ユメのころしかた
エコノミー症候群
第1章 信頼
第1話
『…いつからだったんだろう』
『私が死にたいなんて思うようになったのは』
―震える両手で縄を掴む。
どんどん大きくなる鼓動が、全身に響いていく。
「はぁ…はぁ……はぁ………はぁ…………ッ」
わざとらしく息を荒げて…
ほかを聞かないよう、自身の呼吸と掴んだ縄だけに意識を集中させた。
…最後の運動だ。
足元に目を移す。
この足場さえ蹴ってしまえば、もう――…
「へろー」
「ッ!!?」
顔を上げると目が合った。
へらへらと笑う逆さ吊りの女子。
「あっ、ごめーん!いよいよ自殺ってトコだった?どーぞどーぞ気にせず続けて〜!!」
手をしゃかしゃか振り回してそいつは言った。
あまりに唐突の出来事に言葉どころか息も吐き出せない。
…長い髪。それも、馬鹿みたいなピンク色。
毛先が膝に触れていて気色悪い。
「……」
椅子から足を下ろす。
「あれっ?やめちゃうのー?!」
「死ぬんじゃなかったの〜???」
うざい。
「…んもう!!せっかく直々にボクが来たってのに!しつれ〜な人間!!」
“人間”と私を揶揄する割には、そいつの見かけは人間そのものだ。
…浮いている事以外。
はあ。
相手をするのも疲れた。
どうせまた幻覚やら幻聴やらだろう。
自殺する気も失せた。
「ちょっと!どこいくの!!」
うるさい。
鞄を持って家を出る。
ドアを開けた瞬間、相変わらず痛いくらいに光る白が目に映る。
夜でも外はギラギラと眩しい。
足を進める。
「ねぇ…ねぇってば!!」
「…」
「なんでなんも言ってくれないの?!」
「…」
「さっきゼッタイ聞こえてたよね〜!?ボクの声が聞こえてたから顔を上げたんでしょ?!
なんでムシするの〜!!!」
「…」
「ね〜え〜〜!!!」
喋んな死ねゴミ。
なんで鍵閉めたのに後ろにいんだよ。
足早に駅へ向かう。
灰色の街を背に踏切を渡る。
「えっ、待って待って!!?もしかして電車乗ろうとしてる!?」
定期券で改札を抜けホームに立つと不協和音が響いた。
踏切。電車だ。
今日は珍しく人が少ない。
「ちょっと、待ってよ!!」
乗り込むと幻覚女も乗ってきた。
一番奥の手すりに手をやり床に視線を降ろす。
「…一言くらい話してくれてもいいじゃん!!
そもそも気になんないのボクのこと〜!?」
「知らないわけないよね〜??てかボクのこと知っててわざと???やだ〜新手の嫌がらせ?愛ゆえに??ねえ〜〜〜!」
…不協和音。
「あーもう〜!!!」
「ボクは…あの有名な………じ…………………」
電車が動きだすとピンク頭はその場に留まったまま、動く車内をすり抜け見えなくなった。
「…」
やっと静けさが戻った。
「はぁ……。」
◆◇◆
―学校…。
部活終わりの生徒が何人か歩いている。
日が暮れてから結構な時間がたったというのに。
「部活終わったしあの店行かない?」
「ガチ!?」「行こ行こ~!!」
「最近さ〜やばいよね〜」
「“自殺ちゃん”コワ〜!!」
「ねーねー私たちもやってみよーよ」
「え〜!」
…つまらない噂話。
学校なんて大嫌いだ。
それでも今日来たのには理由がある。
学校の25mプール。
元々”今回”はここでするつもりだったんだ。
鞄に入れておいた熊のぬいぐるみをプールサイドに座らせると、
昇降口の辺りから声が聞こえてきた。
「さっき”アイツ”見たんだけどさー」
「へー、今日は来てたんだ」
「”なんで来たんだろうねー”」
「…!」
なんてことない、いつもの陰口。
その言葉が私にあの日の出来事を想起させた。
―――――――――――――――――――――
『なんで来たんだよ。』
『…』
『だって…ルイが心配だったから…』
病室のベッドに座る彼女を見てつぶやく。
長い黒髪が風でたなびいている。
―何年前のことだっただろう。
頭に包帯、まだいくつか点滴の絡まった腕。
傷こそ見えない。
でも、だからこそ痛々しく思えた。
『なーに、別に心配いらんわ』
『ほら。』
ひらひらと振る左手には、ひとつも管なんて通っていない。
『……!』
『よ…よかったぁ……』
ぼろぼろと溢れる涙を拭うはずの両手で、彼女の左手を抱きしめる。
『こんなことで泣くなよ…』
そう言いつつも、ルイは安心したような笑顔を浮かべていた。
『ルイはさ、夢を諦めようって思ったことある?』
暖かい橙色。夕焼けを背に呟く。
退院後、二人で裏道を歩いていたときのなんてことない会話。
『思ったことないわけないじゃん。』
さらりと言い放つ彼女は、どこか気の強い表情をしていた。
私が『どうして?』と尋ねる前に、ルイは
一瞬、空気を睨みつけ―…
ガシャアアアンッッ!!!!
