第3話:星与心拳 見参!!!

 オープンバギーとサイドカー付きのやけに高い位置にハンドルがついたバイクが爆音を響かせてやってきた。


 「オラオラー!こちとら、3万PV達成者だぞー。頭が高いわー!かしずかんかー!」


 声高に叫びながら、横暴極まりない【3万PV達成】の旗を掲げ、「しまった才能に恵まれすぎたうえに努力しすぎた」などのパラドックスに満ちた、人目を惹く紹介文横断幕をたなびかせながら、悪党どもがやって来た。モヒカン刈りの見るからに悪党と思える男が道を我がもの顔でバイクで爆音を轟かせながら近づいてきた。道の途中で幼い男の子が女の子を庇うようにしていが、そこにも容赦なく、襲いかかる。


 「コラッ!お前らも読まぬか!連載の841話目をアップしたばかりなのだ!3年半も続いているこの覚世夢カクヨムにおける代表作じゃぞ!ありがたく読まぬか!」と迫ってくる。が、少年も負けじと言い返す。


 「イヤだ!そんな物語は読みたくない!父からは、よく『結論から話せ』と日々教えられてるんだ!そんな、話の結論も筋も分からないような話とも言えない話は読みたくない!」


 「キサマー!。この覚世夢カクヨムの世界で言ってはならぬことをよくもぬけぬけと申したな!これでも喰らえ!」暴漢は、少年に向かって、拳を振り下ろそうとする。しかし、よく見れば、その少年は先日、自分にこの物資の乏しい中、三ツ星サイダーを惜しげもなく自分に与えてくれた少年その人であった。


 暴漢の拳が少年の頬を捉えようとしたその寸前、少年と暴漢の間に立ち塞がるように入り、指一本でその暴漢の拳を受け止めていた。


 「て、てめえ、な、何をしやがる!」

 「お前、この覚世夢カクヨムの世界で言ってはいけないことがあると言ってたな?俺からも、一つ聞いていいか?3万PVを誇るお前の小説、星はいくつだ?」

 「ば、馬鹿野郎、PV命の俺さまは星なんてのは、気にしねえんだ!」

 「星はいくつ付いていると聞いている。」拳に指がめり込んでくる。

 「わ、分かった。言えばいいんだろ?!星は、237個だ。」

 「じゃあ、PVに対する星獲得率は、ざっと、0.79%だな。」

 「き、貴様ー。このこの覚世夢カクヨムの世界で最も言ってはいけないことをぬけぬけとよくもぬかしやがったなー!こうしてくれるー!!!」と大きく振りかぶったが、つま先立ちになった青志朗セイシロウが構えたかと思った次の刹那、暴漢の額にピタリと指を置き、眉間を突く。


 「お前はもう読んでいる!」


 暴漢は殴りかかるのをやめ、いつの間にか、手には青志朗セイシロウがまだ青志を掲げていたころの処女作『小説 「王将戦」』が握られており、恍惚の表情で読み耽り、呂律の回らない口で感想を述べ始める。


 「今までこんな拡張高い文章を読んだことはない!秀文ヒデブ!(なんて優れた文章なんだ!)

 この物語の緊迫したスピード感は素晴らしい!愛べしアベシ(おれはこういう構成はスゴく大好きだ!)

 こんな素晴らしい作家に出会たことに感謝したい!他話芭タワバ(他の話も読んでみたいから、作者フォローしようっと!)」

と叫んだかと思うと、本を読んだまま刮目したまま、固まっている。あまりの面白さに魂が一時フリーズしているらしい。


 「オッサン、助けてくれてありがとう!」

 「坊や、女の子も怪我はなかったかい?先日は、貴重な三ツ星サイダーをありがとう。あれで生き返った。それにしても、さっきはいいことを言っていたよ。君の言葉に聞き入ってしまったぐらいだ。」

 「オレはBut。この子は倫。」

 「そうか、二人ともいい名前だ。かつて、Butの後には、重要な言葉が来る、と習ったが本当にそうだ。今の俺に必要なのはまさに『倫』なんだよ。いいか、いい名前を持った妹さんを大切にするんだぞ。」


