタリスクのカネなんか当てにせんでも、いくらでも食って行けるやろ?」
「お前の親父のようなイェール大学卒の優秀な研究者ですら、時流に合わないと職を失う。アジアから来た俺ごときの
「せやったら、
「お医者サマにしか、言えないセリフだな。医者以外の研究者が、一度でも海外へ出ると、帰国したときの立場は保証されない。日本には、海外で優秀な業績を上げた研究者を、正当に評価して迎え入れる土壌が無い。むしろ逆風を受ける場合すらある。日本の大学職の人事は、このご時世でも年功序列や慣習やパワー・バランスで決まる。俺が今、日本で職を探しても、まず見付からない」
「医者の研究者なら、状況は
「医者の世界は、いい意味でも悪い意味でも、今なお教授の人事権と医局の繋がりが強固だ。海外で大きな研究成果を上げた医局員のためなら、教授の強権で人事を異動し、助教や講師のポジションを
「お前は、認知症の特効薬になり得る、タウ蛋白の分解酵素を発見した超有名研究者やで? 今すぐは無理でも、時間を掛けて探せば、どこかの大学や研究所の職にあり付けるやろ」
「時間など、掛けたくない。研究者の名声なぞ、一瞬で吹き飛ぶ。今、この瞬間も、俺が発見した酵素の研究を推し進めている奴が、世界じゅうにいる。カネが尽きて研究を中断した瞬間から、俺の発見者としての優位性は、
改めて、ロイは伊豫を眺めた。小柄でずんぐりしていた体型は、線が細くなり、今や貧相に見える。中年に差し掛かり、アメフトに明け暮れた高校時代よりも痩せる男が、他に
目の前の鉄板に、ソースが黒く
「酒ばっかり飲んどらんと、少しは食べろや。広島焼って、めっちゃ旨いやん。お好み焼きとして認定したってもええくらいやで」
「研究費が尽きる前に、俺は研究室を
「畳んで、どこへ行くねん」
「さぁな。どこへ行っても、どうせ俺の居場所は薄氷の上だ」
細い目の
「せや! お前、もつ煮込みが好きやったな! メニューにあるで!」
店員へ挙げたロイの手を
「もう十分だ。気を
「
肉の
「高校を卒業して、いつの間にか十七年も経った。特に海外へ出てからは、アメフト仲間とも、どんどん疎遠になった。景気やら出世やらを気にせず、今も連絡をくれるのは、お前一人だ」
周囲の客が全員振り向くほどの怒声が、ロイの口から
「どないしてん! お前らしくないやん! 皮肉と毒舌で、もっと俺を攻めて
伊豫の薄い唇が引き
「なぁ、ロイ。俺は……夢を叶えるには、自分を
ロイの左頬のケロイドが、一瞬で真っ赤に沸騰した。
「前回はカネの話で、今回は他人を犠牲にする話かい!
