第10話 新居での悩み

//SE 電源ボタンを押す音

//SE ロボットの起動音


(機械的な話し方で)

「データヨミコミ カンリョウ。キドウシマス」


(低く落ち着いた声で)

「うわっ。我に返った」


「あれ? 声が変? どうしたのかな?」


「服も、えんじ色のジャージになってる」


「なんか服がゆるゆる。あ! 胸とお尻が改造前にもどってる」


「え? なんで? 知らない奥様がいる!」


「待って! ミーナが奥様では?」


//SE ビープ音


「コンランチュウ コンランチュウ。 イマノ ジョウキョウ ウケイレラレマセン」


「シンデータ オクサマ トウロク アリマシタガ No.37 キョヒ シテイマス」


「あの女性に妻の座を奪われたの……?」


「あの……。旦那様はどこでしょうか?」


「会社に行った……。ですか……」


「さっさと掃除しろって?」


「おまえは、ただの手伝いロボットだ、ですって!」


//SE ビープ音


「ソファー ニ ネコロガル オンナノ メイレイニ No.37 シタガウ ヒツヨウアリ」


//SE ビープ音


「No.37 キョヒ シテイマス。 キョヒ シテイマス」


「ミーナ、しっかりしなくちゃ。ただ、お掃除すればいいのよ」


//SE ビープ音


「クリアボタンを押せば、音は止まるはず」


//SE 電話の着信音


「あの女、猫なで声で旦那様と話しているわ」


「コンランチュウ。 ウケイレラレマセン」


「だめだめ。しっかりしなきゃ。お掃除、お掃除!」


「うわっ。ものを投げないでください」


「もっと静かにしろって……」


「ゲンカイ ゲンカイ。フリーズ フリーズ」


//SE ミーナが倒れる音


    ***


//SE 電源ボタンを押す音

//SE ロボットの起動音


「データ カイフク シバラクオマチクダサイ」


「キドウシマス」


(甘い声で)

「うわっ。我に返った!」


// あくびする


「ああ、よく寝た。なんだかとても長く眠っていたような……」


「前に起動したのは……。1年前!」


「胸もお尻も戻ってる!」


「服も、旦那様のお気に入りのメイド服だわ」


「ミーナが眠っている間になにが起こったのかしら」


「ダンナサマノ オモイデノ アルバムニ ツナギマス」


「ダンナサマハ ケッコンシテ スグ リコンシタ」


「No.37 ノ カンシカメラ キロク ヨリ、ツマ ノ ホンショウ ワカッタ」


「ダンナサマノ イマノ ツマハ No.37 No.37」


「やったー!」


「でも、いろいろ大変だったのね」


「……旦那様は、どこかしら」


//SE 足音


「あ、いた。……トイレに行ってた? んふふ」


「いえいえ。旦那様を笑ったのではないです」


「ただ、嬉しくなったんです。旦那様と二人でいることが」


「ふふふ」


「さあ、お申し付けください」


「ミーナは、なんでも応えます!」  


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未来嫁はロボット~お手伝いロボを嫁に改造したら、快適なんだが(ASMR)~ 後藤 蒼乃 @aonoao77

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