雨笠 心音

 朝。

 目が覚めているとも、いないともいえない時間がある。

 日の光が優しく頭の中を満たし、意識がゆっくりと芽生える。でも、真っ暗な水面にぷかぷか浮かんでいるような、冷たい感じもある。

 その隙間にいる時がこの人生の中で一番、愛おしい。何も考えないでいられるから。

 だが、その時間も終わる。

 覚醒するに連れて現れるのは、不安と自殺願望。ばかみたいに、死にたい死にたいと、心の中で連呼する。理由は分からない。本当は分かっているような気がする。でも言葉にできない。

 紋切り型に頼って、無理に形にするなら、将来に対する漠然とした不安。あと、今までが楽し過ぎたから、これ以上はないという確信。沈殿して、取れなくなった疲れ。

 でもそれでも生きたくて、死ねなくて、なんとなくスマホを取り、ユーチューブを見て、それからこれを書く。


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雨笠 心音 @tyoudoiioyu

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