 そういって、少年を助けた青志朗セイシロウの元に、友莉愛ユリアが駆け寄る。

 「青志朗セイシロウ、だ、大丈夫!? それにしても、い、今のはまさか?」驚いた友莉愛ユリアが尋ねる。

 「自分でも、記憶をなくしているから、よく分からない。ただ、自分はどうやら、拳法を使えるらしい・・・。」

 「今、貴方が繰り出した拳法は紛れもなく、一子相伝の秘儀拳法『星与心拳ほしとしんけん』よ。あ、あなたは一体、何者なの?」

 「よく分からないんだ。勝手に身体が動いた。どうして、でも、すぐにそれが分かったんだ?」

 「何を隠そう、私は、男徒性拳なんとせいけんの使い手、友莉愛ユリア星与心拳ほしとしんけんをこの目で目の当たりにするとは夢にも思わなかったわ」

 「そうだったのか。。。。。ところで、友莉愛ユリア、君が言っていた、核戦争あとの書く戦争、文学世界観の崩壊、とは、こういうことだったのかい?」

 「ええ、そうよ。」友莉愛ユリアは、物憂げな表情になると、次のように解説してくれた。


 「核戦争」の果てに筆力は廃れ、今度は「書く戦争」の時代になった。というのも、現世への厭世から異世界への希求、いや、現実逃避の心情から転生と不安多事ファンタジーが支配力を拡大し、覚世夢カクヨム王国の中で大きく勢力を伸ばし、我がもの顔で一大勢力を形成していったということであった。従って、異世界への希求から、主人公は天寿を全うするのではなく、ピンピン元気な頃になぜか揃いも揃って突然死を迎え、次の瞬間、異世界で復活するという、「核戦争後」の「書く戦争」においても、換言すれば「異世界ゾンビ」とでも言うべき事態が至る所で発生。そやつらは徒党を組み、相互互助組合的に無条件で、第一話辺りで星を投げ合い、長期連載で読みもしないが、PV貢献とこれまた愛のこもらないハートを投げ合う、というインフレの世界が現出しているという。


 その話を聞き終わると、青志朗セイシロウは目に怒りの炎を滾らせ、次の瞬間、「おぉぉぉぉ!」上半身に力を漲らせるや着衣していたシャツは破け、巻いていたサラシもバリバリと裂け、胸がはだける。最近、ちょっとサボり気味の筋トレを隠すかのように腹を凹ませつつ、露になったそのかつての片鱗を感じさせる厚い胸板に、周囲にいた者全員が刮目した!この流れからすると、てっきり、北斗七星が現れるのかと思いきや、出てきたのは、なんと、三ツ星の横三連星であった!Excellent!!!


 純文学を修めた青志朗セイシロウは、Web小説の世界にあって、まっとうな面白い小説を書く、という青き志を立てて、立ち上がったが、その青志を弄ぶような行為には、我を忘れるほどの激しい怒りを覚えるのであった。そういえば、かつて、自分も「写生派」などと気取り、すぐに精子を漏らすシーンを武器とする作風に走ってしまったこともあったゆえに、「精子漏」「青志弄」などと揶揄されるのではないか、とも心配していたが、近頃は自分で「青志を弄ぶのだけはいかん」と自戒の念を込めて、念仏を唱えていたのであった。記憶を失くした際に、そんなつぶやきの音から、友莉愛ユリアさんからは青志朗セイシロウと呼ばれるようになっていたのだった。


 と、少し記憶が蘇ってきた青志朗セイシロウであったが、いまだ、自分がだれだったかまではどうしても思い出せない。物思いに耽っていたら、突然、「キャッ!」と友莉愛ユリアさんの短い叫び声が聞こえたかと思うと、一人の男が友莉愛ユリアの背後に回り込んでハンカチに染み込ませた麻酔薬を嗅がせ、連れ去ろうとしていたところであった。


