こんな【オオカミと7ひきの子ヤギ】はイヤだ。

レッドハーブ

こんな【オオカミと七ひきの子ヤギ】はイヤだ。

むかしむかし、あるところにお母さんと7匹の子ヤギがすんでいました。 今日は子ヤギたちだけでお留守番をする日です。


「帰ってくるまで絶対ドアを開けたらダメよ」

「うん!わかった!」


お母さんヤギが出ていくのを、オオカミは見ていました。


(…よし!行ったか。赤ずきん、3びきの子ぶたと連続で食べ損ねたが…今回は行けそうだ!前回は無理やり入ろうとしたから失敗したんだ…ドアが開かないなら開けさせればいいのさ!)


そして家に向かい…


トントントン


「子どもたち。あけておくれ、帰ってきたよ」

「ちがうね。おかあさんは綺麗な声してるもん」


オオカミはチョークを一本たべ、声をよくすると、ドアをノックしました。


「あけておくれ。おかあさんだよ」

「ちがうね。お母さんの足は真っ白だい」


そこで、オオカミは小麦粉を足を真っ白にすると、また家のドアをたたきました。


「おかあさんだよ、帰ってきたよ」


声も足もお母さんと一緒だったので、子ヤギたちはお母さんが帰ってきたと思いました。


「お母さん、おかえりなさい!」


そういって、ドアを開けてしまいました。


「ひっかかったな!バカめぇ!」


みんな、ふるえあがり、すぐにかくれました。


「無駄無駄無駄無駄無駄無駄ぁ!みんなさがして食べてやるぅ!」


そういうと、オオカミは隠れた子ヤギを見つけ、飲みこんでしまいました。しかし、柱時計の中にいた末っ子ヤギだけは見つかりませんでした。


「ふっふっふ、本当ならここで昼寝をしたいが…。赤ずきんのときそれで失敗したからな…場所を変えて昼寝をするぜ!」


オオカミはお腹いっぱいになると、外の池の近くで眠り始めました。


「あとは帰ってきて絶望したババアヤギを食うだけだ!そしてこの家は俺のものだ!…しかし、この腹では返り討ちにあうかもしれん。…少し時間をおくかな」


しばらくして…

お母さんヤギが帰ってきました。

名前をよんでも、返事がありません。

時計の中からかすかに声がしました。


「母さん…みんなオオカミに食べられちゃった」

「なんてこと!でも…どこへ行ったのかしら…?」

「そういえばあいつ、手足に小麦粉をつけて白くしてた。それで僕たち勘違いしたんだ」

「ということは…この白いのをたどれば…!」


わずかに残る白い足跡をたよりに歩いていくと、オオカミは木のそばで昼寝をしていました。


ふくらんだお腹はもぞもぞ動いているのが見えたので、お母さんヤギはオオカミのお腹を切ろうとしました。


しかし、オオカミは寝返りして…ぷうぅ!


お母さんヤギはモロにくらってしまいました。

しかもオオカミは寝返りでうつ伏せになってしまったので、お腹を切ることができません。


「ちょっとやり方を変えようかしら…」


お母さんヤギはオオカミにオリーブオイルを飲ませ、両足をロープで縛って、近くの木の枝に引っかけました。そして引っ張ると、オオカミは宙吊りになりました。重力に逆らって子どもたちがみんな元気にとびだしてきました。


「お母さん!やっと外に出れたー!」

「1…2……6。よかったわ、みんな無事ね」

「…う…ん?なんだ?って、オレ宙吊り!?」


オオカミは目を覚ましました。


「そういえばオオカミがね、お母さんをババアヤギって言ってた」

「また罪が増えたわね、オオカミさん…?」

「え?いや、その…」


お母さんヤギはオオカミにミルクとハチミツを大量にかけました。


「うわっ…ぷ?なんだこれ?」

「じきにわかるわ…!さ、帰りましょ!」

「でもいいの?あのままで?」

「あのままがいいのよ」


子ヤギたちは頭に【?】がついていました。

しばらくして…


「ぎゃああぁ!虫が!いてててて!」


子どもたちは家の窓からオオカミを見ました。


「お母さん!オオカミに大量の虫が!」

「あれはね、スカフィズムっていう拷問の一種よ」

「うわぁ…あんなに虫が…!」

「お母さん、さすがに…その…オオカミさんがかわいそうだよ!」


子どもたちはドン引きしていました。

お母さんヤギは、次の日にオオカミのロープをほどいてあげました。


「はぉ…はぁ…すいませんっした!」

「あなたには4つの罪があるわ。1つは子どもを食べた罪。2つ目は家に侵入した罪。3つ目はわたしに向かってオナラをした罪。4つ目は…わたしをババア呼ばわりしたことよ!」


お母さんはフライパンをとりだしました。


「うそだろ!またこのパターンかよ…!?」

「わたしは優しいし…なにより話の尺が長くなるから…この一発ですべて清算してあげるわ!」

「ひぃぃ!や、やめ…!」


BAKKOOOOOOON!


オオカミは山の方へ飛んでいきました。

それからは家族みんなで仲良く暮らしましたとさ。

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