日本を愛していた俺は、異世界に日本を再建する事を決意する。〜スキル『都道府県』ってなんだよ!?〜

我肉(がにく)

第1話 不注意

日本大地(ひのもとだいち)、24歳。

俺は、日本を愛していた。


子供の頃から、時間があったら日本地図を引っ張り出して眺めていることが多かった。


都道府県の形に、美を見出していたのだ。


(北海道の滑らかな曲線、綺麗だなあ)

(石川県って、持ちやすそうな形してていいなあ)


その憧れは今になっても衰えず。


「ついに来た、北海道!!これで…47都道府県、全制覇だ…!!」


大人になっても、給料が入ればすぐに色んな都道府県に旅行に行っていた。

そんな積み重ねがあって今日…北海道で、俺は全ての都道府県を訪れた事になる。


「北海道は一番俺が好きだった都道府県。だからこそ、最後まで取っておいたんだ…!」


念願の、日本全制覇。

それを記念して、今回の旅行では北海道の隅から隅まで舐めまわし尽くしてやろう。


そんな高揚を胸に、俺は駆け出す。


目の前が、赤信号である事にも気づかずに。


その後、当然。


キィィィィイイイイ!!ドン!


「…ゴフッ!!」


ただ事ではないような衝突音がその場に響き。俺の意識は…闇へ…落ちる。







「…何をやっているんですか…」


目を覚ますと、見たこともないような、全体が真っ白の部屋。目の前には神々しさを感じる女性が立っている。

何か困っているらしく、頭を手で覆っている。


「…すみません、一体貴方は…?」


「すみませんじゃありませんよ!!何勝手に死んでるんですか!?」


「…ええっ!?」


「なーにが「ええっ!?」なんですか!?あんな死に様しておいて!!」


何やら怒っているようだ。

とりあえず少し時間を置いてから聞こう。


目の前の女性も最初は怒っていたが、時間が経つにつれて段々と落ち着きを取り戻していく。


「すみません、一体貴方は…?」


「…私は八百万の神の一員です。特に名前はないのですが」


「まず、私達は信仰を糧に…わかりやすく言うと、日本を愛するパワーによって生きている存在なんです」


「ところが最近ですね、日本では地元を愛する人が段々と減っていってですね…貴方レベルの人なんて、他にはいないぐらいに」


「だから…まあちょっとショックというか」


そういう事だったのか。

周りの日本国民に日本の素晴らしさを伝えきれなかったのが悔しい。

もっと積極的にみんなにアピールすべきだったな…


「まあ、そんな感じで…貴方の存在はすごく私達の役に立っていてくれたので、早めに死んだ分異世界転生が出来るんです。それも…その人に合ったスキルを持って」


なるほど…

異世界転生か…


「あのーすみません…」


「どうかされましたか?」


「異世界に日本って…」


「ないですね」


「ああ…」


やだーッ!!異世界嫌ーッ!!

日本がいい!!日本日本日本日本日本!!


表情には出さないように、心の中で最大限の抵抗をする。


「…あの、心も読めてますよ」


気まずそうに言う。


あー…うん。


今までの考えも全部見透かされていたことが恥ずかしくなって、無になった。


「…まあ貴方が日本を深く愛していると言う事なので…こちらの『都道府県』というスキルを授与しますね」


…今なんて言った?


「後、強く日本を信仰してくれた分色々能力に反映させますね。微々たるものですけど」


…いや、それよりも。


「…じゃあ、行ってらっしゃい!日本を今まで愛してくれてありがとうね!」


「おい、スキル『都道府県』ってなんなんだよ!?」


その質問に返答が来る前に視界がぐにゃりと曲がり。また意識が闇に落ちていく。








…近くを飛ぶ鳥の声で目が覚める。


「…んん…」


体を起こして周りを見てみると、そこは森のような場所だった。周りは木に囲まれていて暗く、光が刺してくる方向にも大きな木が生えていて進めない。


(こんな時、斧があったらな…)


そう、ふと思ったとき。


一瞬、周りが輝いたかと思うと。


…ゴトッ!!


何かが落ちる音が聞こえる。


なんだ…これ。


斧…ではない?


先が二股に分かれた少し曲がった持ち手の部分と、少しひしゃげたトランプのダイヤのような形の金属片が付いている。


その形には見覚えがあり…



「これ…北海道の形!?」



スキル『都道府県』って…そう言う事なのか!?


とりあえず…これで木を切って倒すことができるかもしれない。試してみよう。


俺は北海道の左下の方の取っ手っぽい部分を持ち…思いっきり、大木に、北海道を振るう。


「…おっ!?」


北海道の上の部分に削られたのだろう。

大木には、切れ目が刻み込まれていた。


…これなら…


俺は北海道を振るう。

何度も、大木に向かって。


そして…!!


ミシミシ…


「倒れる…!!」


その直後、ドーン!!と言う大きな音を響かせ、大木が倒れる。


沢山の光が、差し込んでくる。


俺は、その光の方へと走る。


そして…見渡しの良い高台のような場所に出る。


目の前には…大自然。


未開拓の、大自然が広がっていた。


そのとき、一番初めに浮かんできた感情。

それは、大きな高揚感だった。



そして…俺は決意する。


「俺が…この自然を切り開いていくんだ。切り開いていって…家を作って…街を作って…最終的に…!!」


「俺は、新しく日本を作る!!!」



日本再建への、道のりが始まる。






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




評判見て、続けるかどうか決めます。

星、ハートぜひよろしくお願いします。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

日本を愛していた俺は、異世界に日本を再建する事を決意する。〜スキル『都道府県』ってなんだよ!?〜 我肉(がにく) @GUNMANAKI

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