第29話 蓼科栄一
「いまさ、淀川興信所ってとこに勤めてるんだよ。まぁ俺しか社員は居ないんだから、実質俺様所長」
何でも解体業で働いていた時にこの興信所の入ったビルを解体する事になり、まずはビル内の金目の物を探そうって事で建物内調査をしたらしい。興信所は全てを置いたまま夜逃げでもしたのか書類、PC、果てはお茶菓子まで何もかもあった。
残された書類をどんどんゴミ袋に入れて棚やら机やら売れそうな物を仕分けし、あらかた運び出したら床の隙間に何か挟まっていることに気がついた。その辺に落ちていたクリアファイルでほじくり出すとデータチップがでてきた。チップは10枚。蓼科の好奇心は最大の反応だったらしい。
ユクカタシラズ シノ ユウコ @sinoyumachi3
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