第14話 裂ける魔力、秘められた真実の影

激しい戦いの中、悠真の魔力は次第に制御の限界を超えていった。


理央の氷刃が空間を切り裂き、鋭く迫る。


「氷刃結晶陣──!」

無数の氷刃が悠真を囲むように飛び回り、まるで刺客のように襲いかかる。


悠真は素早く火の防壁火種・護焔陣を展開して応戦するが、魔力の“うねり”が暴れ、結界の端が微かに崩れ始める。


(こんなにも……魔力が制御できないなんて……!)


彼は必死に詠唱を続ける。


「火よ、砕け──《火種・破裂陣》!」


火の魔導陣が地面に刻まれ、大爆発が起こる。


だがその爆発の中心から、突如として炎の色が赤から異様な紫色へと揺らぎ、爆発の形状が乱れた。


「な、なんだこれは……?」


悠真は驚き、魔力の感覚に集中する。


(俺の魔力じゃない……でも、確かに俺の中から……)


炎の“うねり”が暴走を始め、彼の体を熱く締め付けるように揺らす。


一瞬、魔力の波が裂けて見え、異なる魔素が混じり合う感覚が走った。


理央が冷静に距離を詰める。


「隙あり!」


氷槍が悠真の左肩を狙って飛んできたが、悠真は反射的に火の鞭を振り回し氷槍を粉砕。


しかし体勢が崩れ、彼は地面に膝をついてしまう。


(ここで倒れたら終わりだ……!)


だが、膝をついた瞬間、悠真の意識は遠のきかけた。


体の奥から不思議な力が湧き上がるのを感じた。


それはこれまでの自分の魔力とは違う。


まるで別の存在が、体の中で目覚めかけているかのように。


悠真の目が一瞬、赤紫色に光る。


理央がそれを目撃し、驚きを隠せなかった。


「悠真……?」


その異変は短く、すぐに彼は意識を取り戻す。


だがその時、観覧席の隅で綾乃が鋭く目を見開き、息を飲んだ。


(……これは何か大きなことの“兆し”……)


まだ何も語られない謎の力。


悠真の運命は、今まさに大きな変化を迎えようとしていた。

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