ガーボ
ぽこぴんちょぷぽぴん
ガーボ
登場人物
永妻照 中年程度の作家。ガーボについて興味を持ち調べることにする。
好奇心が旺盛。朗らか。
死神 永妻につきまとう死神。飄々としてい流。少し永妻を気にかけている。
アキラ 小学生くらい。元気いっぱい。
EP 名前をエターナルフェニックス。少し厨二気味の少年。
エンドレスナイトソルジャーの一員として戦いに身を投じているらしい。
ルシファー エンドレスナイトソルジャーの裏切り者。セフィロス。
青年 自分の将来に悩んでいる。
(声のみ)
★ナレーション ナレーション。
★激龍刃 激しい龍の如く敵を切り刻む伝説の刃。人格が宿っている。
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ガーボ①
舞台は書斎。
机に向かっている長妻とそれを死神が眺めている。
長妻 死神くん。
死神 なんですか作家先生?
長妻 最近ふと思ったんだよ。ナポリタンって知ってるかい?
死神 バカにしないでください。
長妻 死神でもナポリタンを知っているのか。勉強になるな…。それじゃ暗殺者の
パスタは
死神 私に質問ばかりしないで原稿を進めてくださいよ。
長妻 はい。
長妻は机に向かい原稿を進める。
長妻 死神くん。君との付き合いも少し長くなってきたね。
死神 そうですね。
長妻 死神っているんだね?僕は作家をして長い。今年で二十年は経っているはず
だ。それでも分からないことはあるんだなぁ。
死神 基本死ぬ直前に現れますからね。それに先生。相対性理論について知ってい
ますか?
長妻 アインシュタインが考えたとかあたりまでなら?
死神 また、分からないことが増えましたね。
長妻 意地悪だなぁ。やっぱり死神だから性根も嫌な感じなのかな?
死神 モラハラですよ。
長妻 死神ってハラスメント適応内なんだ。気をつけよ。
死神 最近厳しいので気をつけてください。あと原稿!
長妻 はい。
長妻は机に向かい何かを書いている。
死神 それでずっと何を書いているんですか?
長妻 う〜ん。何だろうね?
死神 わかってないんですか?
長妻 うん。なんか微妙なんだよね。
死神 微妙とは?
長妻 物語のような?そうでないような?
死神 どう言うことですか?
長妻 難しいなぁ…歳なのかな?歳なのかも。死神に会えるくらいだし。
死神 …。
長妻 死神って好きな食べ物ある?
死神 林檎です。
長妻 あ、それは知ってる!
死神 そうですか。
長妻 嬉しいな。
死神 良かったです。
長妻 うん。
長妻、机に向かう。
死神 作品のタイトルとか決まってるんですか?
長妻 うん。もちろん。
役者全員で。
全員 ガーボ。
暗転。
ガーボ②
蝉の声が聞こえる。
舞台は公園。アキラが木の上を眺めながら何かを探している。
長妻が登場。
長妻 ぼく!何を探しているんだい?
アキラ 見て分からないの?
長妻 うん、さっぱり。蝉とか?
アキラ そんな訳ないでしょ!蝉なんてカッコよくないじゃん。
長妻 うん、ムカつくガキだな。
アキラ は?
長妻 何でもないよ!子供は宝物だからね!君、名前は?
アキラ アキラ!
長妻 アキラくんね!それで?何を探してるの?
アキラ ガーボ!ガーボだよ!
長妻 ガーボ?
アキラ ガーボ知らないの?
長妻 はい。
アキラ もう!これ!
アキラは図鑑を開いて見せる。
長妻 これがガーボ?
アキラ そうだよ!ジョーシキでしょ?
長妻 でもこれ虫だろ?ガーボなんて虫知らないけど?
アキラ でもガーボだよ!
長妻 ふ〜ん、知らないことはあるもんなんだなぁ
ガーボが飛び立ってしまう。
アキラ あ!おじさんがうるさいからガーボ逃げちゃったじゃん!
長妻 うぉ!?ごめん…
アキラ あ〜あ、せっかくシュンちゃん達に自慢しようと思ったのに
永妻 自慢できるものなの?
アキラ うん。捕まえて、戦わせたりするんだよ。
永妻 ガーボを?
アキラ そう。本当に何も知らないんだね?大人なのに。
永妻 まぁね!あ、でもヒロミツくんが知らないことを沢山知ってるよ?
