これはゲームブック風のミステリー小説。
二人称視点で物語が進んでいき、あなたは殺人犯となって、どうやったら警察に捕まらないように行動できるか、考えながら選択肢を選んでいくことになる。
あなたが置かれた状況はこうだ。
『ぷりぱる』というマッチングアプリをやっているあなたは、大平夏生という人物とそこで交流していたのだが、ある日、夏生とリアルで偶然出会ってしまう。
お互いに運命的なものを感じ、あなたは夏生の家に行くことになるのだが、そこで夏生が発した一言に怒り、衝動的に殺してしまった。
このままだと警察に捕まってしまう、どうしよう……というのが冒頭の出来事です。
ダイイングメッセージとか選択肢の分岐とか、いろいろすごく凝っていて、視覚的にも楽しめました。
小説を読んでいる、というよりは推理系のゲームをしているような感覚でしたね。
意外な選択肢がバッドエンドに繋がっているのも緊張感があってよかったです。
すごく面白かったので、ご一読をおすすめします!
コンセプトがとても面白かったです。
主人公(あなた)は、マッチングアプリで出会った相手を殺害した。
その先で、「あなた」は果たしてどうするか。
自分自身が犯人として逮捕されずに済むためには、一体どのような処置をしていくことが適切か。
いわゆる「倒叙モノ」のミステリー。それをゲームブックとして、「犯人の立場」から無事に逃げ切れるよう選択を続けていく。
今まで、ドラマや小説で倒叙モノの犯人を見てきたし、推理の結果として犯人がどんな行動を取ったかを割り出すのも何度も見てきた。
けれど、「犯人の立場に立って、どうするのが最良か」を一緒に考えるという経験は今までにありませんでした。
本作はそういう、「犯人が先を見通し、最良とされる行動を模索する」ということを疑似体験できる仕様になっています。
途中で出てくるダイイング・メッセージの出来も素晴らしい。犯人は被害者が残した「ダイイング・メッセージ」の意味を読み解き、それが自分にどんな打撃となりうるかも割り出す必要がある。
その上で、処置を考えるという。
読者に今までにない体験を与えてくれる、非常によく練り込まれたミステリーです。