こんな【しらゆきひめ】はイヤだ。

レッドハーブ

こんな【しらゆきひめ】はイヤだ。

ある国のおはなしです。王さまと女王さまの間に可愛い女の子が生まれました。雪のように白いので白雪姫と名付けられました。


それからしばらくして女王さまは亡くなり、新しい女王が迎えられました。その人は見た目は80点ですが、性格は20点くらいでした。新しい女王は不思議な鏡を持っていました。


「鏡よ鏡。この世で一番美しいのはだぁれ?」

「それはあなたさまです。女王さま」

「ふふん、とーぜんよ!!」


そして、月日は流れ…

白雪姫はとても美しい娘に育ちました。


ある日、女王がいつものように鏡に聞くと、鏡は答えました。


「白雪姫が一番でございます」

「ぬぅわんですってぇぇ!」

「おおお落ち着いて下さい!女王さまも別のランキングでV2を達成しておりますでございます」

「……なんの?」

「【姥桜うばざくらランキング】と【相手をするのがめんどくさい人】ランキングで…」

「うれしくないわぁぁぁぁぁ!」


ガッシャーン!


怒り狂った女王は、一人の狩人かりゅうどを呼んで、森で白雪姫を殺すことを命令しました。


狩人は白雪姫を森に連れて行きました。しかし、どうしても殺すことができず、真相を話し、白雪姫を逃がし、女王にはウソの報告をしました。


途方にくれた白雪姫は、森の奥で小さい家を見つけました。七人の小人の家です。小人たちは、白雪姫にいっしょに暮らそうと言ってくれました。



それからまた少し、月日は流れ……



女王は、また鏡に向かって聞きました。


「鏡よ鏡。この世で一番美しいのはだぁれ?」

「白雪姫でございます。次点があなたです」

「ぬぅわんですってぇぇ!生き延びたっていうの?あんのぉ!狩人めぇぇぇ!だましたなぁ!」

「その……2位じゃダメなんですか?」

「ダメに決まってんでしょうがぁぁぁ!」


ガッシャーン!


「はぁはぁ…。鏡ぃ……ヤツはどこだ?」

「な、なな、7人の小人の家に住んでいます」


鏡は震える声で答えました。女王は毒リンゴをつくり、魔女の格好かっこうをして小人たちの家に行きました。


コン、コン、コン…


「はぁい、どなた?」

「食べると幸せになるリンゴはいかがかね?」

「まあ、おいしそうなリンゴ!……うっ!?」


白雪姫をだまし、毒リンゴを食べさせました。

白雪姫は、その場に倒れました。


日が暮れると、小人たちが仕事から戻ってきました。びっくりして話しかけてみましたが、白雪姫は目を閉じたまま動きません。


「なんと、かわいそうに…」

「わたしが人工呼吸を…」

「それならばワシが…!」

「いいえ!僕が……」

「じゃあ、ワシは全身マッサージを…」


と下らないことをしているうちに、イケメンの王子さまがあらわれました。


「すみません、少し雨宿りを……って、んん!?なんと美しい人だ!」

「しかし、白雪姫は……ん?息がある?」

「お城の医者なら助けられるかも…運ぼう!」


王子さまは白雪姫を抱き抱え、馬まで運ぼうとしました。しかし、食べ掛けのリンゴを踏んでしまい、体勢をくずし、ガクンと揺れました。


「わわ!リンゴが……!」


そのとたん、白雪姫の口から毒リンゴが飛び出して、白雪姫は息を吹きかえしたのですが……


ドンガラガッシャーン!


そのときのはずみで、王子さまは白雪姫に軽くキスをしました。


するとどうでしょう?

白雪姫は目を覚ましました。


《 い、生き返った!? やった〜! 》


王子さまは白雪姫と一緒に馬に乗りました。

お城に連れて帰ることにしたのです。

その途中でリンゴをくれた魔女に会いました。


「…あら!?魔女さん昨晩はどうも」

「足をくじいたのかですか?大変だ!!」

「ああ、嵐で足をすべらしてね……。食べ物を恵んでおくれ」

「手元のリンゴを食べればいいじゃない」

「そ、それは……」

「やっぱり、毒リンゴだったのね?」

「ぐぬぬ!」

「なるほど……そういうことだったのか!」


王子さまはすべてを理解しました。


「王子さま、結婚式にご招待しましょう」

「なんだって!?」

「私たちの結婚式でアップルパイをつくってあげるのよ。そのリンゴでね!!」

「そ、そんな…!」

「私たちの結婚式が……あなたの命日よ!!」


《オ〜〜ホッホッホッホ!》


森中に白雪姫の笑い声がひびきわたりました。


「や、やめておくれぇ〜!」


魔女はロープでぐるぐる巻きにしばられ、王子さまの馬に引きずられながら城まで帰りました。


そして二人はすぐに結婚式を挙げ、いつまでも仲良く幸せに暮らしましたとさ。

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