コンビニスイーツ

艸邑

コンビニスイーツ

「疲れた〜」

1週間働いてヘトヘトな金曜日。

満員の電車に揺られ、朝から晩まで気を張って、

心も体も使い切った。

街は休日の余韻で浮かれて、お酒と騒ぎ声が漂う。

疲れたというより疲れ切った。

こんな日はコンビニ様にお世話になろう。

ウィーン

眩さ感じる店内、少し奥の方に見える歪な冷蔵庫。今日は宝石のショーウィンドウにも見える。

色んな形のパッケージが私を誘惑している。

チョコにクリーム、洋菓子に和菓子、

プリンやゼリー、流石に頭を悩ます。

ちょっと待って。奥にはアイスもある。

正常な判断ができない…

全ての口になっている。

ふと、入り口側から視線を感じた。

ポテトチップスやチョコレート、クッキー

愉快な面々が私を呼んでいる。

コンビニの広さを痛感している。いや、広さは広さでも守備範囲だ。

私の欲求をグラグラと揺らしてくる。やばい…

一旦、深呼吸して気持ちを入れた。


『ありがとうございました』

福袋ってこのことかもしれない、そう錯覚するほど幸せが詰まった袋が右手にある。

何を買ったかはあまり覚えてないが、家に帰り着いた私が喜ぶものがあることは知っている。

色々な幸せの形はあるけれど、これは確実に幸せだと言えるだろう。

私の頬が少し痛んでいるのだから。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

コンビニスイーツ 艸邑 @sorewanaiyo06

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