ちょっと恥ずかしい恋をした。

風峰立羽

第一話 Maybe this life isn't so bad.

 定期テスト翌日の帰り道、友達の純華と一緒に帰っている。

 「うーん、ぼちぼちかなぁ」

 定期テストの点を聞かれて僕は答える。

 「で?各教科何点だった?」

 「いや、ちょっとトップシークレットかなぁ、ちょっと結果が良くなくて。」

 「ええ、教えてよ」

 「しょうがないなあ」

 「あっ、教えてくれるんだ。」

 「もう、そんなこと言うなら教えないよ」

 「ごめんごめん」

 「じゃあ言って行きますね。社会は96点」

 「やっぱり君社会が強いね、私は78点だったよ。」

 「国語は91点」

 「また負けたぁ、私は81点だったんだ」

 「数学は83点」

 「数学もまけちった、てかそんなに悪くないじゃん、何が、(ちょっと結果が良くなくて)だよ。私は79点だったよ!」

 「まあまあいいから、ここからは結構酷いよ、英語は73点」

 「どしたん?英語得意だったよね、私は87だったよ。」

 「馬鹿にしてる?」

 「してないしてない、でも、君が英語で点取れないのが珍しいなと思って」 

 「やっぱり馬鹿にしてる?」

 「してないよう」

 「最後、理科は68点」

 「私は理科72点だったよ!」

 「ぐやじい、4点負けたのぐやじい!」

 「えーと、トータルだと?」

 「僕は411点、そっちは?」

 「暗算できないの?」

 「うっせえ」

 「ちょっと待ってね、ええと、78足す、81足す...うん、397点!」

 「あっでも五教科合計なら君に勝ててる、よかった。」

 「よかったね、私がそんなに頭良くなくて。」

 「なんかごめん。」

 「あっ、でも、前回君の定期テストの成績、学年3位で、455点だったよね。あれえ?もしかしてぇ、気が抜けちゃったんですかぁ?」

 「おぉ?言うじゃん言うじゃん。僕に勝てるとお思いで?」

 「でも今回肉薄できたもんね!君に勝つ日も遠くないかも。」

 「次も絶対に負けない!」

 「次は勝っちゃうかもね!」

 「はははっ!」

 なぜだか笑みをおさえられない。なんかうれしい。

 「うふふっ」

 純華も優しく微笑む。

 「ごめん、なんか楽しくなっちゃって。」

 「うん、私も。」

 「いや、一応言っておくけど、馬鹿にして笑った訳じゃないからね!」 

 「ほんとかなぁ?」

 「からかうなって、もう。」

 「ごめんごめん」

 「かわいい」

 「へ?今なんて?かわいいって言わなかった?」

 「なっなんでもないよ。べっ別にそんなこと言ってないし。」

 「おや~?図星ですかな?」

 「うっせ。」

 「どうだどうだ~?かわいい私の顔を見なくていいのかあ?」

 「うっせ、近いっつの」

 

 なんだかドキドキする。

 なんだよこいつ。僕の成績下がったのも純華のせいなのに。

 なんかこいつ中三になってから急にかわいくなった気がする。

 なんなら付き合ってしまいたいくらいだ。

 いや、でも、友達同士なのに、付き合ってだなんて、気持ち悪いかなあ、引かれるかなぁ、ちょっと億劫。

 というか純華は僕の事どう思ってるんだろう...。 

 てか、くっそ恥ずかしい。何考えてるんだろう僕。

 

 「どうしたの?なんかしゃべってよ」


 どうしよう、祐誠の目をまっすぐ見れない。

 こいつ、祐誠のくせに私のこと「かわいい」だとぉ?

 あんたの方がよっぽどかわいいだろ!

 くそ~幼稚園から11年一緒だし、煩わしいしもう付き合ってしまいたい。

 やっぱり、不器用で失礼な奴だけど、こいつの事好きなんだよなぁ。

 好きというか愛というか...。

 う~んでも、男の子って、親しい仲の女の子を異性として見ないって言うしなぁ、振られるの怖いしどうしよう。

 

 「あ~はいはい言いました!かわいいって言いました!認めますよ!」

 「わーい!もっと言ってもっと!ほら、純華かわいいって、ほら!」

 うわ~何言ってるんだろう私。

 「かわいい かわいい かわいい」

 「うふふっ」

 「なんなんだよお前、付き合ってもないのにイチャイチャするのはどうかしてるよ」

 「だって、先にかわいいって言ってきたのは祐誠だし、それに友達同士でイチャイチャしちゃいけないって法律無いじゃん♪」

 「あのなぁ。僕はからかうつもりで言ったんだけどなぁ、それに元の会話の内容定期テストの結果だったよね、めっちゃ話飛んだな!」

 嘘です。ほんとは本心です。本心で純華のことかわいいって思ってます。

 「あっ、確かに、元の話定期テストだった。なんか、けっこう話飛んじゃったね。」

 「あっ、この前貸した10円、僕に返せよ」

 「ごめんごめん、はい、返しますね。」

 「確かに受け取りました。ってか、利子つけないだけ感謝するんだぞ。」

 「は~い」

 丁字路に差し掛かる。一緒に帰るときはいつもここで別れる。

 「じゃあな純華!」

 「じゃあね祐誠!」

 今日は寝れる気がしない。

  

 




 

 

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