日常編

 その金髪の女の子は、ようやくデレる相手を見つけられたらしい。前編

 あのストーカー事件から1週間が立った。

 もうキモオタ達も現れなくなったし、校内でナンパされることも無くなった。


 そして、どうやら噂が広まってきているらしい。

 それは、

「有栖川京華と四宮虎太郎は付き合っている」

 と言う噂だ。

 いや、別に自分で流した訳じゃないよ? ほんとだよ? 


 ただ、廊下で会ったら仲が良さそうに挨拶をしてみたり、こたろーと仲がいいとちょっと嘘をついただけだよ? 


 と言うか、嘘じゃないし。仲良いもん。

 

 ま、まあそんな事はいいのだ。問題は、まだこたろーと付き合う段階まで行っていないことだ。

 

 私は割とモテて生きてきたと信じている。

 ストーカーも集まるくらい人気はある。

 

なのに、なのにどうしてこたろーは私の方を向いてくれないの? 

 

なんで、私じゃなくてがこたろーの隣にいるの?






——————————————————————


 あのキモオタクソ野郎をぶん殴った次の日、俺はまたいつものように通学路を歩いていた。

 

 少々——ではなく、かなり頭のおかしな奴と共に。

 

「いやぁ、やっぱ昨日の有栖川ちゃん、写真に撮っておけばよかったなぁ……あの泣き顔があれば1年は困る事はなかったのに……」


 こいつの名前は夢宮ゆめみや あおい。成績優秀、容姿端麗、スポーツ万能。側から見れば、いわゆる完璧美少女という奴だろう。

 

 しかし、葵には1つ、大きな弱点がある。それは、

 

 脳内思春期真っ盛り——と言う事である。


 もっと分かりやすく言おうか?


 下ネタが多い。単純に。口を開けば下ネタ。男女問わず下ネタ。先生と話す時ももちろん下ネタ。

 

 恐らくこいつは大統領とかと話す時とかも下ネタを言うだろう。


 ……てか1年困らないってなんだよ、何が困らないんだよ、おい。


 まあそんな奴と共に通学路を歩くのが恒例になっている。


 え? 変な目で見られて恥ずかしくないのかって?

 

 慣れた。もう俺が清楚系として見られることは2度とないからいいもん。気にしてないし。

 

 後は——まあこれは言わなくていいか。

 


———————————————————————



 私は今、こたろーがいる教室のドアの前に立っています。

 

 お弁当を食べてもらおうと思ったのです。

 別に食べ盛りの男の子なのだから弁当2つくらいはいけるでしょ? と思い、急遽お弁当を渡そうと考えたのです。

 

 そして、こたろーは私の料理の腕前に一目惚れして告白、そして私が付き合ってあげることで主従関係が築けると考えていました。


 ですが、今私の前には信じられないような光景が広がっています。


「はいこたろー、あーん♡」


「わざわざあーんしなくていいだろ…もぐもぐ」


 何してくれとんねんこのアマ。殺すぞ。


 なんでわざわざあーんする必要があるんですかねぇ‼︎‼︎ 箸は2つあるのにねぇ‼︎‼︎


 しかも、しかもだ。許せないのはその相手だ‼︎


 なんだよあの胸は‼︎ しかもおまけに美人ですか?

 今話題の清楚系ってやつですか? これだから男は……


 今こんなこと言っててもしょうがないか……


 仕方ない、とりあえず渡すか。


 話はその後で聞こう。


 

 


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隣の席の(自称)金髪小悪魔系美少女は、俺にだけデレるらしい。 田村氏 @tamutamut

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