概要
蝉になった叔父。壊れた心。夏の鳴き声。
曖昧な生、消去法の就職。家業の屠殺の重圧に心が壊れかける僕に、幼い頃好きだった叔父からの手紙が届く。訪ねた先で見たのは、蝉と化した叔父の奇妙な姿。暑さの中、画用紙に描かれた記憶と不思議な再会が、僕の心を静かに解き放つ。盛夏。蝉の声が響く、解放の物語。
第二回さいかわ葉月賞 にて大賞をいただきました。
https://kakuyomu.jp/works/16818792436417236704/episodes/16818792439216366278
第二回さいかわ葉月賞 にて大賞をいただきました。
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おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!シュールと狂気の狭間に人間の尊厳が確かに刻まれている、そんな気がした
天職という言葉はあるが、不思議なことに明確な対義語は日本語には存在していない。よって、いささか語呂は悪いが、私は今だけそれを『獄職』と呼ぼうと思う。
向き不向きはあれど、人はなんとか折り合いをつけて職業に向かう。我慢の程度も様々、ちょっとだけ我慢すれば平気というのもあれば、できるなら逃げ出したいというものもあろう。
逃げ出すことを許されず、自分の心を偽り続けた結果、何かが砕けてしまったとして、それでもそこに残ったものがあるとすれば、それは一体何だろう?
他人から見れば異常者かもしれない。
しかしそれが、人間の罪と業とを目を背けること無く正面から受け止めた結果だとしたら、果たして彼を笑う…続きを読む