ファンタジー作品において、主人公のスキルが周囲と比べて地味、もしくは劣っている設定はとてもよく見ます。そのような作品の多くは、劣悪なスキルをいかに巧みに扱って、主人公が下剋上を成し遂げていくかが見所となります。
しかし本作は、一見何の役にも立ちそうにない主人公のスキルが、そのまま物語のテーマを示す装置として機能します。そのおかげで、本編なんと千文字超の簡潔さでありながら、ものすごく高い哲学性を有しています。外伝においても、別角度からの「生の在り方」が示されています。
普段あまりファンタジーを読まない人でも、否、そういう人にこそ読んで欲しい作品に感じます。
最初は「弱いスキル」だと親にすら思われていた《生きる》が、実は仲間を勇気づける力だったとわかる展開は、何とも言えず、熱いものでした。
どんなことがあっても、死なない主人公の姿はいつの間にかみんなの心を動かし、希望となり、最後には全員で立ち上がるシーンはめちゃくちゃ胸が熱くなりました。
「生きる」ことの意味を考えさせられる、前向きで感動できる物語でした。
生きているって実はすごいことなんだなぁと率直に思いました。
高校生の作品読むのが好きでよく読ませていただきますが、いやしかし最近の高校生は本当にすごいなぁ。