第3話 パニック・ルーム
私は話題をそらす為に思案し、ある最適解にたどり着く。
「しかし、大統領。かなり尻がコッテいるようです」
「尻はコるのか?」
「えぇ、もちろん」
嘘をついてしまった。
後でカトリック教会へ行き懺悔せねば。
「今の大統領はコリ過ぎて、お尻がコリコリです」
「コリコリか?」
「はい、コリコリです」
大統領は物思いにふける。
「ふぅー、そうか……思えば寝る間も惜しんで仕事に
「大統領、肩の力を抜いて下さい。肛門が引き締まっていて座薬が入りません」
「おぉ? すまない」
私は大統領の尻に片手を添え、9ミリ
「ぅんんっ!?」
「だ、大統領? どうされました?」
「いやぁ、冷え込む時期だからね」
「し、失礼しました! 私の手が冷えきっていた為、不快な思いをさせてしまい」
「かまわん。さぁ、ズブリと行ってくれ」
なんなのだ?
この異様な空間は……。
大統領が自らの尻の穴にズブリと入れてくれと口にした。
とは言え、この異様な空間から立ち去りたいとも思えず、むしろ、部屋から出たくないとすら思えてきた。
この状況、まるで、まるで――――――――。
セ○クスしないと出れない部屋ではないか!?
私が肛門をまさぐっている間、大統領は日頃の不満を吐き出すかの如く、一方的に話を始める。
「難しい局面だ。世界は報復関税と言うが、他国がアメリカを経済的に支配する脅威を排除する為には、例え暴君と言われようと関税を上げ、多国の輸入を制限せねばならない。理解はされないがね」
「大統領、度々で申し訳ないのですが、肛門に力が入り過ぎて座薬が挿入できません。もっと、力を抜いて下さい」
「フッ、皮肉だな? 肛門があらゆる物の侵入を拒む。まるで、重い関税を決定し、国際社会から孤立した私のようではないか?」
「そういうのはいらないのでケツを開いて下さい」
「あ、あぁ……すまない」
大統領のこういう『世界情勢を皮肉ったジョークを語る俺、知的な文化人でカッケぇ!』みたいなところ、たまにイライラする。
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