「ロイ、お前なら分かるだろう? 根っこを断ち切って他国で生き延びるには、笑顔のまま、異物を皿ごと何度も何度も
伊豫が、今日初めて
「
伊豫が、手を止めた。唇は、もう震えていない。無表情のまま、
「俺は、生まれ変わってやる……きっとお前は、俺を一生許さないだろう」
痩せた頬の
二
日曜日、ロイは、官舎の自室で一週間乾燥し、紫から茶へ変色した「トキモドシ」を採り込んだ。
小分けにしてジップロックに詰め、冷凍庫で保存する。一袋分は冷凍せず、フード・プロセッサーで細かく破砕した。破砕片をキッチン・スケールで二gずつに測り分け、それぞれラップに包み、冷蔵庫に入れる。
万願寺流の「
「
夜の八時過ぎだ。とうに夕食を
「TVもスマホも自由に観れるし、窓からの眺めはええし、
弾丸ツアーの疲れが取れたせいか、病室の調光が明るめのせいか、紫乃の血色は
比嘉の
ロイはデイパックを下ろし、応接セットのソファにどっかりと座った。
「こんな豪華な部屋に泊まるなんて、人生で二度と無いやろな。比嘉に感謝せぇよ」
「命を
「比嘉はハゲてないねん。
「そっちじゃったか! 中年マッチョは、ハゲちょるかフサフサかの二択じゃけぇ」
「勝手に決め付けんな。ところで、今日はサプライズや」
「
「アホ。食い
ロイは、デイパックからラップ包みを取り出した。
「なんなら? お母ちゃんが作った健康茶みたぁに、懐かしい香りじゃ。ブルーベリーが枯れ腐ったようなこの色も、どこかで見た記憶があるのぅ」
「お前んちの
「あんたぁ……『トキモドシ』を
「『timeless』や『時騙し』が起こした有害事象の、本質を
「被験者たちは、爪も歯も髪も抜けて皮膚が異様に乾燥したっちゅう現象を
「せや。『timeless』や『時騙し』は『腎』の『陽気』の炎を激烈に
「どちらも、
「『陽気』を
ふむぅ、と納得したように、紫乃がひと息ついた。
「で、今晩、それをうちに飲ませてくれるんじゃの?」
「アホか。
ロイは、煎じ器と「
ばんっ!
お茶のペットボトルが飛んで来て、デイパックに当たった。振り返ると、紫乃が下唇を噛んでわなわなと震えている。
「
「アホは、あんたじゃ! うちが飲む薬は、うちで
「
「アホ! パワハラ! セクハラ! この変態不良講師が!」
バシッ。クシャッ。ガサッ。
紫乃のサイド・テーブルに置いてあった、お菓子やウェット・ティッシュが、次々に飛んで来る。左手で投げている割に、コントロールは正確だ。
「うちに先に毒見をさせんなら、考えがあるわい! あんたに襲われたっちゅうて、病院に訴えちゃる! あんたぁ、一生、性犯罪者のレッテルを貼られるけぇの!」
「無理無理無理無理! 俺ら、公認の恋人同士やで? 訴え出ても、単なる痴話喧嘩やん」
「そぅじゃった! 現実的には仲が
「ええがな! それで行こ! で、どうやって
紫乃が、つんと鼻先を上げた。
「半分ずつ、二人が同時に飲むんじゃ」
「めっちゃ名案やん……って、
「見事なノリツッコミじゃったのぅ。さすがは大阪人じゃ」
「うっさいわ! お前、宇宙一のアホやろ。そんな
「そぎゃぁな約束をするわけが
あの手この手で紫乃に懇願されると、ロイの強気は萎える。
――二人で同時に飲むんも、
二人で分ければ、紫乃の両親が服用していた量の半分だ。日誌を熟読し、写真と見比べ、間違い無く「トキモドシ」を収穫した自信もある。
「薬を発明したんは、お前のオトンや。好きにせい」
病室の洗面台に立ち、ロイはガラスのポットに四百㏄の水を入れ始めた。更に、一日分の「
ビーッ、ビーッ、ビーッ。
不意に、TVから電子音が飛び出した。ニュース速報のテロップが、画面を走る。
「夢の若返り薬『timeless』、急激な老化のため臨床試験中止」
はっ、とロイは、紫乃と顔を見合わせた。
「バレたんや!」
「アクセルは大丈夫かのぅ?」