アキラ 例えば?
永妻 えっとね、死神が好きな食べ物とか!
アキラ は?
永妻 林檎。林檎が好きなんだって!
アキラ 知ってるよ。
永妻 え。
アキラ おじさん変な人だね
永妻 作家だからね!
アキラ それならぼくはサッカにならない!
永妻 その方がいいかも
アキラ おじさん暇なの?
永妻 まぁ、それなりに?
アキラ それならぼくとガーボで戦おうよ。
永妻 良いけど、ガーボ持ってないよ?
アキラ 探せば良いの!ほら網貸してあげるから!
永妻 ありがとう。
アキラ とりあえず木の上とか地面とか探してみようよ!
永妻 わかりました。
永妻とアキラはガーボを探す(虫を探す感じ)
永妻 あ、あれ大きいね
アキラ 確かに。あれ捕まえようよ!
永妻 届くかな?
アキラ 届かせようよ!
永妻 きみ、いいね。頑張るよ。
永妻はガーボを取ろうとするが中々取れない。
永妻 意外とコツが必要なやつだね!
アキラ あんまり無理やりやると足が取れちゃうから優しくね!
永妻 難しいな!ザリガニ釣りとかやったのを思い出すよ!
アキラ ザリガニ釣り?おじさんザリガニ釣りするの?
永妻 あぁ、得意だったよ。子供の頃、夏はほぼ毎日やってた。でもみんなはカ
ブトムシとかクワガタとかに夢中でさ!心細かったなぁ。
アキラ ぼくもザリガニ釣り好きだよ!
永妻 やっぱりきみ良いね!あ!
ガーボが逃げていく。
アキラ あ〜あ。失敗。
永妻 そんなにガーボが好きかい?
アキラ みんなと遊びたいから
永妻 そうか。そうだよね。
アキラ うん。
永妻 もう少しでカードゲームのブームが来るよ。
アキラ カードゲーム?
永妻 そう。最近、コロコロとかに載り出したやつ。あれ、すごく流行る。シュ
ンちゃんと隣町まで歩いてカードパックを買いにいくことになるよ。それく
らい流行る。
アキラ でも、カード買えるくらいお金ないよ?
永妻 そう、そうだけど。流行るんだよ。だから気にしなくていい。好きなもの
だけやっていていんだ。それにね。
アキラ 何?
永妻 みんなが使うのが恥ずかしい可愛いカード。萌えって感じのやつメッチャ
貰えるからぶっちゃけお金はかからないよ。変態とか言われるけど気にしな
くて良い。
アキラ おじさんやっぱり変だよ。
永妻 作家だからね!
アキラ それならなっても良いかも。
永妻 そのほうが良い。
夕方のチャイムが鳴る。
アキラ あ、帰らなきゃ
永妻 気をつけて帰るんだよ
アキラ ありがとうねおじさん!
永妻 こちらこそありがとう!
アキラ またガーボ探そうね!!!約束だよ!!!
永妻 もちろん!いつでも探せるよ!!
アキラ帰っていく。
見送る永妻。少しガーボを探してみたりする。ふと何かに気づき。
永妻 あ!裁縫セットはかっこいいドラゴンのやつにしとけって言えばよかっ
た!
うだうだしている永妻。
死神はぬるっと登場。永妻は気づかない。
死神 先生!
永妻 わ!死神くん!
死神 どうですか進捗は?
永妻 全く。
死神 そうですか。結構良い線行っていたかと思いましたが?
永妻 そう?
死神 先生、ここは私も肌を脱ぎましょう。
永妻 一肌どころではなく?
死神 はい。先生の作品のためなら…(手で胸を覆う)
永妻 そういう作家じゃないんだ。僕は…
死神 知ってます。とにかく!私も協力しましょう。先生の作品をより良いものに
するために!
永妻 あ、ありがとう…ほどほどにね?
死神 先生、私の座右の銘を知っていますか?
永妻 月に変わってお仕置きよ!とか?
死神 過ぎたるは及ばざるごとし。
永妻 へ
死神 さ、やりましょう先生。
永妻 楽しくなりそうだ!
暗転。
ガーボ③
舞台は広野。一人のE Pとルシファー(死神)が剣を持ち佇んでいる。
それを後ろから眺める永妻。剣を持っている。
ナレ 時代はコスモギャラクシー世紀0079。宇宙は戦乱の炎に包まれていた。こ
の宇宙剣士エターナルフェニックスもその一人である。エンドレスソルジャ
ーズの一人である彼もまた戦火にの呑まれた故郷を想いその刃を振るう。そ
の刃の名前を人は激龍刃と呼び恐れていた。ちなみに激しい龍の刃と書いて
激龍刃とよむ。ついに切り者のルシファーを探し出し、ついに決戦の火蓋が
切られようとしていた。
E P ついに見つけたぞルシファー。
ルシ ふん!お前に会いたかったよ。さぁ、剣で語り合おう。そして命の華を闇女
神様に捧げるのだ!
E P 世迷言を!!!!
剣を構える二人。
何度かつば競り合いをする。
ルシ 楽しいな!やはりお前との命の散らし合いは私の心に潤いをくれる!!
E P うざけるなぁ!!!!
キンキンキンキン!!(鍔迫り合い)
永妻 あー!長い!
永妻、ルシファーを斬る。
ルシ う、うぁぁぁぁ!!!!
ルシファー爆発(はける)。
E P あぁ!なんてことを!
永妻 あ、ごめん。…知り合いだったからつい…。
E P 良いところだったじゃないですか!あと少しでルシファーとの決着がついたのに!
永妻 本当にごめん!あ、えっと、もう一回やる?
ルシファーが顔を出す。
E P そういうんじゃないんで!
永妻 だよね?
ルシファー爆発(はける)。
E P 折角もう少しで完成だったのに!まぁ、いや、またガーボ見返して復習する
かあ…
永妻 え、ガーボ?
E P そうです。
永妻 え、でもガーボって虫だろ?
E P 虫なわけないじゃないですか。知らないんですか?
永妻 虫以外のガーボは?
E P 知らないなら口出さないでください!こっちは本気なんですよ!!
永妻 それは申し訳ない。
E Pは本を取り出して読み始める。ラノベっぽい。
永妻 もしかしてそれがガーボ?
E P そうですけど?
永妻 面白いのそれ?
E P ど名作ですよ。
永妻 貸してもらえる?
E P 良いですよ。
永妻はしばらくラノベを読む。
永妻 なるほど。これはすごい。もう一度やらせてくれないか?
E P もう一度って?
永妻 もう一度ルシファーと戦わせてほしい。次は僕と君で戦いたい。
E P え、良いんですか?
永妻 もちろん。
舞台は広野。一人のE Pとルシファーが剣を持ち佇んでいる。
それを後ろから眺める永妻。剣を持っている。
ナレ 時代はコスモギャラクシー世紀0079。宇宙は戦乱の炎に包まれていた。こ
の宇宙剣士エターナルフェニックスもその一人である。エンドレスソルジャ
ーズの一人である彼もまた以下略!!!!
E P ついに見つけたぞルシファー。
ルシ ふん!お前に会いたかったよ。さぁ、剣で語り合おう。そして命の華を闇
女神様に捧げるのだ!それでその隣にいるのは?
永妻 スペースクルセイダーの一人。ライトニングソニックだ!
ルシ ふん。エターナルフェニックスよ。まさか仲間を呼ぶとはな。
E P 違う!ライトニングソニックは仲間じゃない。俺の大切な武器(アーティフ
ァクト)だ!!!!
頷く永妻。E Pと手を繋ぐ。
ルシ ま、まさか!
E P 激龍刃とライトニングソニック二刀流だ!!!!
ルシ 面白い!
激しい戦い。しかし段々とルシファーに押されていく。
E P く、くそ!
永妻 俺たち二人でも歯が立たないのか!!!!
声が聞こえる。あたりはスローモーションになる。
激龍 私をルシファーに打つけるよ!!!!
E P こ、この声は!!!!
永妻 まさか激龍刃が僕たちの心に語りかけてきたのか!?
激龍 私をあいつに投げつければ私に込められた激龍の力が炸裂して真空崩壊を
起こすことができるわ!
E P 真空崩壊って?
激龍 真空で崩壊させることよ!
永妻 勉強になるなぁ
E P でも、そんなことしたら君が!
激龍 大丈夫。私たちは心で繋がっている。いつかまた会えるわ!!!!!!!
E P でもできない!大切な激龍刃を犠牲にするなんて!
激龍 宇宙の平和と一本の剣、どちらを取るべきかあなたはわかるはず!!
永妻 トロッコ問題だ
激龍 あなたは黙ってて!
永妻 すみません…
E P でも!
激龍 さぁ!選ぶのよエターナルフェニックス!!!!!!!
E P くそぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!
全ての速さは元に戻り、ルシファーの斬撃をエターナルフェニックスが弾く。
ルシ 何!?
E P 終わりにしよう。ルシファー。俺はエターナルフェニックス
だ!!!!!!!
ルシ 目が変わった!?良いだろう最後のレクイエムをララバイだ!!!!
E P いくぞ激流刃!ライトニングソニック!!!!
永妻 え!?おう!!?
激流刃を永妻に渡し、放つ。
E P 月夜の空、悲しみの音色、約束の鐘、瞳に宿る雷の刃、龍の息吹となら
ん!!!!
最期の一撃(チェクメイト)。
E P オーバーアンリミテッド!ライトニングドラゴンブレス!!!!!!極
ぃ!!!!!!!
放たれる粒子の奔流がルシファーを飲み込む。
ルシ ぐ、ぐわぁぁぁぁぁぁぁ!!!!
永妻 ぐ、ぐわぁぁぁっぁぁぁっぁぁ!!!!!!
ルシファーは真空崩壊を起こし、はける。
E P ありがとう。激流刃。ライトニングソニック。
E Pは宇宙(そら)を見上げる。
しばらくするとガーボを取り出し読み始める。
E P もう少しヒロイン枠が多い方が胸熱って感じかもな。
暗転。
ガーボ④
舞台は原書斎。
永妻が一人で座り、原稿を前に悩んでいる。
永妻 う〜ん。
死神が入ってくる。しばらく部屋の隅になっている。
死神 初めまして先生。
永妻 うぉおお!何だ君!どこから入った?
死神 私は死神です。
永妻 死神?
死神 はい。
永妻 へぇ…新しい編集の人?
死神 いえ、命を奪う人です。
永妻 殺しに来たってこと?
死神 はい。
永妻 鎌とかあるの?
死神 ないです。
永妻 ノートは?
死神 ないです。
永妻 何もないじゃん。
死神 でもあなたを殺します。
永妻 そうか、じゃあ、はい。
死神 え?
永妻 殺しなよ
死神 は?
永妻 殺しに来たんだろ?
死神 はい。
永妻 じゃあ。
死神 まだ殺しません。
永妻 は?
死神 それ、書きかけですよね?
永妻 この原稿のことかい?
死神はうなづく。
死神 私は素晴らしい作品が未完成のまま世に出るのが耐えられない。銀河鉄道
の夜然り、地獄の門然り、今の人がどんなに考えても本物ではないのだから
不完全に思えてしまいます。きっと作者にしかわからない大事な意味がある
はずなんです。完成したものから出ないと得られない感情が、思いがあるは
ずなんです。だから、あなたの順番が来るときまでに書き上げてもらいま
す。
永妻 なるほどね。それで、書き終わったらどうなるの?
死神 殺します。
永妻 あ、そう。
死神 私は未来を変えに来たわけではありません。少し早めに現れただけです。
永妻 そっか。
死神 応援していますよ。一緒に頑張りましょう先生!
永妻 はは、ここからは時間がすぎるのが早そうだなぁ。
暗転。
書斎に一人机に座っている永妻。
永妻 いてて…散々だったなぁ。エターナルフェニックスか…名前だけはかっこ
いいけど。
青年登場。
青年 あ。
青年はけようとする。
永妻 あ、良いんだ!僕の方が邪魔なんだ!たぶん。
青年 いや、邪魔なんかじゃないですよ。たぶん。
永妻 そ、そう?それなら良いんだ。うん。
青年 はい。
永妻 よかったら隣に…
青年 ありがとうございます
狭い椅子に二人で座る。
永妻 狭いね。
青年 はい。
永妻、青年に席を譲る。
何か落ち込んでいる青年。
永妻 何かあったの?
青年 まぁ。
永妻 辛いよね?
青年 何がわかるんですか?
永妻 生意気にも寄り添おうかと…
青年 ありがとうございます。
永妻 どういたしまして…
沈黙。
永妻 あの、相対性理論って知ってる?
青年 アインシュタインが考えたとかあたりまでなら?
永妻 そうだよね!いや、そうだよ。
青年 あの…何ですか?
永妻 意地悪な死神がいるんだよ!
青年 はぁ…変な人ですね
永妻 作家だからね
青年 え!作家なんですか!?