 「ユ、友莉愛ユリアー!」

 「フフフ、この女はもらった!さらばだ!」と一人の長髪の男が、オートバイに跨り、サイドカーに昏睡状態の友莉愛ユリアを載せてその場を立ち去ろうとしていた。


 「あっ、シンさま!それはないです!置いていかないで~!!」と泣き叫ぶモヒカン頭の男がいる。おそらく、そのサイドカーに乗っていたのであろう、その男の首根っこを掴み、胸倉を捩じり上げて問い質す。

 「オイッ!あの、シンとかいう野郎はどこにいる!?言えっ!」

 「あっ、ハイ。お、教えしますんで、どうか、手荒な真似だけはよしてください!あのシンさまは、新縦浜の1丁目1番地に住んでらっしゃいます。ピンク色の目立つ建物に住んでおりますんで、すぐに分かるかと思います。」

 「よし、分かった。お前にはもう用なしだ。これでも読んでおけ」


 青志朗セイシロウは、その男のコメカミを指で突くと、「お前に、これから秘密の講義をしてやろう。これぞ秘講だ。」と言い放ち、再び「もうお前は読んでいる!」と決めゼリフを言うと、いつの間にか、その男の手には『人生の感想戦』と書かれたエッセイ本が握られており、夢中になって読んでいる。強要されたわけでもないのに、物凄いスピードで一気に読んでいき、「なんて、素晴らしい講義内容なんだ!こんな素晴らしい人生教訓は今までに知らない!」と感涙を流しながら、なおも読み進めていく。読み終わると「秀文ヒデブ!(なんて優れた文章なんだ!)」と叫んだかと思うと、感動のあまり固まってしまった。



 青志朗セイシロウは、シンから友莉愛ユリアを奪い返すべく、荒野と化した縦浜から新縦浜へと向かった。移動手段がないため、徒歩で向かうしかなく、丸1日要してしまったが、場所はすぐに分かった。夜9時を回ってもそこは煌々と明かりが灯っていた。忍び込んでみると、驚くべき光景が目に飛び込んできた。


 あの清楚で美しき友莉愛ユリアがなんとコンパニオンになり、酔客を相手にシナをつくりながら、嬌声を上げて場を盛り上げながら、客をいい気にさせつつ、話し相手を務めている。


 客に新しいお酒を作って出したかと思うと、「♪飲んで、飲んで飲んで飲んで、飲んで、飲んで飲んで飲んで、飲んで!」と手を叩きながら、一気飲みでさらに酔わせていく。まるで熟練の手練手管のなせる技であった。しかし、まだ知り合って間もないが、自分の知る本来の友梨愛ユリアは、そんなコンパニオンのように、誰彼構わずシナを作るような女ではなく、気高く上品なとにかくステキな女性なのである。シンに秘講を突かれて、一時的に変貌してしまっているのは、目を見れば明らかだった。では、一体、どんな秘講を突かれてしまったというのか?次の瞬間、青志朗セイシロウは我が目を疑うと同時にどんな秘講を突かれたのかという疑問は瞬時に氷解した。


 なんと今度は友莉愛ユリアが「♪読んで、読んで読んで読んで、読んで、読んで読んで読んで、読んで!」と愛想を振り撒きながら、しかも周りの男どもに今度は「イッキ!イッキ!イッキ!イッキ!キャー、ステキ―!男らしいわぁ」と「一気読み」を嬌声により半ば強制して、物凄い勢いでハートを集めだしたと思いきや同じ勢いで星も集め出していた!。一流のカクヨムコンパニオンクラブのキャバ嬢のみが成せる「シューティングスター」の技だった。


 上手く忍び込んだように見えた青志朗セイシロウであったが、あまりの友梨愛ユリアの自堕落な変貌ぶりにあっけにとられたのがよくなかったか、背後から忍び寄っていたシンに羽交い絞めにされ、両手を結束バンドで木の枠に結びつけられてしまった。


