黒い空の下で君を待つ。
魔不可
待ってるよ。
ボクは、恋をした。
ニンゲンの女の子に。
初めてニンゲンの世界に行った。
ガヤガヤと、たくさんの生き物の声。表情豊かな天気。
不安だらけだった中、あの子はボクに優しくしてくれた。
ボクの仕事は、生き物のタマシイを回収すること。
初めて、そのことを他の人に教えた。
あの子は「すごい」って、ボクがヒーローみたいって、褒めてくれた。
あの子はいつも笑顔だったけど、困った笑顔だった。
どうしてかはわからないけど、いつもなにかに繋がれて、横になってた。
ボクがいなくなったら、いつも窓の外を眺めてた。
なんか、つまんなそうだな、って思った。
あの子と約束した。
キミのタマシイを回収すると。
ボクは、嬉しい。
ボクはあの子の不規則な呼吸音、柔らかい髪の毛、少しツンとした匂い。
そして、温かい体温が、好き。
ボクは、元の世界に戻って、タマシイの回収に戻った。
黒一色で塗りつぶされた空。この世界に朝、はない。
ずっとヒュン、ヒュンと流れ星のようなものが落ちてくる。
それが、生き物のタマシイ。
人によって色や、大きさ、温かさなどが違う。
長生きした生き物は、大きくて、温かい。
悪いことをした生き物は、細長くて、火傷しそうなほど、熱い。
美しい生き方をした生き物は、ダイヤモンドのようにキラキラしてて、ひんやり気持ち良い。
実際、ボクはあの子にあってから、自分のタマシイが変わった気がした。
冷たくて、色のないタマシイだったけど、ふわふわして、黒い絵の具の中に、白い絵の具を一滴落とした感じになった。
今まで、たくさんのタマシイに触れてきた。
まだ、あの子のタマシイはない。
きっと、あの子のタマシイは小さくて、可愛らしくて、温かいのだろう。
そんな気がする。
でも、そろそろボクのタマシイも限界みたい。
わからないけど、そんな気がする。
青白い光がチカチカしてる。
でも、あの子との約束を果たすために。
今日も、ただただタマシイを回収する。
黒い空の下で君を待つ。 魔不可 @216mafuka
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