14歳という年齢の心情を巧みに描き出しており、その中には自閉的な孤独感や耽美的な世界観が色濃く表れている。例えば、翅の無い天使は、理想化された存在でありながら、空を飛ぶことができず、社会に適応できない自己を象徴しているように思われるし、最後の「ぼくはうまれなおすので、ぼくと君でぼくのはかまいりにいきましょう」と「ひぐらしの鳴く頃に霊園へさよならを、もう夏休みが終わる」では、夏の終わりとともに、少年が再生を望みつつも、過去を断ち切ろうとする意図が感じられる。墓参りに行くという行動は、過去との決別、あるいは新たな自己への変容を象徴しているようにも見える。
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