ひとりの肩に雨は降る
一閃
第1話
前を向き歩みを進めても
振り返り歩みを戻しても
どちらを選んでも 誰も待つ人もなく
帰る場所も なく
たどり着く場所も探せずにいる
笑い声も 甘い言葉も 諭す言葉も
泣き言も なじる怒声すら聴こえない
独り在ることを 思いしらされた瞬間
感じたのは孤独の寂しさではなく
凍てつくような雨の冷たさだった
誰の肩にも雨が降る
走り抜ける人
傘をさしたり さしかけたり
不意の雨に 雨宿りをしたり
人それぞれに 雨をしのぐ
誰の肩にも雨が降る
普通にあることに苦しくなる
さす傘も持ち合わせず
傘をさしかけてくれる人もなく
走り抜ける力すらない
孤独は言い換えれば自由と言う人がいる
ならば
この肩に降る雨に濡れながら
歩いて行くと言う自由を選ぼう
いつか どこかで 誰かに
「冷たい雨ですね」と
言葉をかけられるかもしれない
その言葉が 誰かの傘になるように
冷たい雨に濡れながら歩こう
誰の肩にも雨は降る
あたたかくもない
優しくもない 雨がふる
さあ 自由を手に
冷たい雨に濡れて歩け
ひとりの肩に雨は降る 一閃 @tdngai1
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