私を抱きかかえ裏道の隅に自分ごと身を投げだした。
衝撃でごみ箱が宙を舞う。
幸い隅はごみ袋だらけで身体に対した痛みは無い。背中がじんじんと痛いくらいだ。
『ルイ、なにして―』
顔をあげると目の前には信じられない光景があった。
なんてことない団地に囲まれてできた、ただの日陰。
そこに“目”がある。
一つじゃない。たくさん。4、5個くらいの真っ黒な“目”が、バラバラの方向を見て何かを探っている。それは一定の高さまで浮きあがりひとつの顔に収まった配置になると、今度は“口”が見えた。
無数の細かい歯が“口”の中から見える。
“目”と“口”を覆っていた黒いもやは、だんだん形をなしていた。
『…人……?』
一人の人間の影みたいだ。
しかし顔は、目は、口は…
不気味どころの騒ぎじゃない。
鳥肌が、震えが止まらない。息ができない。
歯をガチガチ鳴らしながらも体が動かない。
喉元に心臓があるみたいな動悸。
〖怖い〗
その感情が脳を埋め尽くした瞬間
『あ』
“それ”と目が合ってしまった。
だめだ。
ばけものが、来てるのに
動けない
嫌 だれか
『リオ!!!!!!』
呼ばれた瞬間、彼女…ルイの顔が見えた。
身体が動く…!!
糸で引かれたみたいに立ち上がるとルイは私の腕を力強く掴んでそのまま走り出した。
『なにあれ!!?!なんなの!!??』
『【怪異】だよ!!!!!』
視界も戻らないままに叫ぶと、ルイは聞いたことないくらいの大声で言った。
それから走り続けて―…
―――――――――――――――――――――
◆◇◆
「あれ…。」
それから、どうやって帰ったんだっけ…
…
気づけば辺りは深夜特有の静寂と暗闇に包まれていた。
どうやら”準備”の途中に寝てしまっていたらしい
校舎の時計は深夜2時50分あたりを指している。
「……ルイ…。」
呟きながらぬいぐるみに【赤い糸】を縫い付けていく。
割いた腹部からはまだうっすらと血の匂いがする。
ひととおり縫い終わると、余った糸はぬいぐるみの体にぐるぐると巻きつけて結んだ。
「…」
持つとそれなりに重さがある。
ぎゅちぎゅちとした米の感触。
時計を見るとちょうど深夜3時を指していた。
「ルイ。」
「待ってて。今日は絶対…」
ぬいぐるみを抱きしめる。
気持ち悪いくらい血の匂いの赤。
これなら。今度こそ。
「…始めよっか。」
ぬいぐるみを見つめてその場に座り込む。
「最初の鬼はルイだから。」
「最初の鬼はルイだから。」
「最初の鬼はルイだから。」
ぬいぐるみをプールの中に沈める。
学校の広いプール。塩素、水色の匂い。
よく夏休み、忍び込んで一緒に遊んだよね。
「…」
沈みきるのを見ないうちに、校舎の中に入る。
消し忘れられたいくつかの黄色い電気を消してまわっていく。
ぱちん。ぱちん。ぱちん。
全部消し切ったら、テレビの画面をつける。
広い校舎の中で唯一テレビがある大教室へ歩いてテレビの電源を入れた。
ざーー…
ただっ広い大空間に砂嵐の音だけが響いていく。
あとは、10数えて…
…
……
………
「…。」
あらかじめ鞄に入れておいたカッター。
それを持ってプールへ歩く。
背中にずっと視線を感じるけど、振り返らない。
「…あ」
着いて気づいた。
25mプールはそれなりに深い。
