帰り道
世界が自宅への道のりを朱に染めている。
「ガキ!酒買ってこい!十分以内にだ!一秒でも遅れたら飯抜きだからな!」
「隣の奥さんたらね」
「あら、やらしいわねぇ」
歪んだ家庭。下世話な噂話。実に醜い。でも、これも日常と言えば日常。それに、人間という生物はこんなものだ。
「陰気女じゃん。お帰りかい?」
前から声が聞こえる。答えるつもりはない。第一、お前は誰だ。
「ケッ、噂通りの無愛想だな。でもぉ、面は良いよなぁ。いくらでヤらせてくれる?」
目の前で財布を振られてもだから?としか思わないが。
「…調子乗るなよ?」
沈黙を貫いていた私に苛立ちを覚え、男は私を壁際に押しやり、太腿を撫でてくる。嗚呼、醜い。実に醜い。顔を近付けるな。全く。性欲でしか物事を考えていない一挙一動に我慢が出来なくなり、思い切り鞄で顔を殴ってやった。倒れた下衆は恨めしく罵詈雑言を投げ掛けてきているのだろうが知った事じゃない。…人間に暴力を振るうのは好まない。
Nobleu やみお @YAMIO
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。Nobleuの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます