○○は嫌いですか?

のりたまご。

#1 10年前の君達へ

「私の事、嫌いですか?」

「いや、別に。逆になんで俺があんたの事嫌いだと思ったの?」

「なんとなく。」

「ひっど。なんとなくでそんなこと言うもんじゃないよ。てか、俺そういう人だと思ってたの?」

「違う、ごめん、なさい…。」

「謝ることじゃないけど、ま、気にすんなよ。ハハ。」


―思い出す。

初めての会話。

ぎこちないというか一発目で好き嫌いの話をしてしまうあたり、青いなあ。

こんな記憶を今でも思い出す。つい昨日の事かのように。

高校生という時間はどんな人でも等しく3年間しか与えられない。

留年したら~、とかそういうひねくれた回答は抜きにして。

そんな限られた時間の中で僕らはどれだけの経験をし、どれだけ感じ、学んだんだろう。


長くも刹那に感じるような、そんな3年間。

その青い時間は今思い返すとあっという間に過ぎていたが、当時を必死に生きていた僕はきっとその1秒1秒を無意識のうちに嚙み締めていたのかもしれない。

そんな青春時代を社会人になった今でもふと思い出すときがある。


いつかはそれを思い出そうとすることもなくなるかもしれない。

いや、きっと僕はこれからも思い出すだろう。


「――生、先生!」

「はっ、なんだい?」

「なんだいじゃないっしょ。授業授業。生徒に起こされてやんの。」

「あ、あー悪い悪い。じゃあこれ持って行ってくれるか?体育館集合な。」


僕は職員室に来た生徒に授業で使うプリントを渡した。


「さて、やりますか。」


座ったまま伸びをし、背骨をポキポキ鳴らし私は立ち上がった。


―これは僕が僕なりにもがき苦しんだ、高校時代の話だ。

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○○は嫌いですか? のりたまご。 @nori0713

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