世界は滅亡した

ささみ

世界は滅亡した

 とある人物による世界滅亡の予言がネットを驚かせた。 

 かつてその人物が書いた本に書かれたものが実際に起きたものだから今回の予言はそんじょそこらの予言よりも注目を浴びたのだ。

 7月X日の早朝に世界が滅亡する。オカルト界隈ではまるでそれが本当に起こるかのように不安を煽り、動画投稿者は同じテーマで数えきれないほど動画を投稿した。

 普段あまり再生回数がないチャンネルさえ、このテーマで投稿すれば一桁多く再生回数を稼げるほどだ。

 時折このようなオカルトは日本だけでなく世界でも話題になる。

 2012年もそうだった。

 しかし、いつもなにも起こらず過ぎたあと、いや予言の日が間近になると否定的な意見も増えてくる。

 そして今回もまたなにも起きなかった。

 防災意識が高まったと言う者もいれば一時のお祭りを楽しんだと燃え尽きる者もいる。


 果たして、本当になにも起きなかったのか?

 世界は本当に同じ世界の同一時間軸のまま連続性を保てていたのか。

  

 これは世界のエラーだ。

 本当は起きたのだ。

 最悪の瞬間が。

 そして、僕だけが、いや僕以外にもいるかもしれないが、確かにみた。

 世界の崩壊と人間が作り上げた時間という概念の崩壊。

 でも世界は修復された。我々人間とは異なる意思によって。

 あの崩壊の瞬間に過去の世界を垣間見た。

 僕らが何もなかったと安堵した世界滅亡の予言は実際に的中し、世界は壊れたあとに修復された。

 本当は全ての生物の記憶から消去されるべきもののはずが、僕の中には残り続けている。

 

 僕はこの記憶を一人だけのものにしておくことが苦痛で、とある人物に話した。

 すると、知らない施設へとつれていかれた。

 白い天井、白いベッド。

 僕はここに閉じ込められている。

 ぶつぶつと独り言を呟き会話が通じない異常者たち共に。


 そして今日もまた、薬を飲まされるのだ。

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