産婦人科に入院して産むのが一般的だと思うから、これは出産マニア(?)の私の目からも貴重な体験記だと思います。
……あと何処かで、産婆さん呼んで自宅で出産した、なんて体験談ないかな?
さて、出産未経験のお母さん予備群には、今後の参考に。
今更、妻に出産の様子を聞けないシャイなお父さんにも、その苦労は知ってもらいたい。
そして上記に含まれていない方々にしても、お母さんのお腹から産まれてきた事が無い人は一人もいないと思うので、こういうのを読んで、改めてお母さんに感謝して下さい。
本当に、この世の全てのお母さん。大変お疲れさまでした!!
私は既婚男性ですが、妻との間に子どもを授かることは出来ていません。正直、妊娠や出産は遠い世界の出来事でしたが、本作を通して“家族を迎える日々”のリアルな大変さと温かさを強く感じました。
とくに感心したのは、著者が体調不良や予想外のトラブル(息子さんのインフル疑惑、ご自身の発熱、家族のサポート問題など)にも、ユーモアと冷静さを失わず、一つひとつの出来事をていねいに観察し、気持ちを言葉にしている点です。
助産院の選択や、出産の瞬間を自分の手で迎えるエピソードは本当に感動的でしたし、「布団のことばかり気になる」といった細やかな気持ちの揺れや、「陰性結果」に安堵するリアルな心の動きにも思わず共感しました。
助産師さんたちへの信頼、家族や周囲との人間関係の機微、そして日常のご飯や施設の居心地まで、「生活そのもの」がしっかり描かれていて、読んでいて自然と微笑みがこぼれます。
作者の観察眼や優しさ、前向きさ、文章のわかりやすさに感心いたしました。出産や育児を経験した方はもちろん、未経験者にもぜひ読んでほしい、温かく力をもらえるエッセイです。