連れられた非日常。 少女は”ひなた”を見つけられるのか。
- ★★★ Excellent!!!
物語の主軸である、あかりと佳夜。共依存のような曖昧すぎる関係ですが、出会うべくして出会った不思議な縁を感じられます。
魅力的に感じたのは、「好きなように呼んでいいよ」と言った佳夜に、あかりが「ひなたさん」と呼ぶシーン。
”私は、かつての私の名前を呼んだ。”
この一言の重さが、ぐっと刺さりました。
芸名と言えど、一度は否定された自分の名を佳夜が気に入ってくれたことで、あかり自身も救われたのだと思います。
序盤の”鬼灯”は、「穴」「皺」「シミ」と、あかりの心情そのもののような暗い舞台裏での様子や、”過去に囚われたまま”といったマイナス表現として描かれています。
対する物語ラストの”鬼灯”は、ひなたとの触れ合いを経たあかりが鬼灯そのものを「愛」の象徴として捉えており、明るい照明の元で、未来ごと愛を誓っています。
感情の余白を多く残しながらも、明暗の対比・昇華が見事です。