桜を軸に時間の流れと青春の儚さを描いた作品
- ★★★ Excellent!!!
「当たり前の日々は、たった一瞬で壊れてしまうことを知った。」という冒頭の一文によって、最初から結末の影を読者に感じさせる仕掛けが良いなと思いました。タイトルにも入っている桜吹雪やレコード(記録)も作品の雰囲気作りに貢献していて素晴らしかったです。
またキャラクター同士の距離感が非常に自然で、すぐに人間関係を把握できる点も好印象でした。
この4人の関係は誰が欠けても均衡が崩れるように設計されているように見受けられました。主人公の語りの端々に過去形のにおいが混ざっているため、今後の展開を暗示する余韻も生まれており、ラブコメ風だけれども文学的な雰囲気も含んだ良作だと思います。