第5話

帰り道は、行きとは比べ物にならないほど楽しかった。夏休みからの日々で1番楽しくて嬉しくて体が軽い時間だった。暗い道を二人で歩く。くだらない話やくだらない遊びをしながら帰る。駅まで来たけれど、歩いて帰る気にはならなくてバスで帰ることにした。


駅前で知らない高校生に話しかけられた時、驚いて思考停止したけれど、2人でいたから、大丈夫だった。


やっぱり、喧嘩なんてするもんじゃないな。


1人でバスに乗り込んでから思った。安心感からか、涙がひと粒私の手を濡らした。


それからの日々は、大変だったけれど楽しくて、あっという間に過ぎていった。

大学入試一次試験当日。私は朝から緊張していた。前日もうまく眠れなくて睡眠不足気味だった。それでも、なんとか朝ごはんを流し込んで家を出た。


朝焼けが綺麗だった。時折ふく風はつめたくて肌が痛かった。1人で一歩ずつ踏み締めて歩く。角を曲がるたびに人が増えていく。


会場の近くで朱音と会う。受験場所は別だったけれど、大丈夫だと思えた。


勉強をして、世界が広がった。喧嘩をして世界が広がった。広がった世界の真ん中を、私は今日も歩いていく。

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広がる世界で 蒼天庭球 @soutennis206

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