ぬいぐるみは手の届く距離に浮かんでなどいなかった。底に沈んでしまっている。
ざぶ…
しかたがないので潜る。
一瞬の静寂。
ぬいぐるみを手にとると、身体は浸かったままお互い顔を出した。
血の匂いに混じって塩素の匂いがする。
ざく…
びしょびしょになったぬいぐるみの腹にカッターを刺して呟く。
「ルイ…見つけた。」
半身浸かったまま、ぬいぐるみをプールサイドにそっと座らせる。
自分もプールからあがると、抜けないようにカッターを深く深く刺してまた呟く。
「次はルイが鬼だから」
「次はルイが鬼だから」
「次はルイが鬼だから」
言い終わるとまた校舎の方へ歩きだした。
隠れ場所は教室。1年4組…。
塩水の入ったペットボトルを置いて、自分の席に座る。
1年前、隣の席はルイだった。
1年前は、この席でよく一緒に話したんだ。
【ひとりかくれんぼ】
…降霊術の一種、らしいが
なんだって良い。ルイと会えるなら。
ルイ………
「ばかーーーーーーーーッッッ!!!!!!!!!」
ガッターーーーーンッッッ!!!
「なっ…!!!?!」
「なにしてー」
「なにしてんのはこっちのセリフ!!!!!!
いいから逃げるよ!!!!!!!」
急に椅子ごと押し倒されたと思えば、腕を掴まれて無理やり走らされる
何、なんで急に!?
今ようやく、やっと………!!
「ちょ、やめろ!!!!!!!」
てか、今は誰もいないはずー…
「は??!」
「お前…朝の………!!?!」
ピンク髪の幻覚女……!!?
なんで…ここに……
「そう!!!朝の!!!!!そんなの今どうでもいいでしょ!!!!早くー…」
「…あ」
緊迫した表情の彼女が固まる
「…?」
恐る恐る振り返ると背後には少女の姿があった。
白髪。身体には無数の縫い跡。耳付きのフードのようなものを被っていて顔は見えないが…。
「こんな深夜に出歩くとか、どんなガキだよ…」
「リオ!!!!!!!だめ!!!!!!」
瞬間。少女の顔から幾つもカッターが生えだし私の睫毛に触れた。
「は…」
「あーもう!!!!!!!」
カンカンカンカンカンカン!!!!!
わけわかんない音を鳴らしながら少女のような“それ”は追いかけてくる
気づけば顔どころか身体のいたるところからカッターの刃をのぞかせて、どうやらそれらが走るたびに音を出しているようだった…
裂けた腹部からは米がぼたぼた溢れている。
「なっ」
「なんだよあれ!!!!?!!!」
「【怪異】だよ!!!!!」
「っ…!!」
【怪異】…!!
ルイから聞いた…
“あれ”ってまさか、私が【ひとりかくれんぼ】をしたせいで……!!?
「どうにかできないわけ!!?!?!」
「【対処法】とか知らないよボク!!?逆効果になったりするかもー」
「なんでもいい!!!!
とにかくなんとかしろ!!!!!」
「…わかったよ」
「大丈夫。安心して」
「【何があってもリオを守るから】」
「…!!」
その時、”思い出した”…。
病院からの帰り道。
私が、私達が、初めて【怪異】に襲われたあの日
ルイは……
―――――――――――――――――――――
『―守るったって…どうやって…!!!』
『いいから見てろ。』
そう言うなり、ルイは足を止めて【怪異】の方へ向きあった。
そして―…
パァンッッ!!!!!!!!!!!