 「おぉ、よくここが分かったな!だが、お前もこれまでだ!」

 「友莉愛ユリアに何をした!」

 「あぁ、あの女か?アイツも今のお前のような怖い目をしていたが、麻酔の眠りから目が醒める前に、今のお前のように木枠に両手を縛りつけてから、秘講をしてやった。秘密講義名は「男徒代行拳なんとだいこうけん」だ。お主も知っておろう?あの女が元々は「男徒性拳なんとせいけん」の使い手であろうことは。今はの、なんでも代行の世の中よ。大事な債権も回収代行、出前も代行、退職も代行だ!ならば、ハートや星の収集も代行して良かろうっ!見よ、あやつは元々、「男徒性拳なんとせいけん」の使い手。自分の持つ女性美という魅力を隅々まで知り尽くしておる。それを用いて男の隙を作るのが実に上手い。本来ならば、あのガラ空きになった脇腹めがけて、パンチを繰り出すなり、秘講を突くなり、渾身のギャグを放って腹筋崩壊させるなど、自由自在に技を繰り出すのが、男徒性拳なんとせいけん免許皆伝者 友莉愛ユリアの得意とする攻撃パターンであろうがの、ワシが先程、秘講「男徒代行拳なんとだいこうけん」を叩き込んでおいた。だから、見てみろ!」


 青志朗セイシロウは髪の毛を掴まれ、強引に再び友莉愛ユリアの接客の様子を見させられる。


 すると驚いたことに友莉愛ユリアは、2冊に1冊のペースで、シンの小説を推薦しているではないか!?そのたびに、シンの持つスマートフォンが小さな通知音を立てる。ピンピンピンピンピンと。余程、シンにとって心地良い音なのだろう。うっとりとした表情でシンがその音に聞き入っている。


 青志朗セイシロウは、心の中で叫んだ!

 (友莉愛ユリアー! や、やめろー、そ、そんなことはやめるんだぁ! せ、せめて、3冊に1冊は俺の小説を推薦してくれー!)

 青志朗セイシロウは、ハッと我に返る。(あぶねー!ついに心の中でよこしまなことをオレとしたことが考えてしまったっ!声に出さなくて良かった!)


 「ガハハハ!見ろ!今まで、俺の唯一の小説『僕の作ったカレーは世知辛い。キミの評価は辛口?それとも甘口?』は、3年でハート17、星はわずかに5個だったのが、昨夜一晩でハートが380、星も170まで伸びたのだ!。あの女は間違いなく、このシンさまをこの覚世夢カクヨム王国の次の王にしてくれようぞ!オレは天才だから、あの女のイメージイラストをオレさまをフォローしてくれた者にプレゼントしていく作戦まで考えておるのだ!オレこそが次の覚世夢カクヨム王国のKINGになるのだ!ガハハハ!!!」


 高らかな勝利の哄笑の声を上げているシンの横で、青志朗セイシロウの身体から青い怒りの炎が立ち上る。


 「ゆ、許さん! そんな優れた作品も書かずに、姑息な真似で星とハートを集めようなどと思う輩は、断じて許さん!」


 「おぉぉぉぉ!」上半身の力が漲り着衣していたシャツは破け、巻いていたサラシもバリバリと裂け、胸がはだけ横一線にならんだ、三ツ星がキラリと光る!次の瞬間、手の自由を奪っていた結束バンドは引きちぎられ、「星与心拳ほしとしんけん」が炸裂する。


 「ワァタタタッ、ワァータタタッ、ワァタ、ワァタ、ワァータタッ、ワァタァァーーッ!」


 まるで見る者には、青志朗セイシロウの手の動きは、あたかも千手観音のように見えたであろう。シンは、いつの間にか手元に置かれた青山翠雲全集13冊を狂ったように、読み漁り、機械仕掛けの人形のように何度もその行為を繰り返してゆく。