永妻 え、うん。
青年 作家ってお金になりますか?
永妻 う、う〜ん…難しいな。なる時はなるし、ならない時はならない。僕はな
ってるけど。
青年 有名な方なんですか!!!
永妻 まあね!
青年 代表作とかは?
永妻 あ、えっと、今はない。今はね!
青年 つまらない見栄を張るのやめてくださいよ!
永妻 本当なんだって!今はないの!!!
青年 あぁ、もう!わかりましたよ。
永妻 ほん!なら良かった。
沈黙。
永妻 もしかして作家希望?
青年、静かに頷く。
永妻 そうか。なったら良いと思うよ?
青年 そんな無責任な
永妻 そうだけど、僕から言えることってそれくらいしかなくない?やめろって言
われてやめるの?
青年 それは…
永妻 でしょ?結局自分で選ぶしかないよ。
青年 …。
永妻 君が失敗しても誰も責任取ってくれないしね。意外とみんな自分のことで
精一杯だから。
青年 でも、もし失敗したら?夢に敗れたらどうします?夢に敗れるなんてもの
じゃない。きっと大事な時間とか色々失うんですよ。それなら最初から無難
な感じに生きても良いんじゃないかって。安定?みんな好きじゃないです
か。
永妻 それでもいいと思うよ?あ、敗れるとかじゃないよ?でも、どんなに悩ん
でもなるようになるし、きっと巡り巡ってくるんだ!
青年 …。
永妻 僕も昔色々言われたし、色々悩んだよ。やめちゃうこともあった。でも
さ、なんかまた気づいたら物語の設定とか考えててさ。あれがこうなったら
面白いなとかもっとパンチを効かせたらとか考えちゃんだこれが!
青年 辛くないですか?
永妻 辛い。辛いさ。純粋にもの事を楽しむ力がなくなったような気がする。で
も、きっとそうなるように進んでるんだ。そうなる人生なんだ。運命なん
だ。
青年 運命…
永妻 どんなにやっても諦めはつかない。それなら、どんな形になってもやり続け
ることだと思う。やってやってやり切って、死んでいければ良いと思う。そ
れで何か残せれば。
青年 あなたは何か残したいんですか?
永妻 え?
青年 何かに抗って、それでも何かに負けそうになって、でも負けたくなくて。
そんな思いのまま走り続けているような。でもそれって血を吐きながら続け
るマラソンと同じですよ。
永妻 あぁ、そうか。そうかもしれない。でもさ、僕は負けたくないんだ。みん
なに。世界に。自分に。だからガーボを。
青年 ガーボ?
永妻 は、ははは!そうか、ガーボか。これが、ガーボか。
青年 どうされたんですか?
永妻 僕の番なんだ。いつか君にもわかることがある。
青年 それはきっと僕の未来なんでしょうか?
永妻 未来かはわからないけど、きっとわかる。君の心が失わなければきっと。
青年 待てば良いのか、探せば良いのかもわからないですね。
永妻 なるようになるし、なせばなるよ。
沈黙。青年は少し悩んだように俯く。
青年 あの、死神の話聞かせてくれませんか?
永妻 死神?
青年 次の作品のネタにしたくて。
永妻 意地悪で黒くて、ちょっと目立ちかがりだけど大丈夫?
青年 ぜひお願いします!
永妻 わかった。少し長くなるよ?
青年はうなづきメモをとり始まる。
永妻 よーし!まず、死神ってりんごが好きなんだけどさ!ノートは持ってないん
だよ。鎌もないし、何より座右の銘が過ぎたるは及ばざるが如し何だよ!死
神関係ないじゃんって思うよね?その癖、初対面では「あなたを殺します」
とか言っているんだよ。あと、ナポリタンを知ってるんだって!食べてるか
までは聞けてなくて、あ、でも暗殺者のパスタは知ってるかは聞けてない!
死神についての話をメモする青年と永遠に話す永妻。
ゆっくりと暗転していく。
暗転。
ガーボ⑥
舞台は書斎。机の上に原稿用紙が山積みになっている。
死神はそれを眺めている。
死神は原稿用紙を読み始める。
死神 あぁ、面白い。流石です、先生。ガーボ、素晴らしいじゃないですか。
死神は原稿用紙を読み進めてく。
どんどんのめり込んでいく。
終わり。
ガーボ ぽこぴんちょぷぽぴん @PCP_C_PPP
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