自分ごと、なにか紙のようなものを【怪異】の額に押し付け…
―――――――――――――――――――――
ガシャアアアアンッッ!!!!!!!!!!!
…縄で縛り床に叩きつけた
まさにあの日のルイのした動きそのままで、ピンク髪の女は【怪異】を仕留めた。
動かなくなった【怪異】から手を離し、立ち上がる。
さっきから感じていた“既視感”
同じ言葉、動作…
振り返って私を見る彼女は…まるで――……
「…ルイ?」
「え?」
「―いや、何でもない。」
そんなわけ…ない。
ルイはこんなに馬鹿みたいなピンク色の髪じゃない。こんなにへらへら笑ってなんていない。こんなに…
こんなに簡単に 帰ってきたりしない。
◆◇◆
「…」
ぎっ…
「なっ…なにして……!??!」
「え?なにって―」
動かなくなった怪異。その首に巻きつけられた縄を、教室のドア上部にある換気窓に引っかけて…引いて…自殺したみたいに――
「”自殺”させてるんだよ」
にたにたと笑う彼女は、ひどく恐ろしく見えた。
ああ…そっか
こいつも【怪異】なんだ…
思えばそうだ。
ピンク髪、黒セーラー。
まるで私くらいの…高校生の姿。
でもそんなのきっとまやかしで、こいつの正体は化物であることに変わりないんだ。
「はぁ………はぁ……っ………」
急にまた動悸がしてきた。
脳まで響く鼓動音。止まらない震え。
全身からこみ上げてくる恐怖に、息がうまく吸えなくなっていく。視界が歪む。怖い。こわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわい
ぴちょん
「…あ」
教室に目をやる。
ちょうど1年4組の教室だ。
教卓前の机に置かれたペットボトルが横に倒れて、
入っていた塩水が少し垂れている。
…そうだ。
忘れてた。
私がしていたのは【ひとりかくれんぼ】
終わらせたいなら…
ばしゃん!!!!!!!!!
「…」
「はぁ…はぁ………っ…!!」
肩を上下させて息をする。
ひとりかくれんぼを終わらせるなら…
【塩水】をぬいぐるみにかければ…!!
「私の勝ち…私の勝ち……私の勝ち…っ」
「…なーんだ。
対処法知ってたんじゃん」
「…今……思い出したんだよ…」
どさっ…
縄から手を離させ、【怪異】を地面にそっと下ろす
「ちょっ…」
「もういいだろ…。」
自殺させたかったのか、ピンク頭は不満そうな表情で私を見つめた。
「行こう」
歩きだそうとする私の袖を、誰かが引いた。
「っ…!!」
「【怪異】……!!!」
【怪異】がまた立ち上がって動いてる!!
塩水と言葉だけじゃもうだめだったのか?
近づいて来ている、まずい…!
【怪異】は―…
「ありがとう」
「見つけてくれて」
私の手を
やさしく両手で握って、そいつは言った。
カッターばかりだった身体は見る影もなく
その少女は心の底からの笑顔を見せて、消えた。
「…」
「見つけられたかったんじゃない?」
「え?」
「【ひとりかくれんぼ】なんでしょ?
…かくれんぼでいつまでも見つけてもらえないのは、悲しいよ。」
「…」
「アイツが鬼の番なんだから、それはないだろ…」
「…せっかく良い風に終わらせてあげようとしたのに」
言うと彼女は頬をふくらかせた。
さっき恐ろしく見えたのが馬鹿みたいだ
◆◇◆
校舎から出て、校門へ向かう。
緑色の光を放つ街灯がいくつか足元を照らす。
その奥に、こちらへ歩きだす革靴が見えた。
誰か来る
「やー…君たち大丈夫?」
「…は?」
見知らぬ紫髪の男。190はありそうな背丈。
にこにこと笑う割に目は笑っていない。
「ここいらで強い【怪異】の気配を感じたから向かってみたら、なんかもういなくなってんもん」
「もしかして二人で”除霊”しちゃった?
スゴ〜!」
子供に話しかけるみたいにしゃがみ込んで話す男。やはり目は笑っていない。てか死んでる。
「今追ってんだよね〜。知らない?」
「“自殺ちゃん”」
「あ」
誰かが噂話していた【怪異】…。
…というか、“自殺ちゃん”って―……
「えっ何なんで見るの」
「…あっ、えっとボ、ボクは知らないなー?!」
「…」
コイツじゃね。
「リ、リオも知らないそうです…!!
会ったのは、えと、【ひとりかくれんぼ】の怪異で…。二人で除霊?しました!!」
「…そっかあー。情報提供ありがとね。ウフフ」
目死んでる癖ウフフとか言われても怖いんだが
「で本題なんだけども。」
「二人とも、オレらの仲間にならないかしら?」
「えっ」「は、?」
「あんな強い気配を持った怪異除霊しちゃうとか、才能ありまくりだよ!正にオレらの必要としている人材っ!!」
「…いや、ちょっとそういう勧誘は―」
「オレ達は強い怪異を追っている組織、【ヴェリティ】っつーヤツ!強い怪異の中でも、特に強いホントひと握りのバケモンにはね…」
「願いを叶える力がある」
「!!!」
“願いを叶える”力…………!?
「え、それって………どんなことでも……?」
「そう!!叶えられないことなんて何一つない!神様みたいな力を持ってる!!」
「…人を生き返らせることも……?」
「できるよ。」
確信めいた表情で男はにたりと笑った。
「君も見たでしょ?【ひとりかくれんぼ】の怪異…ぬいぐるみだったハズなのに、人みたいなカタチを成してた。」
「どんな怪異でも少なからず【現実改変】の力を持ってる。怪異として力が強ければ、【現実改変】の力もより強くなる…」
「叶えられない願いなんてないくらいにはね。」
「…!!!!!」
「どう?入る気になった?」
「…」
本当に…生き返らせることができる……?
ルイを……………
「私は―…」
「…」
「えいっ」
こくり。
と頷かされた。
背後のピンク頭に…!
「おまっ…!!」
「入るってこと!!?!わーい!!俺すごくうれしいよ~」
紫髪の男は両手を挙げてわざとらしく万歳のポーズをとった。
ああ。
もうなんかいいや。
訂正するのも面倒くさい。
なんかヤバそうな団体だったら抜けよう。
…【怪異】が願いを叶えるとか、どうにも胡散臭いけど。
「ありがとう!!これで君達は【ヴェリティ】の一員だ〜!!」
「え、ちょ、ボクまで!?!!」
「…」
でも。
もし、そんな”奇跡”が実在するなら―…
…そうだ。
――私が死にたいなんて思うようになったのは、
ルイが死んでからだった。
ルイを生き返らせることができるのなら、
私は”なんだってする”
思えばルイは【怪異】について知っていた。
【ヴェリティ】に入って怪異を追っていくことで、なにか分かるかもしれない。
あの日――…
どうしてルイが自殺したのか
「…」
「何?ボクの顔になんかついてるの?」
…こいつは間違いなく、絶対に、ルイじゃない。
じゃあなんでルイみたいなことを言って、
ルイみたいな動きをするんだ。
それに―
なんで
なんで…
私の”その名前”を知っているんだ
「…私は呼ばないからな。
【自殺ちゃん】とかいうダッサい名前」
「ちょ!!今ここでは、しーー!!!」
わからないことだらけだけど、今はただ…
やっと見えた光を逃さないように。
目の前できらきら輝く希望の虹色が、
ぐちゃぐちゃに混ざって
黒く濁ってしまわないように。
この妄言めいた夢を見ていたい。
「ふふ」
「あ、笑ったー!」
◆◇◆
『リオ…』
『なんで?』
『“夢を見ていたい”って、何…?』
『僕はもういいの?』
『ねえ』
「忘れないでよ…」
ユメのころしかた エコノミー症候群 @youzuki_rie_dayo
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