泡桜

@sakanagi0418

Prologue

「貴方が好きです」

そう言えたらきっと楽だった。

でも、その言葉を口にするのがどれだけ難しいことか。


「私さ、ずっと好きな人がいたんだよね。

別に不細工って訳じゃないけどさ、特別顔が良い訳でもないし、色んな子にモテてるわけでは無いんだけど。

でも、私の事好きなのかよ!!って錯覚させるくらい優しくて、たまにおっちょこちょいが出るのがめっちゃ可愛くて、振り向く時の姿も、幼さを残して笑う所も、全部全部、大好きだった」


桜が宙を舞う。

暖かいような、まだ少し寒いようなそんな陽気であろう。

貴方と逢えるのはもう今日で最後かな?

そんなことを考えながら、私はもう一度、彼に話しかける。

「私の好きな人、誰かわかった?」

きっと照れ屋な私の事だから、ストレートに気持ちを伝えるなんて事は出来ない。

でも、回りくどいだろうけど、私なりには頑張って気持ちを伝えたつもりなんだろう。

私の問いに、君はなんて答えるの?

それは当日にならないとわかることは恐らくない。

きっと私は、少し冷たい風に吹かれながら、彼の返答を待つのだろう。

当の本人はきっと私の質問にずっとドギマギしている。

そういう所も、私は愛おしいと思うのだろう。

「…まぁわかんないよね。ずっと恋愛疎かったからなー、は」

奏斗かなと。その日私は、初めて貴方の名前を呼んだ。


これは、何の変哲もないただの中学3年生私が、初めて好きになった男子との何の変哲もない恋の記憶である。

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