第28話 ドッキリ終了(ユキ視点)

 例のセリフを受けて、私はにっこりと微笑んだ。


「正解~」


 言い終えたタケルは、「勘弁してくれ……」とフラフラになっている。


「もうマジで嫌われたかと思った……。あのまま絶交するのかと……」


 ちょっとした興味本位で始めたドッキリが、これほどまでにややこしい事態になるとは。ファンシーショップでは危うく関係解消の危機にまで陥っていた。


「一応聞くけど、本当に文房具マニアとか思ってたわけじゃないよね?」

「当たり前だろ? お前のこと男扱いしなきゃと思って、毎回必死で取り繕ってたんだぞ」


 猫好きなんだなあ、女の子らしいなあ……とか。私の思惑通りに、タケルはちゃんと感じてくれていたようだ。


「スカートだってめちゃくちゃ似合ってた。うっかり本音漏らさないようにするの大変だったんだからな」


 私のことを"男子に憧れがある"と思っていたタケル。気を遣って女の子らしい服装を褒めなかったのだと言っていた。


「へえっ⁉ そんなこと思われてたとは……」


 今になってタケルの抱いていた本当の感想を知り、私は変な声を出してまで動揺してしまう。


「ほ、本当に? 私がスカートとか穿いてるの、おかしくない?」


 私自身はボーイッシュな見た目のせいで似合わないと決めつけていた。買い物のたびに買おうかどうか迷うが、結局ズボンを選んでしまうのだ。


「おかしいわけないだろ。めちゃくちゃかわいい。世界で一番似合ってる」

「あ……あうぅ……」


 ずっと言われたいと思っていた人から言われて、私はもうどうにかなってしまいそうだった。ぷしゅーと湯気でも吹いてしまいそうなくらいのぼせ上っていた。


 一方のタケルは、ずっと堰き止めていたことがやっと言えたとすっきりした様子だ。これまでの私とのやり取りを振り返っているようだった。


「いちいちごまかすの大変だったんだからな」


 思い返せばおっぱいを大胸筋だと言ってきたり、お弁当作ってきた私を料理男子だと評したり……。


 そんなエキセントリックな発言の数々にも、今なら説明がつく。タケルなりに必死で私のことをフォローしてくれていたのだ。


 一つ分からないことがあるとすれば、それは……。


「ねえ。さっきの廃ビルでのことなんだけど……」


 悪漢たちをやっつけられたこと。刃物を持った男までいたというのに、タケルはなぜ大人三人に勝てたのか――。


 私にはそれが謎だったのだが、尋ねられたタケルには今更なことだったらしく、別段何でもないような口調で教えてくれた。


「ああ、あれか」






―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


ドッキリ"解決編"、もう少しで終わります。フォローと☆☆☆は本当に励みになりますので、まだの方いらしたらどうかお願いします。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る