夜勤サラリーマン、執筆に目覚める。

夜勤サラリーマン、執筆に目覚める

　私は風呂がすこぶる長い。

　家の風呂でさえ、一時間以上入っていることなんてザラだ。

　それくらい、風呂にいる時間を苦痛だと思わない私は、今思えば素質があったのだろう。　

　サウナ、もとい銭湯にハマったのは2021年頃だ。

　冒険がしたいということで、友人とサイクリングに出掛けた。

　彼は私をスーパー銭湯に連れて行ってくれた。

　お風呂、サウナ、岩盤浴、そこには時間を潰せるコンテンツが山ほどあった。

　六時間以上かけて、全てを堪能した私。その次の日の調子はすこぶるよかった。

　それ以来、月一くらいでスーパー銭湯に通い続けるようになった。

　慢性的な肩こりや腰痛も緩和できるしな。

　2024年の冬。

　転職した私の勤務体系は夜勤だった。

　夜勤とは、おおよそ人間の働き方ではない。

　昼夜の逆転は、自律神経を狂いに狂わせる。

　最初の頃は、それはもうしんどいを超えたしんどいだった。

　椅子に座りっぱなしで、肩と腰の痛みは加速する一方。

　勤務前の夜はずっと起きてなければならない。朝寝て、夜働かなきゃだから。

　ケアを、ケアをしなければ！！

　体を労わる為に、私は考えを巡らせた。

　狂った自律神経を元に戻し、凝り固まった肉体をほぐす方法はないか。

　あるじゃねぇか！

　風呂だよ風呂！サウナ！！

　スーパー銭湯行きゃあいいんだよ！！

　その答えに辿り着くのに時間はかからなかった。

　サウナには自律神経を整わせる効果がある。

　灼熱のサウナに入ると、交感神経が活発になり、心拍数や血圧が上がる。

　その後、キンキンに冷えた水風呂で体を冷やすことで、副交感神経がビンビンになり、心拍数や血圧が下がる。

　この交感神経と副交感神経の切り替えを繰り返すことで、自律神経のバランスが整っていくのだ。

　サウナ…すげぇ　感動するくらい夜勤に優しいし

　というわけで、月一だったスパ銭は、週一へと回数を増やした。

　スパは500円から2000円くらいの値段の幅だ。

　贅沢をしても月一万は届かないくらい。（飲食代は除く）

　それで一日潰せるならコスパは悪くないと思われる。

　さて、皆さんは風呂の最中に何をしているだろうか。

　本を読み耽ったり、スマホをいじいじしたりする人もいるだろう。

　私もそうだ。だから一時間も入ってられるんだろうなあ。

　しかし、銭湯ではスマホも本も持ち込むことができない。

　風呂、サウナ、岩盤浴、どれも黙ってジッとしていることしかできない。

　唯一出来ることと言えば思考、或いは空想とも言える。

　かく言う私も、湯船の中で考え事はしょっちゅうだ。

　この作品のここがよかった、ここはよくなかった、自分ならこうする、こんなことをよく考えていた。

　私はスパ銭に短くても3時間、長ければ12時間入り浸ることだってできる。

　必然的に思考の時間も増えていくもの。

　あれやこれや考えているうちに、いつのまにか一つの作品を頭の中で完結させてしまったのである。

　せっかく一作品作ったのだから、出力してみてはどうだろうか。

　それが、執筆するきっかけだった。

　先ほど言及した、夜勤前の起きてなければいけない夜の時間。

　以外にも、この時間がはかどる。

　日中は出掛けたり友達と遊んだりと、様々な誘惑がある。

　だが、夜中は家でパソコンと睨めっこするくらいしかやることがない。

　ならば、その時間を執筆にあてればいい。

　休み終わりの夜、6時間の長い夜を私は書いて行った。

　そんな日々をだらだら続けていたら、いつの間にか13万文字の長編を書き終えていた。

　我ながらよくエタらなかったものだ。惰性は力なり。

　そんなこんなで、私はストーリーや新作の設定を考える時、サウナ後の外気浴や岩盤浴の中で考える事が多い。

　特に外気浴中はひらめきがすんごい。

　脳内物質がドバドバ出るから、普段思いつかないような発想が出てくる。

　もちろん、トンチキなアイディアも沢山出てくるから、帰宅後に冷静になってバッサリ切り捨てることもしばしば。

　だが、気持ちよく健康になりながら、小説の構想を練る時間を捻出できると考えれば、非常にいいものなのではなかろうか。

　小説を書いているアナタもこれから小説を書こうとするアナタも、一度はスパでサウナや岩盤浴に入ってみてはいかがでしょうか。

　ついでに私の作品の宣伝もさせて頂く。

　・異世界で属性魔法を極めた超越者が目指すのはスローライフ～地位も名誉も捨ててサウナを経営します～https://kakuyomu.jp/works/16818792435346391543/episodes/16818792438123635118

　うん、そう。結局サウナなんだ。

　流行りの異世界スローライフを取り入れつつ、好きなものを書きたかったしサウナの啓蒙もしたかったの。

　過去作も載せておくので、よろしければ足跡を残していただければと思います。

　・塩の錬金術師　～死んだはずの幼馴染の手によって異世界に錬成された俺は、最弱錬金術『三原質』で世界を統べて究極の力を手に入れます～

　https://kakuyomu.jp/works/16818093088444497161

　・転校先で美少女ガールズバンドのデスボイスボーカルとしてお迎えされた件について

　https://kakuyomu.jp/works/16818622174628923213

　サウナやらデスボイスやら、ニッチで刺さる範囲の狭いものばかり題材にしてるね。