第13話 逆襲の配信劇
順治は田中が見た世界を苦労しながら言語化した。
・この国が戦争に勝ち今も独裁政権を継続していること
・天神インターナショナルがまだ財閥として存続していること
・そして、その財閥に取り入った「あっち」の順治が王として暴虐の限りを尽くしていること
「おいおい!それじゃあ俺がまるで心のどこかで白人を虐待したがってるみたいじゃないじゃねえか!」
「私も男を侍らす趣味なんてありませんわよ!」
「あっち」で同じく暴れ回っているとされた二人は憤慨していた。当然だろう、自分の本性があれだと言われたら否定したくもなる。
「それにお前もあんなことをしたいわけじゃないんだろ?」
「そうだよ、でもどこかに不満があると『アレ』になってしまうんじゃないかと思う。」
「だからその不満を教えてくれよ。まだ作業所を地獄だと思ってるのか?」
原口に問われ順治は心の奥底にしまい込んだ想いを父にぶつけることにした。
「お父さん、また配信をやってみたい」
父は目を丸くして「お前、配信で痛い目に遭ってもうやりたくないんじゃないかったのか?」と案ずる
「正直最初はそう思ってた。でもどこかで『みんなに笑顔になってもらいたいから配信をやり直したい』って想いをしまい込んでたんだと思う」
「そうか…」
「それに僕には考えがある。前みたいに何も考えずにおふざけするだけの配信にはしないよ。玲奈さん、ryu、力を貸してほしい」
僕は自分のやりたいことを貫き通す、それで布酢怒が復活できる余地を潰して幸せを掴んでみせる。
スーツに身を通し天神インターナショナル本社での記者会見に臨む。そしてこの配信は数年ぶりに動かす自分のCTubeチャンネルでも生中継される。
「皆様お集まりいただきありがとうございます。私は過去にサイアムという名前で活動していたCTuberです」
フラッシュがたかれ、記者が一斉にタイピング音を奏でる。
「先日行われた天神玲奈氏と私とみられる配信についてですが、あれは私達ではございません。こちらをみてください」
佐々木が配信の拡大キャプチャを記者たちに配り、順治もそれをパネルにしたものをカメラの前に置く。その刹那どよめきがおこった。
「たしかに該当人物は私そっくりですが、こんなに顔は曲がっていません!酷似した人物による悪質な活動であると予想されます」
順治は生まれつき顎の噛み合わせが合わず顔が曲がっているように見えていた。しかし作業所に通いだしてしばらくしてから、父が保険医療で治せると知り矯正されたのだ。
「しかしながら現在に至るまで該当人物の特定作業は難航しております。よって…」
記者たちのカメラが一斉にこちらを見る
「私サイアムと」
「rainerチャンネルこと天神玲奈は」
「「配信活動を再開し偽物を引きずり下ろします!」」
僕たちの逆襲が始まった。
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