米しか勝たん!~私の米ライフは終わらない~

夢乙女

第1話 白い米の中心に


月曜。午後19時。


タタタタタタッ!


「はぁ、はぁ!」

バイト帰り。走る先は自宅へ一直線。想うは君一択。


バン!!!


「ただいま!」

勢いよく開いたドアと同時に香るは炊き立ての米の香り。靴を脱ぎ、手を洗って台所へ一直線!瞳に映るは黒い高級炊飯器。

「ただいまぁ♡お・こ・め・さ・ん♡」

見てわかる通り私はお米大好きJK、野々川 春香(ののかわ はるか)!

今日は部活もバイトもあってへとへとで帰ってきたの!

「じゃあ早速!オープン!!」


ガチャ


炊飯器を開けると目の前に広がるのは白い艶やかなお米たち。湯気とともに立ち昇る米の香り。

ゴクリ。

思わず唾を飲み込む。

「だめよ…だめよ!春香!今ここで食べたら絶対に歯止めが利かなくなる!」

声に出して必死に抵抗するが、

この香りと光景には抗える人類はきっといない。

「あ~む!…!」

口に含んだ瞬間に溢れる米本来のうまみ。人類が求める食感と味。

「んん~!これこれ♡この出来立ての熱々ホカホカがたまりませんなぁ♡…おっと」

米のおいしさに魅了されて気づけば茶碗を片手に持っていた。

「これはもうご飯にするしかないっしょ!」

私は腕をまくって、冷蔵庫を開けた。


ガチャッ


「え…?」

冷蔵庫の中は緑茶と調味料と卵しかない。

「ああああぁ!なんでこんな時に買いだし忘れたの~!?私~!」

すっかりお腹が空いているにもかかわらず、冷蔵庫と現実はなんと無慈悲…!

と、その時。


コロコロ…


「ん…何、…ん!!」

あれは…卵かけごはん用のタレ!

そういえば…

先週なんかセールやってて、30%オフだったからカゴにとりあえずつっ込んでそのまま使ってなかったんだった…。


ニヤ…

思わず口角が上がる。

「これは、使える!」

私はこぶしを握り勢いよく立ち上がった。


グウウゥゥゥ


「…とにかく早く作ろうっと。」

あまりにも大きなお腹の音に恥ずかしさを覚えながら冷蔵庫から卵を一つ出す。

リビングに置いてある机の前に座って、机にお米の盛られた茶碗と卵と醬油を置く。

「よし!じゃあ早速…」

私は卵を手に取って机に打ち付ける。そして両手で殻という名のうまさの扉を開く。


トロ…


米の上に卵黄と卵白が落ちてくる。

「そこへこのタレをかければ~!完成!!」

これぞズボラ飯の王!艶々の卵はまるで宝石のよう…!

「それでは、いただきます!あ~む!ん…!!」

口いっぱいに広がる卵の味。そして卵の風味をタレがさらに引き立てている…!

「これこそズボラの味方!うまぁ!!」

あったかいお米に乗せる卵かけご飯が、また良い!

私は空っぽになった茶碗を見ながら手を合わせた。

「ごちそうさまでした!」




おいしいものはお腹も心もいっぱいにしてくれる。

そして、お米は人類を幸せにしてくれる!

だから私は今日も食べる。


「さぁて!明日は何を食べようかな!」

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