第14話 精算配信
機材と声の調子を整える。あっ、あーマイクテスマイクテス
「はーいドーモサイアムどえす!」
数年ぶりの配信、歓迎する声もあったが大多数は非難の声だった
「また性懲りもなく復活したのか穀潰し」
「配信やめたから実家におハガキ送るのやめてあげたのになあ、わかってるよな?」
「俺はあんたのガチ恋リスナーだ。サイアムのメガネにかけたい。」
思わず心臓がキュッとする感覚に襲われる。でも僕はもう逃げない。ここで逃げたら布酢怒がまた大きくなる。
「今日はみんなに企画の説明するよ。題して!今まで迷惑かけた人に謝罪行脚してみたー!」
コメント欄が大きくざわついた。順治は続ける。
「僕は正直なところ恩をかけてくれた人に感謝したり迷惑をかけた人にごめんなさいって言えてなかった。作業所に行ってる間その大切さに気づいたんだ。だからやり直させてほしい」
コメントをみると
「どうせすぐ投げ出す」
「これで銭稼ごうとしてるなら浅ましいな」
などと非難の声は収まらない。
順治は顔色を変えず続ける。
「というわけで第一回!今まで見てくれていた視聴者さん、俺のことを案じてコメントしてくれた皆さん、本当にすみませんでした!」
ひときわ大きな声でカメラに向けて頭を下げた。
視聴者も困惑してるようだ
「え、サイアム何があった?」
「俺ら謝られるようなことしたっけw」
順治はそれに答えるよう、顔を上げて語りだした
「俺に障害があるんじゃないかってコメントした人は馬鹿にしたいわけじゃなく俺を助けたいって想いだったのに気づけてなかった。弱い人を煽るようなことを言った時怒ってくれる人もいた。パトロンにお礼いいなよって忠告してくれた人もギスギスしないようにアドバイスしてくれてたんだ。僕はみんなに愛されていた。なのに、今まで一方的にアンチだと思い込んでごめん!」
5秒後「88888」というコメントで埋め尽くされた。
「ようやく気づいたか順治!」
「謝れてえらい、勇気出したな」
人間として当たり前のことをしただけ。それでも褒められることはまんざらでもなかった。
「今までの悪行それで済むと思ってるのか」
「『けど俺だって誹謗中傷されてる』とか言わなくていいんか〜?w」
少数の食い下がるコメントも僕を見捨てないでくれてると思えた。
「今まで言い訳ばっかだったヤツが今更変わったと言っても信じてもらえないかもしれない。けど!信じてもらえなくても頭を下げ続けるのが僕の役目だと思ってる」
僕はもう一度頭を下げてから次回告知をした。
「第二回は僕のパトロンだったryu、今は原口市議に謝りに行くよ。ほいじゃまったのお〜」
数年ぶりにやる挨拶を終え一息ついた。
まだ手が震えてる、それでも達成感、そして人としての成長の実感で幸福に包まれていた。
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