第13話 新たなる戦火


閑散とした喫茶店の中は客は居らず自分達5人だけだった

何処かレトロチックな内装で埋め尽くされた店内の奥の席に座るとドレイクさんがそのまま奢るらしくマスターに紅茶を頼んでいた

「でだ…ドレイク、何故太陽系艦隊のあんたがここにいるんだ?それに……」

ケネディさんが話を切り出す

「まぁまてマック、お前は昔からせっかちだからな、最近の近況はどうなんだ?」

まるで旧友の仲とも捉えられる会話をしている彼らが気になった

「あの…お知り合い……なんですか?仲が宜しいようで……」

「こんな胡散臭い男を旧友と呼びたくはないな…こいつのせいで……」

「またまたぁ、そんな事言いつつ僕の頼みを聞いてくれるじゃないか君は」

その男は長い髪を手でくるくる弄りながら笑顔で答える

そんな会話を聞いてると横から如月君が耳打ちをする

「……なんか…教官とは全然違いますね……なんか柔らかいスっねこの人…本当に父親なんでしょうか……?」

「確かにな……あの色情魔とは全く似てないな…」

「シェーナが言えた事じゃないですよね?ですが確かに…セインと違って胡散臭さはありますよね」

たしかに顔は綺麗でお兄さんと言われても分からないぐらい整っている、糸目で口角の挙がった彼は胡散臭いほど読めない、それこそセインは真面目な時笑わない分読みやすいそもそもわかりやすい彼とは真逆の存在なのだ

コソコソ話していると

「…全部聞こえてるよ、本当に父親だよ?それに色情魔の事は聞きたいね、胡散臭い事に関しては昔から言われすぎているのと半ば事実なところもあるから何も言わないけどね」

笑顔が怖いんですって……

「…あの…笑顔がコワイっす…教官は仏頂面で怖いっすけど……」

「言った!…」

この子…大物になるのかそれともただのバカなのか…

「そんな事より奴は…色情魔ですよ!私の事あんなに激しくしたのに……」

「シェーナさん…貴方が勝手に脱いでるだけでしょう?それにあの1夜だけで彼女面見たいなムーブやめてください……恥ずかしいです……」

「なっ……何を……!お嬢様!」

「ふふふっ……どうやらあの子にも春が来たようだね、私は嬉しいよどっちが本命なのか気になるところではあるね」

ドレイクさんもそんな風にノリ始める

「…はぁ……お前たち……まぁいいブロウニング、そろそろ理由を話してくれ、とりあえず知ってる事全てだ…」

ケネディさんが話を戻すと

「そうだねじゃあ……まずここに来た理由から、とりあえず秘匿回線で息子から連絡が来た、統合政府及び軍内部の情報と彼が今保護している娘についてだね。マック…君にも関わりがあるあの時からね」

「保護している……?」

その言葉に反応する

「あぁ…生き残った番号付きがいただろう?その子だ」

「…と言うと…死神の件か?それとも味方殺しの件か?」

「両方だ、とりあえず端的に言えば統合政府が派閥争いにより内部崩壊を起こしている」

そんな噂も素振りも一切聞いた事が無かった。

なんなら今……

「今、何事も無く回ってると思ったね?そりゃあ間違いだよ、利権争いで邪魔な連中を殺すために……内部に傀儡にした軍人達を送ってるんだからね…………セインが軍を辞めさせた理由はそこにあるからね」

「何故……辞めさた?……どういう…………」

「……詳しく話せドレイク……つまり……俺がなにも知らないうちにセインが辞めたという事になるんだよな?そして俺も仲間殺しの部下を持ったから降格して辞めた……これにも糸があるのか?」

ケネディさんが凄むような顔でドレイクさんを睨みつける

「な、なぁ……ドレイクさん……だったか?……私や如月も……これは知ってていいのか?……その……命とか……」

シェーナさんが止まっていた思考を動かすように話に割り込んでいく

如月くんは………あぁ……何も理解していない顔だこれ

「……そうだね……これから多分君達は巻き込まれるだろう……そして……彼が助けた重役の子らもね……今ここのコロニーは……乗っ取られる……多分そうなると企業勢は苦境に経つだろうね……ロクでもない連中を呼ぶのだから」

「……それは……ドレイクさん達で止められ……」

「出来ない、そもそも僕らも状況把握しきれてなかった……そもそもマック君が暗殺されかけた時点で僕らは詰みだったんだ……だから先に言っておくよ、君達は知ってししまうという事はもう戻れなくなるよ?元の生活に」

皆がは?と言う

私も状況は読み切れなかった

と言うよりも理解できなかった

だが理解できている人が1人その空間を裂くように言葉を零した

「……となると……ドレイクお前は腹を括ったということか?嫁も子供も……」

「彼等には伝えてある。どっちにしろ私達には時間が無い、そもそも寡兵でしかないからな、だが利権に囚われこの世界の安寧を脅かそうとするクソどもを潰す…」

「……詳しくは聞かん……どっちにしろここに居るものは既に巻き込まれてる、なら知りたくない奴には知らせんし本社に戻す」

「えっ…いや……私は……」

「よく分からないっすけど……教官がやばい状況なんですよね、なら俺は知っておきたいっす」

「私は……セインについて行くと決めてます……それにあの人の近くにいた方が生き残れそうですし危ない目に遭わなそうなんで」

各々答えていくとシェーナさんがそのまま

「ええい!わかった!私も着いてくよ!乗りかかった船なんだ!あのバカの籍に入るまで居座ってやる!」

各々覚悟が決まったのか答えるとそのまま

「じゃあまずは状況から全て説明しよう……」


現在、政府は利権と金の為に紛争や戦争を起こそうとしているところまで来ているとの事だ

そのため火種を各国にばら撒き更にはテロリストや統合傘下に入らない国等に裏で糸を引いている状況になっているとの事

軍部ですらその利権に噛んでいるらしくそのせいでケネディさんが暗殺されかけたりセインが軍を抜ける事になったらしい

その為に強化人間と呼ばれる投薬、遺伝子改造等で人間兵器を作りそれを裏で大量に作っている

先に交戦した番号付きや死神と呼ばれたものがそうらしい

そして……

「これを見てくれ……」

小型端末の画像を見せられる

それは大きな丸い金属でできた真っ白な人工の星のようなものだ


「なんだ?この旧時代の映画に出てきそうな物体は」

「分からないが正解だが情報部の解析によれば宇宙船だよそれも軍用のね……武装といいね

多分だが……知的生命体だね、少なくともこれが5個、アンドロメダから接近しているよ」

「この事は……」

「政府が知るはずもないじゃないか、情報部も雲隠れしたからね後は追えてない」

ただでさえ危ういこの世界は……

「それとだ時空振動も感知されてる……いわばまぁ何処かから何かが転移してきた。」

「へっ……?ええっと……ドレイクさん?アニメじゃないっすよ?そんな事ありえ……」

如月君がそんなことを言うと

「まぁ……そうだろうね、私も最初はそんな反応だよ、知っているのは交戦した我々第8戦闘隊だけだからね……」

交戦?どういう…………

「……10年前の木星事件か……」

睨み付けるようにケネディさんが話す

「正解だ、あれ以降木星周辺が行動不可になってるだろう?観測も禁止されているあれは……木星自体が環境が変わったんだよ」

つまり……今この地球圏は戦乱の世を迎えてるいいや、戦乱の世になっていたと言う事なのね……

「でしたら……何故!」

「……なるほど……つまりは上が腐りすぎて現状を把握しきれて無いむしろ把握してももみ消すから意味が無い、そして軍部も殆ど機能不全、そしてまともな所は戦争をし始めたり準備で戦力も足りない、挙句の果てに戦火は拡がりつつあり脅威も多すぎると……そして時間が足りなくなってきた所か……」

「さすがだねシェーナ君と言ったね情報分析が早いね」

「……まぁ……元々大学で情報系を専攻していましたから……」

だからシェーナさん優秀な営業なのか

そう思いつつも話を戻す。

「それで……私達は今後どうすればいいのでしょうか……?」

言わば現状どう動くべきなのかが気になる所ではあったりするのが私達だ

「まぁ……何となくは予想できた、事が起きるまでは動くな……と言った所か?そしてここは中央の権力が届きずらい場所、だからこそ中央の連中に狙われずらい分目敏い連中を隠しておくいい場所というわけか……」

「正解、とりあえず予想だと1週間で地球圏は荒れるね、それに伴いここに配属されているロクデナシ達が動く、リストは……暗号通信で君に送っておくよ。」

「……つまり……私達は事が起きるまでに準備や根回しをしておく、でその後は分割された世界の中で何処かの派閥に入り戦火を収めて行けばいいと言うわけだな?」

「それも正解!とりあえず統合政府官僚のマクスウェルが今は日本で臨時政府を作っている所だね、戦乱になればまぁ日本は確実に世界から狙われ安くなるね、友軍として期待できるのはロシア、ドイツぐらいだね、あの三国だけは統合政府が与せないからね。」

つまりはヤバくなったらここを出てそこに頼れと言う事だとのことですね

つまりは戦争一直線コースと言うわけですか

「……所で気になったんすけど……セインさんは……どうするんすか?」

ナイス如月くんそれは気になってたんだよね

気の抜けた声でそんな事を聞いてみる如月くんへドレイクさんが回答する。

「うん、大丈夫だよ?とりあえず彼は逃げてるだけだしね、ここの部隊に紛れ込んだ特務の連中からね、」

「特務?」

何そのヤバそうな部隊……あの人多分殺されるんじゃないんでしょうか、そもそも名前からして強そうだし

「大丈夫だよ?ただの息が掛かっただけの雑兵だからね……」

聞くとそこまで強くは無い権力と金にものを言わせただけの軟弱部隊らしい。

作戦成功率は高いもののセインさんには遠く及ばないらしいとの事です。

「さて、後で君達には息子と合流出来るように上手くやっておくのでね、頑張りたまえ私はとりあえず太陽系艦隊と殴り合う計画を立てないと行けないのでね」

「……分かった……死ぬなよドレイク」

そういうと彼はお金を払いその胡散臭い笑顔を崩さないまま立ち上がるとそのまま出て行こうとする

が1度振り向いて私に

「東雲くん……セインを頼んだよ。」

私がポカンとしたままでいるとそのままバイバイ、と手を振りながら出ていく

ガタンッと音を立てながらケネディさんが立ち上がる

ケネディさんが驚いたように目を見開いていた

ただその言葉の意味すら今はまだ気づかなかった

そしてその最後の言葉すら彼がそう言った意味すら

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Bulletwriter しゃし @As1341

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