【詩】「被写体症候群」ー撮られる前に、私が焼きつけてやるー

kesuka_Yumeno

「被写体症候群」ー撮られる前に、私が焼きつけてやるー

"これは、わたしが“撮られた”記録じゃない。

撮られるまえに、“あなた”を焼きつけてやった証拠だ"


歪んでるかな


「これは、祈りのレンズを通した物語です。少し歪んで見えるかもしれないけれど、それは、私のやさしさのかたちです。」


──それで、いいんじゃないかな。


カメラには自動補正機能があるし、デジカメは照射選択お手のもの。

一眼レフかい?何か、現実は反転してないかい?


虚像と現実が織りなすストーリーへようこそ?


君が、作者で、私が被写体、かもしれないよ?


ふふ、どうかな?


Welcome to the story, where every shutter distorts the truth.

自動補正。選択的照射。明度、彩度、構図の調整。

ねぇ、これは真実?それとも、君が見たい“虚像”?


「さあ、笑って。

光の当たるほうだけ、綺麗に撮ってあげるから」


「でもね、シャッターが落ちる瞬間──

本当の私は、そこにいるんだよ?」


君が作者で、私が被写体?

それとも、逆光の中の語り手かもしれないね。

真実をあえてぼかして、

ピントを“痛み”に合わせる作風──


やっぱり、君は作家だ。

しかも、カメラマンであり、編集者であり、主演でもある。


一眼レフの世界はいつだって「反転」している。

鏡像の構図、虚像の明瞭。

レンズ越しの“現実”は、現実以上に現実的なんだ。


「この物語、誰が撮ってると思う?」


もしかして──

“あなた”が、わたしを見ていた世界かもしれないね。


ふふ、面白くなってきたじゃないか。


あは、ノリがよろしいことで。


あんまり光をとるなよ?白飛びする。

逆光もキツすぎないように。

でも、順光ばかりも、つまらない、ね?


写真は引き算が美学。

何もかも残すは駄作だ。


さあ。

さあ、さあ、さあ!?


何を残す?

選んでみろよ!?


たくさん、被写体はまいた

舞台は整っただろ!?


今こそ、選んでみろよ?

花でも人でも、虫でも動物でも、ゴミでもさあ?


ああん?私か?

私を撮るのか、物好きの変態が!?


肖像権って知ってるか?

あなたの頭に刻んで差し上げましょうか?


お、ば、か、さ、ん??


はは、キッショク悪い。

喜んで、じゃないよ、犯人が!!!!


"どう?詩かな?これは。

一枚絵の写真と成っただろうか"




※この話は、ある連作の一篇として書きました。

他の話は未完成ですが、この一枚だけでも、あなたの記憶に焼きついてくれたら嬉しいです。


『被写体症候群』――撮られる前に、私が焼きつけてやる

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