第11話
「2時間くらいで着くから、それまでゆっくりしててねぇ」
美咲さんが運転しながら私たちに話しかけてくれる。今日は約束していた星空撮影の日で、美咲さんの運転する車で目的地に向かって移動している最中だ。あれからあっと言う間に週末になった。こんなに1週間が早く過ぎたのは高校に入学してから初めてかもしれない。それだけ私は今日を楽しみにしていたんだろうな。
「見て夜も晴れみたいだよ!」
「ほんとね。星空見れそうじゃん」
「ねっ!めっちゃ楽しみ」
「それだけ楽しそうにしてるの見ると、ほんと誘った甲斐があるわね」
後部座席に座っている私と翔子はスマホで夜の天気を確認しながらはしゃいでいると、美咲さんが嬉しそうにそんな事を言ってくれる。
「楽しみ過ぎて紗夜は昨日あんまり寝れなかったのよね」
「ちょっと翔子!」
私は翔子の急な暴露を慌てて止めようとしたけど間に合わなかった。
「やめてよ!めっちゃ恥ずかしじゃん!」
「可愛くていいじゃない!ねぇ夜一?」
私は恥ずかしさから思わず顔を手で覆ってしまったのだが、美咲さんは楽しそうにしながら月見里くんに話をふる。月見里くんはチラッと私の方を見ると少し意地悪そうな顔をしている。
「そうだな。遠足前の小学生みたいで可愛らしいと思うぞ」
「それ褒めてないよね!」
「いや褒めてるぞ」
絶対に褒めてないよ!だってその顔をする時は絶対にからかってる時なんだもん!私がむくれているのを見て月見里くんは楽しそうに笑っている。それを見て私は少しだけホッとした。
実は月見里くんと顔を合わせて話をするのは、彼に連れられて喫茶店に行って以来で私はちょっと緊張していたのだ。何で緊張したのか自分でも分からないけど彼も普通に話してくれるし私も普通に話せているので安心した。
「そういえばお爺さんも一緒に行くんじゃなかったの?」
「あぁ爺ちゃんは先にバイクで行ってる」
「お爺さんバイク乗りなんだ」
「そうだよ。よく1人でツーリングに行ったりしてる」
「あの人、昔っからバイク好きなのよ」
「なんかカッコいいねそういうの」
翔子の疑問に月見里くんが答えてくれた。お爺さんバイク乗りなんだ!それにしても翔子がカッコいいとか言うのは珍しいな。
「翔子ってバイク好きなの?」
「好きって言うか何か憧れない?1人でってところが特にそう思うんだよね」
「へぇ〜」
「あんまりピンと来てないでしょ」
翔子にジト目で見られてしまった。でも言われた通りあんまりピンと来てないだよね。
「私は翔子ちゃんの言うこと分かるわよ!バイクで1人旅とかカッコいいわよね」
「ですです!何かそういうの憧れます!」
どうやら美咲さんは分かるみたいだ。翔子と美咲さんは2人で盛り上がっている。
「月見里くんも憧れたりするの?」
「全然憧れないな。冬は寒いし夏は暑いのにわざわざバイクに乗りたいとは全く思わない」
「あぁそう聞くと確かに乗りたいとは思わないかもなぁ」
「だろ?」
そう言って肩をすくめる月見里くんを見て私は思わず笑ってしまった。どうやら月見里くんと私は仲間みたいだ。
そんな感じでワイワイ話しているとあっと言う間に目的地に到着した。楽しい時間は早く感じるって言うけど本当みたい。
「それじゃ悪いけど荷物運ぶの手伝ってね」
「分かりました」
「任せて下さい」
翔子と私は美咲さんに元気よく返事をする。
トランクに積んであった荷物を受け取って駐車場から少し歩いて行くと目の前に広がっている湖の前で私と翔子は足を止めてしまった。
「凄い!」
「何か雰囲気あっていいわね」
「ここは山間にある湖畔のキャンプ場で景色がいいんだよ。荷物を置いたらちょっと散策してくれば良いじゃないか?」
「うん!ちょっと見てみたい!」
後ろからやって来た月見里くんの提案に私はすぐに乗っかった。だってすごい雰囲気が良いんだもん!景色が良いとか言われたら見てみたいに決まっている。
「それじゃ荷物置きに行こうか。多分向こうで爺ちゃんが場所取りしてくれてると思うから」
そう言って歩いて行く月見里くんの後を私はウキウキした気分で追いかけるのだった。
===================
しばらく更新していませんでしが、また続きを書いていきます。
完結目指して頑張ります。
ブックマーク、いいね、コメントしてもらえると嬉しいです。
宜しくお願いします!
=====================
私の恋のはじめ方 ラングドン @rangdon53
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。私の恋のはじめ方の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます