(プロット)第3話

 部屋から出ていった父親。

 俺の視線は愛に向いた。


「愛! お願いだ、死なないでくれ」


 愛を抱きかかえる俺は必死だった。


(いつも一緒だったじゃないか。何で自己犠牲的なことをする?)

そんなことを頭の中で浮かべていたが、やっと気が付いた。


(救急車!)

 俺はポケットからケータイを取り出して電話をかけた。すると、相手はすぐに来てくれると言ってくれた。止血方法も教えてくれた。


 けど、俺は無力だった。出血が止まらないのだ。


 双子の妹である愛が死んでしまうかもしれない。怖い思いをさせている。抱きしめて涙を流すことしか出来ない。


 もし、もう少し前に時間が戻ったら……愛を連れてこの屋敷から逃げられるのに。


(くそ! 時間が戻るなんて……出来るわけがないだろ。)

 すると、突然胸が苦しくなった。


「うっ」


 その声が出た時、視界がぐらついた。歪んで見える。目の前の愛の姿が霞んで見えた。


「くそぉ……今……ここで……俺が……倒れる……わけには……いかない……だろ?」


俺の声は愛に届かない。

そして、俺の視界は暗くなった。

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(仮)君を守りたい こわき すすむ @kowaki

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