「親父の
「アクセルの幸運を祈って、うちはこれで薬を飲もぅかのぅ」
紫乃が、サイド・テーブルを指差した。ニューイングランド・ペイトリオッツのヘルメットを
「さっき、それは投げへんかったな。お前の命を
「アクセルじゃ
シュワーッという音と共にポットの液体が沸騰し、煎じ器のタイマーが三十分のカウントダウンを始めた。
「お前、ホンマに覚悟はできとるか? TVで大々的に『急激な老化のため中止!』って報道されたのと
「
紫乃が、くつくつと
「老ける前に、若返るはずやろが。……いずれ老けて死ぬんなら、その前に
「あんたの乙姫様は、目の前に
紫乃がパッチリと目を見開き、しなを作る。黒く大きな瞳、品良く通った鼻、パジャマの内側から盛り上がる胸の
「口も性格も悪い乙姫は、童話のオーディションに不合格や」
「なんじゃとぉ! あんたは人間として落第じゃ!」
紫乃が、サイド・テーブルに手を伸ばし掛けて、
「煎じ上がったで。実は、俺も持って来てるねん」
デイパックから、ロイもニューイングランド・ペイトリオッツのマグを取り出した。紫乃のマグとテーブルに二つ並べ、コポコポと
「ほれ、乾杯じゃ!」
紫乃へ渡すと、待ちきれないように勢い良くマグをぶつけて来た。
「最後の乾杯になるかも知れん。……ホンマに、ええんやな?」
二つの「フライング・エルビス」がガツンと合わさり、離れる。
紫乃がマグに口を付け、いきなりズオォォーッと
「おい、待て! ちょっとずつ飲めや!」
マグを唇から離し、ほぅっと紫乃が息を吐く。うっとりとした表情だ。
「ルイボス・ティーっちゅうか、ハイビスカス・ティーっちゅうか。ハーブが
またひと口、ゴクンと大きく飲み込む。
「アカンて! 二時間は掛けて飲まんかい!」
慌ててロイは紫乃のマグを取り上げた。中身は、ほとんど残っていない。
「あんたぁ……飲まんのか?」
「俺、
沸騰直後の液体を飲むなど、ロイには無理だ。マグには、まだ口すら付けていない。
紫乃が、とろんとした目を向ける。
「嘘じゃ。マグに入れた時点で、かなり
「んなわけ
マグを洗面所へ持って行き、乱暴に蛇口を
ヒッヒッヒッ、と背後から紫乃が
「男なら、一気に飲まんか。薄めて飲まにゃぁ怖いんか」
「お前、思考回路がオバチャンやねん! 『男なら』っちゅうステレオタイプな考えも、一気飲みの強要も、昭和世代の悪習や! よぅ見とれ!」
ロイは、マグをひと口で
ふと気付くと、紫乃の反撃が途絶えている。
「うちゃぁ、のぅ……
振り返ると、紫乃の目が半開きだ。ベッドに起こした上半身が、ゆらり、ゆらりと左右に揺れる。
「危ないやん! 大丈夫か!」
ロイは慌てて駆け寄り、紫乃の体を支えた。がっくりと力尽きたように、紫乃がロイの腕に体重を預ける。
「もう、気が、
紫乃の目が、完全に閉じた。
「おい! しっかりせい!」
――アカン! 救急科へ連絡や!
院内PHSは、白衣のポケットに入れて隣の部屋へ置いてきた。
ロイの腹が、ほんわりと暖かくなってきた。以前、紫乃に飲ませた壮原湯とは異なる、体の温まり方だ。同時に、全身を
一歩踏み出すと、大男二人を
運命の神へ、ロイはニヤリと笑い
――俺を
もう一歩、踏み出す。目の前の景色が、斜め四十五度へ傾く。膝が、がくりと
目の前に、ソファが
――ごめんな、紫乃ちゃん。最後の大勝負は、大失敗してしもた。俺は、どこで間違えたんやろ……。
三
ふっ、とロイは目を覚ました。
――ここは、どこや? 今日は、何曜日やねん?
深い睡眠を
体を起こすと、ギイッとソファが
さっきから、爆発しそうに股間が
下半身へ意識が向くと、突然、尿意が強くなった。慌てて立ち上がり、病室内のトイレへ駆け込む。パンツを下ろすのも、もどかしい。モノが異様に怒張しているせいで、尿道が
尿道口がジリジリと
――なんやねん! この感覚は!
