25 嫌味な貴族を一蹴する
「さて、お返しだ」
と、ボルデンに向かって右手を突き出す。
「【ロックバレット】!」
今しがた食ったばかりの魔法を、そのまま撃ち返した。
「ぐあっ!」
「うわっ!」
不意を突かれたボルデンたちは、避けることもできずに直撃を食らう。
取り巻きたちは全員が床に倒れ込んだ。
「お前が……同じ魔法を……!」
ボルデンだけは取り巻きが壁になってダメージが軽減されたのか、よろよろと立ち上がる。
「まだやるか? 次はお前の最大魔法を食ってやってもいいぞ」
「ぐっ……!」
ボルデンは完全に怯えている。
「く、くそっ……覚えてろよ、豚伯爵!」
と、捨て台詞を吐くと、取り巻きたちを引き連れて逃げていった。
と、
「……ださ」
「ボルデンって口だけだな」
周りで見ていた生徒たちから失笑が漏れる。
そして、その視線が今度は俺に移った。
「やっぱりガロン様、すごい……」
「かっこいい……!」
「すげーな、豚伯爵」
賞賛の声だ。
【豚伯爵】という別称さえ、今や称賛の二つ名に変わろうとしている気がした。
「あ、あの……」
エルフの少女プラムが俺を見つめる。
「大丈夫だったか?」
俺は微笑み交じりにたずねた。
「ありがとうございました……ガロン様」
プラムは深々と頭を下げた。
「私、プラムと申します。本当に、助けていただいて……」
ああ、知ってる。
「気にするな。通りがかりのついでさ」
俺はニヤリと笑った。
「私のことを誰も助けてくれませんでした……ガロン様だけが……!」
プラムの瞳からは、さっきまでの不安や恐怖の色が完全に消えていた。
その代わりに熱っぽい輝きが宿っている。
……ん?
このパターンは、まさか。
「ガロン様って噂と全然違うんですね」
プラムが頬をわずかに赤らめた。
「噂……か」
「あ、いえ……その、傲慢で、意地悪な方だって……」
「ああ、【豚伯爵】だからな」
俺は苦笑した。
「す、すみません! で、でも、本当のガロン様は違いました! すごく強くて……優しくて……私を守ってくれて……まるで王子様みたい……」
熱弁しながら、最後に照れたような顔で付け足すプラム。
うん、これはデレてるな。
「とにかく、もう大丈夫だ。あいつらも、もう絡んでこないだろ」
「は、はい……!」
俺はプラムに背を向けた。
「じゃあな」
「あ、待ってください!」
俺が歩き出そうとすると、プラムが慌てたように俺の学生服の裾をつかんだ。
「お礼をさせてください……! 私、ガロン様に何か……!」
「礼なんていいよ」
「よくないです!」
プラムはそれまでのおとなしげな雰囲気とは一転し、強い口調で主張した。
「私、エルフで、特待生だからって……ずっと、あんな風に……」
彼女の瞳が潤む。
「それを、ガロン様が助けてくださったんです。だから、ぜひお礼を……!」
ここで無下に断るのも、大人気ないか。
「分かった。じゃあ、今度メシでもおごってくれ。学食でいい」
「えっ? そ、そんなのでいいんですか……?」
「ああ。俺は食うのが一番だからな」
俺がニヤリと笑うと、プラムはキョトンとした顔をした。
そして、すぐに笑顔になった。
「はい、分かりました! 約束です!」
可憐な笑顔は、ヒロイン級の可愛らしさがあった。
モブにも、こんな子がいるんだな。
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