 「お前はまだ読み足りない!お前には、秘講『読書百篇、自ずから編なり』を突いてやった。俺の全集を100周回するまでは、他に何もできない、したくないはずだ。今、せっかく全集を読みたいところだろうが、一つだけ教えろ!お前がさっき言った『オレこそが次の覚世夢カクヨム王国のKINGになるのだ!』についてだが、じゃあ、今の覚世夢カクヨム王国のKINGはナンて言うヤツなんだ?!」


 シンは夢中になって、青山翠雲全集を読み耽って、顔を上げようともせず、答えようともしない。今度は、青志朗セイシロウシンの後頭部を掴み、強引に顔を上げさせ、もう一度、誰が、現在の覚世夢カクヨム王国のKINGなのか聞く。


 「よ、読みたい!続きを読みたい!こんな面白れぇ、小説があるなんて、オレは知らなかったんだ。頼む、読まさせてくれ!」

 「なら、答えろ!現在の覚世夢カクヨム王国のKINGってのは、なんてヤツだ!?」

 「現在の王は、裸王ラオウだ。どこにいるのかは知らねぇ。もういいだろう?読まさせてくれっ!秀文ヒデブ愛べしアベシ!」

 「裸王ラオウ・・・」


 シンの後頭部を放し、友莉愛ユリアの救助に向かう。酔客は既に蜘蛛の子を散らしたように一目散に逃げている。友梨愛ユリアは、いまだシンの「男徒代行拳なんとだいこうけん」の呪縛から解放されていなかった。


 一瞬、このまま、友莉愛ユリアに2冊に1冊は今度は自分の小説を推薦させるか?というよこしまな考えが脳裏を掠めたが、青志朗セイシロウは自分の頬を思いっきり自分でひっぱたき、頭から追い出した。「男徒代行拳なんとだいこうけん」の呪縛から解き放つべく、特別の秘講を突く。目の据わっている友莉愛ユリアの手を頭の後ろで組まさせ、青志朗セイシロウ友莉愛ユリアの後ろに回り、スペンス乳腺を優しく刺激する。5分もそうしていただろうか?友梨愛ユリアが「アァァ~!」と叫んだかと思うと全身を痙攣させてヨダレを流したかと思うと、暫時、気を失う。青志朗セイシロウが優しく揺り起こし、耳元で囁くように語り掛ける。


 「友莉愛ユリア、大丈夫か?」

 「ここは、どこ?」

 「もう大丈夫だ。さぁ、家に戻ろう。」



 友莉愛ユリアの家に戻り、翌朝、何も覚えていないのか、それまでの数日間のように、友莉愛ユリアは明け方に、青志朗セイシロウの夢精を防止するため、との意味不明な理由でカラダを求めてきて、たっぷりと自分の胸で受け止めてから、心地良い疲れとともに二人はそのまま身体を重ねたまま、まどろむ。


 小鳥のさえずりが聞こえてきた頃、青志朗セイシロウの分厚い胸に顔を載せながら、友莉愛ユリアは尋ねてきた。

 

 「なんだか、ここ2日間ぐらいの記憶がないの?私なにをしていたのかしら?」

 「人間、記憶が戻らないこともあるんだよ。そういうこともあるさ。ところで、友莉愛ユリア、今現在の覚世夢カクヨム王国の王、裸王ラオウっていうのは、どこにいるんだい?」

 「西京の古宿というところにいるっていうウワサよ。あと、もう一つ、ウワサがあるの。同じく西京の渋丘というところに、その兄弟の徒喜トキがいるっていう話よ。」

 「友莉愛ユリア、僕は西京に行かなくちゃいけない。本当は、ずっとキミのそばにいたいと僕のハートはそういっている。でも、それ以上に、この胸に刻まれている三ツ星が強く、僕を西京へ行けとの使命感に急き立てているんだ。だから、僕は行ってくる。暫く会えないと思うけど、許してくれ。そして、記憶が戻らない僕に優しくしてくれて、本当にありがとう。心から感謝しているよ。」


 明け方のピロートークを終えると、二人は口づけを交わし、そして、また何度目かの深い交わりを経て、青志朗セイシロウは西京へ向けて、旅立っていった。。。

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