長い長い時間を掛けて、超大量の尿を放出し終えた。同時に、足先から頭のてっぺんまで、スーッと体が軽くなる。
トイレを出た。カーテンを閉めたままで
呼吸をすると、鼻腔へ吸い込んだ空気が様々な匂いへ分解され、ツンと鼻粘膜を刺激する。
視覚も嗅覚も、
腹が、異様に減っている。血と肉汁の
手足の先まで活力に満ち、全身の筋肉がひと回り大きく発達したようだ。
ベッドで、むくっ、と紫乃が起き上がった。
「手! 手を貸してくれぃ! トイレに間に合わん!
車椅子へ移乗して、隣室のトイレへ連れて行く余裕は
「俺が
「しょうが
駆け寄ったロイへ、紫乃が両手を差し伸べた。
「お前、手が……」
「
泣き出しそうな紫乃を、左側から抱き上げる。紫乃が、両腕を膝の上に置いた。右腕は、垂れ下がらない。
紫乃を便座に座らせ、ロイはトイレを出てソファで待つ。
数分後、紫乃がトイレから出て来た。ポカンとした表情で、
「どないしてん。人生最大のウンコでも出たんか?」
不思議そうに、紫乃が左右の手を見比べる。
「麻痺しちょったんは、どっちの手じゃったかのぅ?」
「足も、
紫乃が、両手を広げてバランスを取り、恐る恐る、右足を前へ出した。白いパイル地のパジャマがふわふわと
「右足だけ、マラソン大会の翌日みたぁに
目をぱちくりさせながら、紫乃がソファに到着した。ロイのすぐ前に座ると、パジャマの合わせ目から、胸の白い膨らみが覗く。女性特有の石鹸の香りが、強烈に鼻を
荒くなる息と鼓動を何とか抑え、ロイは努めて冷静に答えた。
「実は俺も、体調が
二人の視線が、テーブルの上のニューイングランド・ペイトリオッツのマグへ向く。
「まさか、ひと晩でこぎゃぁに効果が現れるとはのぅ。半分に分けた量じゃに」
「飲む人間が若ければ、量が
紫乃のサイド・テーブルからリモコンを取り、ロイはTVを
「Breaking news! 『夢の薬』は『悪夢の薬』へ。アスタリスク製薬、半年前から組織ぐるみで有害事象を
テロップが流れ、白いスーツ姿のラテン系女性キャスターが早口の英語で
「若返りの数か月後、悪夢のような老化が被験者たちを襲いました。外見が数十年も老け、髪や歯の脱落・白内障・筋肉の萎縮を
ロイは、
「情報がダダ洩れやんけ!」
「CNNが独自に入手した映像を公開します。アスタリスクは、『timeless』が引き起こす異常な老化を動物実験でも確認しながら、情報を
画面が変わった。ケージに敷かれたおがくずの上で、一匹の白いマウスが
マウスの鼻先へ、
画面へ、ロイは
「伊豫が出した実験結果や! ……終わりや。アスタリスクは、
女性キャスターの口は、非情な連射を止めない。
「なお、このマウスの脳細胞では、タウ蛋白の異常集積が観察されています。認知症に特徴的な所見です」
「これも伊豫の実験データやんけ! ……強烈なダメ押しやな。〝timeless=《イコール》老化〟、〝アスタリスク=《イコール》
どう
また画面が変わった。古い八階建てのビル。アスタリスク本社だ。黒っぽいスーツに濃いサングラス姿の男が、駐車場からエントランスへ向かう。報道陣が殺到する。
「親父や!」
アメフトで鍛えた
「No! Nope!」
ただ繰り返し、アクセルが足早にエントランスへ消えた。
ニュースが、終わった。
ロイは、TVを消して
「
「伊豫さんは、データを盗まれたんかのぅ?」
ショックを受けたのか、紫乃の目が赤く潤んでいる。
「分からん。盗まれたんか、盗ませたんか……あるいは、自分から売ったんか」
「そぎゃぁに
紫乃の白いパイル地のパジャマから、熱気が立ち昇る。
「親父と
週が、明けた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます